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また、君に会える日までさようなら

作者: くろざとー

俺の親友は、三度の飯より 俺にイタズラを仕掛けるのが好き。

そんな迷惑も甚だしい男だ。


仕掛けるイタズラはどれも小さなものだが、塵も積もればなんとやら、一度アイツに狙われたなら、イラつかされること間違いなしだ。


しかし、引き際や、人の逆鱗を見定める目があるので“本当”には怒らせない。


しかも、イタズラを仕掛けるのは親友だからだとかなんとかぬかしやがるので、俺は結局アイツを許してしまう。




そして、アイツの容姿は、はっきり言って整っている。

俺も悔しいがアイツを初めて見た時は、目を奪われてしまった。


線が細く、色素が薄く、まるで絵本の世界から飛び出してきた王子様だ。


現に、同じ学年の女子は、裏で、アイツのことを「王子」と呼んでいることを俺は知ってる。


鳥肌がたっちまうね。


その上、成績優秀、運動は少し苦手らしいが、それでもクラスのトップグループに入る。


中2からは、生徒会副会長を勤め、「王子」の名が学校全体まで広がってしまった。


もちろん授業態度もいいので、先生からの人望も厚い。



その為、俺が先生にアイツのイタズラの数々を訴えても、「仲がいいんだね」で終わってしまう。


くそっ…!無念……



そんなチート野郎。それが俺の親友だ。




俺がそんなクソチート様と出会ったのは小2のころ。

つまり、かれこれ9年の付き合いなのだ。


あ~あ、昔は可愛かったのになぁ。と思うことも少なくない。


イタズラなんて無縁だったあの頃に戻りたい。



しかし、今でもかわいいところは残っているのだ。


アイツは非の打ち所のない完璧野郎のくせに、自信がない。

まあ、日本人らしいっちゃらしい。


生徒会選挙や受験の前も不安になったのか、俺に悩みを打ち明けてきた。


曰く、自分でいいのか、本当にできるのか、もうどうしたらいいのかわからない。と。


正直、お前以外に誰がいるのか、できるに決まってる、そのまま続ければ絶対大丈夫。としか言えない。

だって、それだけの力があるから。


そう、皆さんお気付きの通り、俺はアドバイザーに向いていないのだ。



でも、こうやって俺だけに悩みを打ち明けたり、弱ってるところを見せてくれるのは嬉しいし、かわいいなぁとおもう。



そんな、完璧クソ野郎で、自分の力量を正確に図れないアイツが、俺は大好きだった。大好きなのだ。










しかし、それは突然現れた。


アイツはもちろん県内一の進学校に、ちなみに俺は自称進学校に合格し、さぁ、これから!というときだった。


プルルルプルルルルル


家の電話がなる。

電話に出ると、アイツの母親だった。


「もっしもーし!」と、いつもの調子で応じる。



しかし、次の瞬間、まるで時間など存在しなかったように、辺りは静まり返り、いつものリビングは、真っ白なペンキで塗りつぶされた。



あぁ、今度は随分盛大なイタズラだなぁ。老化が始まって、ボケたのか?これは、優しくて、こころの広い俺でも、怒るぞ。


どーせ、今日も、家に俺しかいないからって、インターホンも押さずに入ってくるんだろう?


だって……だって…………!!






お前が“死んだ”なんてあり得ない!!!





しかし、俺の超優秀なブレーンがそれを否定する。

脳裏にあるには、アイツの母親の、沈みきり、しかし悲痛さの隠せない声。


「今日……息子が…交通事故で…トラックに………ひかれ…て…………………亡くなったの………」





数日後、アイツの葬式で、ようやく俺は現実を直視した。


あぁ、アイツは死んだのか……。


社会は惜しい人材をなくした、と思いながら、俺は膝をついてむせび泣いた。



葬式後、俺は、なんとなく足の赴くままに歩いた。涙はもうでない。今の俺は相当ひどい顔をしている。


ふっと顔をあげると、空は憎いくらいの快晴だった。

そして、一面に広がるピンク色。


これは…勿忘草……?


ここはアイツと小さい頃よく遊んだ、おかの上の秘密の場所だ。

今思うと、全然秘密ではないのだが、なにせ遊具一つない。普通は近くにある広い公園に行くため、人があまり来ないのだ。その為、小さい頃は、俺とアイツだけの秘密の場所だったのだ。


ここは、式場から大分遠い場所にあったはずなんだけど……


すると、次第に快晴だった空が泣き出した。僕の頬にも1滴の雫がつたう。



そのとき、脳内に声がこだました。



“君とは早いお別れになっちゃったね。

でも僕は君を忘れないから。

また君に会う日まで、さようなら。”




そのときの俺は、随分間抜けな顔をしていたであろう。


信じられない思いで、足元に咲く一輪の白い勿忘草を見つめた。










________________________



勿忘草 (英名 forget-me-not)


中世のドイツ悲恋伝説に登場する騎士の言葉にちなみ、その名前が付けられた。

属名のミオソティス(myosotis)は、ギリシア語の「mys(ハツカネズミ)」と「ous(耳)」を語源とし、葉の形がハツカネズミの耳のようであることに由来する。


花弁の数は五枚。一枚の大きさは6mm~9mm径。花冠には、白や黄色の小斑点のある小さな花。

暑さと湿気が苦手で夏を越せないことから、一年草として分類される。


ピンクの勿忘草の花言葉「真実の友情」


白の勿忘草の花言葉 「私を忘れないで」




その他設定




「アイツ」の設定のほとんどは、私の親友から来てます。とんだチート野郎もいたものですよね。私は、「俺」と同じようにこきつかわれてます(泣)


対して、「俺」は全くの創作。成績も運動もやらないから、普通止まりなだけで、やればアイツよりできる。だけど、コミュ症、人見知り、陰キャなので、「アイツ」のようなカリスマは全くない。

頑張らない理由は自分はどうやっても無理と思ってるから。

でも、「アイツ」はちゃんと「俺」がやればできることに気づいてます。


容姿も、「アイツ」のせいで霞んでますが、世間一般的には整っている方です。




そして、たぶん、「アイツ」は異世界転生して、内政チートしてます。


それか、記憶のない「俺」(女)と、記憶のある「アイツ」のラブコメが始まります。(結婚したときに前世思い出す)

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