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ガイア  作者: 知舘美衣
なぜ人は苦しまねばならないのか
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第二章 第四話 山の上での死闘

 私とスノウは2人で森に歩いて行った。村人達の聞いた事を確かめるのと同時に、ガラドの為の薬草を取りに行くためである。森に行く前に、スノウが私に耳打ちした。スノウもあの村を見てみたいというのだ。あまり気乗りはしなかったが、私はスノウと一緒に村の長のガランに挨拶をしに行った。スノウも私と同じく、この村の陰気な雰囲気には閉口していたらしいが、私が見たときとは違い、躯はすべて墓に埋めて今はきれいに片付いていた。ガランに挨拶をし、これから森に向かって行くことを告げるとガランは私達の為に、一振りの剣を用意してくれていた。その剣は、この村が私達にエールを送ることの出来る唯一の品物なのだと言った。うやうやしくその剣を差し出すと、ガランを初め、村人達が私達を送り出してくれた。

 スノウはこの村を見物したいと言ってついて来たが、ものの数分と経たぬ内に気分が悪くなったのか、早く村を出ようと私をせかし始めた。私は剣をスノウに渡すと村を後にし、目的地へと向かった。


 砂漠の淵を通っていたため、砂漠の旅とは比べ物にならぬほど楽な旅だった。飲み物や食べ物は少ないが、時折生えている木々の果実を食べたりしながらの旅だったからである。こうして1日が過ぎようというとき、目の前に山の入り口が見つかった。

「おい。方向はこっちでいいんだよな。1日半歩くと森に辿り着くって言わなかったか?これじゃ、山の中に入っていくようだぜ。ここで合ってると思うか?」

スノウが不安気に聞いてきた。私は太陽の位置や雲の流れ方、そして歩いて来た道を眺めて、確認した。

「ああ。この道で合ってると思う。この辺りには森らしきものはなさそうだから。山に入ってみるか?もしかすると、”山の中の”森という意味だったのかもしれないしな。」

スノウにそう告げると、私はそのまま歩き出した。スノウは、歩き出した私の腕をつかみ、一休みしないかと言った。そういえば、マキシムと村を訪問してからここまで来る間、一睡もしていなかった。気がついたようにそう思うと突然、眠気が襲ってきたような気がした。そして2人はわずかな木陰を探して休むことにした。


 高かった日が傾き、夕方の冷たい風が吹き始めた頃私達は目覚めた。体力も回復し、持ってきた食料や水を飲んで生気を養った。夜になる頃には、私達は出発の準備が完了していた。

 そろそろ辺りが暗くなってきた。山に入る前はまだ明るかったのに、山に入った途端に急に暗くなったように感じ、私達は後悔した。もう少し明るくなってからの出発の方が良かったのではないか。そんな念が胸をよぎった。しかし、薬草を待っている村人達やガラドのことを思うと、どうしても急がずには居れなかったのだ。暗い山道を物ともせず、私達は懸命に登って行った。

 徐々に辺りが明るくなり、朝がやって来た。廻りの景色がはっきりと見えるようになった頃、私達は森らしき場所に来ていた。廻りを見まわすと、今まで無かった木々が私達を取り巻くかのようにして生えていることに気がついた。私達が登ってきた道はここで終わっていた。

森に入ると、太陽が何処にあるのかも解らぬほど木々が生い茂っていた。太陽は木々に阻まれ、私達を照らす事が出来ない状態であるのに、この森の中は何故か不自然に暑かった。まるで、木々が熱を帯び、外気に発散しているかのように蒸々していた。木々に絡まって生えている雑草やつる草が、私達の足に絡み付き、まるで侵入者をこれ以上前に進めないようにしているとさえ思うほどだった。その雑草やつる草を短剣で切りながら歩かなければならなかった。

 奥に進むにつれ、ますます蒸し暑くなり、雑草やつる草に交じりいばらも増えて来ており、ますます進みにくくなっていた。つる草や茨を切る剣を持つ手も段々に疲れを見せ、手には早くも豆ができ初めており、力が入りにくくなって来ていた。それでも前に進まなければならなかった。


 森深く入り、もう体力の限界が近いだろう頃、かすかな地鳴りが聞こえた。それは静かに、そして地に響くような低い唸り声のような気がした。村で聞いた事が思い起こされた。『竜』がいる。そう確かに聞いた。だがこの現世で、神話にしか登場しないような生き物が本当にいるのかにわかには信じがたかった。

 注意深くゆっくりと進んでいった。私達の目の前に、森の途中でまるでそこだけ木が切り倒され、誰かがこの場所に住もうとしていたかのような不自然な平原が広がった。そこに竜が居た。確かに居た。神話や伝説の生き物とされるはずの竜が、私達の目の前に居た。なぜだか解らないが、私はこの状況を不思議には思わず、当然のように受け入れていた。スノウは恐れおののき、ジリジリと後ろに下がっていた。目は竜を見つめ、恐怖で顔は引きつっていた。後ろに下がる以外は何も出来ないかのように、口をパクパクさせていた。

 竜は私達の事にしばらく気付かず、眠りこけていた。全長何メートル、いや、何十メートルあるのか解らぬほど大きい、今まで見た事も無い生き物が私達の目の前に居た。私はこの竜の廻りを見渡した。竜の背の方向の森を眺めると、そのずっと向こうに山の頂きが見え、そこには一本の背の高い木があった。風に乗って、甘い香りが漂って来ていた。私はスノウを小突き、何とかして竜に気付かれぬように竜の背の方へ抜けようと合図したその時、竜が目覚めた。私達の背に戦慄が走った。竜に向け、ありとあらゆる攻撃をしようと、銃や剣を構えた。スノウは腰に下げた手榴弾を今にも投げつけようとして、左手を腰の辺りに這いずり回せていた。

 私たちの行動に気がついたように、竜はゆっくりと私達を睨みつけ、そして大きな体を起こした。目の前に広がるのはすでに竜の体だけになっていた。

「お前達はいったい何者だ。どうしてここに居る。」

重苦しい、毅然とした声が私達の脳の中に直接語り掛けるかのように響いた。私は最初、誰がしゃべっているのか見当がつかず辺りを見まわしたが、すぐにその声が竜のものだと気付いた。辺りの鳥達は竜が寝ている時も今も、変わらずに竜の廻りの木々でさえずっていた。竜の声はどうやら私達以外の者には聞こえないようだった。また、同じような重苦しい、声が脳に響いた。

「お前達はいったい何者だ。どうしてここに居る。」

同じセリフをもう一度聞いた。いや、聞いたのではない。この竜は直接私の脳に言葉を送っているのだろう。なぜだかはわからないが、直感でそう思った。スノウの表情を伺っても、スノウには竜の声がまるで聞こえていないかのように、あいも変わらず戦慄した表情でただ後ろに下がることしか出来ないでいた。

「私はこの地に、不治の病を治す薬草があると聞いてきた。今、この山の下の村では疫病が流行っている。その者達を助けたいのだ。」

私は静かに答えた。すると竜は突然、私達の前で体中を天に仰ぐかのように伸ばし、目もくらむほどの眩い光に一瞬にして包まれてしまった。眩しくて、私達は光をさえぎるかのように顔を手で覆いながらも、なんとか竜の様子を見た。光が次第に消えうせ、眩しさも無くなった時、私はあっけにとられた。今まで目の前に広がっていた竜の姿は何処にも無かった。スノウと私が不思議がっていると、目の前に一人の青年が立ってることに気がついた。その青年はゆっくりと歩いて私達の前に来た。

「私は神よりこの地を守るよう言い渡された者。ここには何人たりとも入れてはならぬと言われている。早々に立ち去られるがよかろう。」

歳の割りには落ち着いて見られるこの青年は、私達にそう言った。しかし私は動かなかった。

「この地に、不治の病を治す薬草があると聞いてきた。君はそれが何処にあるのか知らないか。」

青年は微動だにせず、私の顔をじっと眺めて言った。

「この地には、不治の病を治す薬草などない。」

私は唖然とした。青年の言葉を今一つ理解できないでいた。『この地に薬草はない?』私の脳にこの言葉が染みこむまでにしばらくの時間を要した。完全に脳に青年の言葉が染みこんだとき、私は愕然として、体中の力が抜けていくのを感じた。自分でも気がつかぬうちに地面に膝を付いてうな垂れていた。

 スノウは今だに事の次第を理解できずにいた。立ったまま、私とその青年が話しをしている間も、私がうな垂れた後も、口をパクパクしながら動けずに突っ立ったままでいた。

「お前達にこの地に来る理由は無くなった。早々に立ち去れ。」

今度は強い口調で青年が言った。私はこの時急に頭がすっきりしたようになり、青年に向って叫んでいた。

「では、村の者はどうなる?我らの長はどうなる?このまま朽ち果てろというのか!」

叫びながら、私の頬に熱い物が流れている事に気がついた。興奮はしていたが、頭の片隅では、冷静に事を判断しようとするもう一人の自分がいた。もう一人の自分は残酷な言葉を私に投げた。『この者の言う通りだ。』


 青年は冷静に、やさしい光を瞳に蓄え、私をじっと見ていた。そしてふっと微笑むと、私に向って剣を突きつけた。

「では、私と戦うか?その腰にある小さな剣で。私を倒せばお前はこの山の頂きに辿り着ける。だが、もしお前が倒れれば、お前と友人、そして山の下の村やお前の大切な者達すべては悲嘆にくれながら死ぬ事になる。それでもお前は私と戦う覚悟があるか?言っておくが、この地は神の目の届く場所。お前が手にしている穢れた機械は使えぬぞ。」

そう言って青年は私の手にしている銃を指差した。私は驚き、物は試しと横の安全な場所に向って銃を発砲してみた。『カチッ。』という音がして、トリガーが元のさやに収まった。この青年の言う事にはどうやら間違いはないようだ。そして私は立ち尽くしたままのスノウの腰から手榴弾をひとつ外すと、同じようにピンを外して投げてみた。手榴弾は地面に軽快な音をたてて転がった。しばらく待っても爆発する気配はなかった。これもダメか。この青年の言う通り、私はここを通りたければ剣だけで青年に打ち勝たなければならないのだと悟った。

「戦いの前に教えてやろう。本来ならこの地は普通の人間には入ることも出来ないように結界が張ってある場所なのだ。普通の人間はこの場所を知らずに森の中を延々とさ迷い、森の中で朽ち果てるか、諦めて帰るしかないのだ。だが、お前はこの地に辿り着いた。何故だか解らぬが、お前の心の純粋さゆえにこの地に招かれたのかもしれぬ。だが、ここを通り抜けるには私を倒さねばならぬ。私はこの地を人間から守るためにお前達と戦わねばならぬ。お前達にとっては私は関門と言うわけだ。」

青年はそう言うと、また剣を構えた。その身のこなしは人間とは思えないほど素早かった。私は戦いを覚悟した。そしてスノウを見た。スノウはまだ固まっていた。

「スノウ!危ない!隠れているんだ!」

私はスノウに叫んだ。しかしスノウは動かなかった。まるで硬直しているかのような、石にでもなったかのように立ち尽くすばかりだった。

「その者は私の力で体が動けぬ状態になっている。私とお前の戦いに手出しが出来ぬようにするためにな。だが、目はちゃんと見えるし、息も出来る。事の成り行きを見守るだけしかできぬ。」

「ひとつだけ、お前に慈悲を与えよう。その者の傍で戦ったとしても、目に見えぬ結界によって、その者には傷ひとつ付けることはかなわぬ。安心してかかってくるがいい。」

その言葉を確かめるかのように、青年は風のごとく地面にあった石ころを拾い上げ、スノウ目掛けて思いっきり投げつけた。私があっと息を呑んだ瞬間、投げつけられた石はスノウの体に当たる寸前の数ミリの地点で弾かれ、力を失ったかのようにポトリと地面に落ちた。これなら、間違ってスノウを剣で突いたとしても、スノウは傷は負わないだろう事を悟った。


 私はスノウに渡してあった、村の長のガランから貰った剣を手に持ち、覚悟を決めて青年に剣を突きつけるようにして構えた。

「ほう。その剣は、グラムリングではないか。神がその昔、慈悲に於いて人間に与えたもうた名剣のひとつ。なるほど、お前はこの地の人間の強い願いを持ってこの地に来たのだな。よかろう。相手してやろう。さあ、かかってくるがいい。」

こうして、山の上の死闘は始まった。


 青年は人間技とは思えぬほどの素早い動きで私を幾度となく切りつけてきた。私は剣の扱いに慣れてはいたが、この青年の人間業とは思えぬ動きに翻弄され、青年に傷ひとつつけることが出来ずに居た。このままではやられてしまう。村の人たちやガラドの苦しんでいる顔が走馬灯のように頭の中を通り抜けて行った。

 青年の剣は鋭く宙を舞い、私を容赦なく攻撃してくる。それをかろうじて避ける。そんな一方的な戦いが終始続くかと思われた。体力がどんどんとり減り、脂汗だけが流れていた。青年は長い時間の攻撃を繰り返しながらも、息が上がる気配はない。お互いの剣が火花を散らし、地面の雑草がチリチリと焼ける匂いがした。私は何とかしてこの青年の隙を突こうともがいていたが、青年には隙がなく、疾風のごとく目の前を通りすぎているのを目で追うのが精一杯だった。青年の技のキレも素晴らしく、かなりの手練てだれであることは間違いない。だが、私の体のあちこちをまるでいたぶるかのように切りつけて傷を負わせてはいるものの、決定的な攻撃は仕掛けては来なかった。


 どのくらいの時間が経っただろうか。永遠に続く戦いのように思えた。私の体力が底をつき、肩で息をしている私に、青年は容赦なく攻撃をしてくる。青年の剣に自分の剣が弾かれ、遠くの地面に突き刺さってしまった。もうだめだ。そう思った瞬間、青年は私の首に剣を突きつけ、言った。

「体力の限界が来たようだな。人間とは憐れな生き物よ。残念だが私の勝ちだ。風の精よ。」

青年は私をじっと見つめている。長い時間の戦闘であったにも関わらず、息も上がらず汗もかいていない。私は力の差を思い知らされたようだった。それに今聞いた言葉。『風の精』とはいったいどういうことなのか。私が二の句を告げられずにいると、青年はふっと笑みを浮かべ、私の肩に置いたままだった剣を収めた。私はその場に倒れ、空を見上げて荒く息をしていた。途端に涙がこぼれ落ち、このまま何も得られずにこの場所で朽ち果てるのが悔しくて、意味もない言葉を青く澄んだ空に向かって叫んでいた。


 青年が私の顔の場所まで歩いて来た。そして私の顔を覗き込むようにしてにこやかに笑いかけると、指をパチンと弾いた。その瞬間、風が何処からともなく吹いてきて、私の廻りを取り囲み、風の勢いで私の体は宙に浮いた。そうか。このまま地面に叩きつけられて死ぬのか。私の人生はここまでなのか。そう思いながら覚悟を決めた。風は柔らかな感触で私を満たし、心地よい旋律を奏でるかのような音で私の気持ちを落ち着かせた。死とはこんなにも気持ちのいいものなのか、と私は心の中で思った。


 気がつくと、私の顔の上に心配そうな顔のスノウが覗き込んでいた。さっきまで痛んでいた体の傷もすべて消えていた。

「なんだか夢を見ていたようだ。」

そう言いながら私は起き上がった。目の前には夢の中で戦った青年が立っていた。

「夢ではない。現実だ。」

青年は言った。

「お前の戦いは見事だった。お前は何か、とてつもなく大きな存在に守られているようだ。わずかで弱い力だが。私にはそれが解る。そしてお前には、苦難を厭わぬ精神力と、仲間や家族を思う強い気持ち、そして大切なものを守り抜く覚悟が出来ているようだ。行くがいい。そして自分の目的を達成させるがいい。」

 思いも寄らぬ青年の言葉に、私はとても驚いた。しばらくは何も考えられなかったが、スノウの喜ぶ顔を見て、ようやく青年の言葉が理解出来た。戦いには敗れはしたが、私はこの先も生きていけるのだ。心地よい香りの地面から立ちあがり、再び旅の支度を整えると、青年が空を見上げて言った。

「お前達の目指している『薬草』とやらは、たぶんあれのことであろう。あれは昼間の内にしか手に入らぬ。日がかげればたちまち干からびてしまうだろう。それまでの間に持ち帰らねばならぬ。無事に持ちかえることが出来れば、その薬草を一晩煎じれば薬は出来るだろう。だが、先ほども言ったように、『不治の病』を治す力はすでにない。それでもお前達は薬草を探すのか?」

2人は愕然とした。やはり青年と戦う前から薬草を手に入れる事は不可能だったというのか?では、いったい何の為に戦った?今までの事が頭に浮かびは消え、フラッシュ画像のように瞬間瞬間に村人や長の顔が映った。考えた挙句、私は意を決して青年に告げた。

「それでも・・・薬草を取りに行く。」

青年は笑みを浮かべ、一人何かに納得するかのようにウンウンと頷くと、私達を森の方へ押しやり、そこで待てと合図した。


 先ほど戦った平原の真中に青年は立ち、何かを念ずるかのように首を下に下げると、青年の体に光が集まり、目の前で小さな人型の影が大きく変化していった。そう、最初に居た竜は、まさしくこの青年だったのだ。いや、青年が竜だったと言う方が適切かもしれない。初めてこの平原で竜を見た時の、重苦しい地鳴りのような声がまたしても頭にこだました。

「私の背に乗るがよい。」

言われるまま、私とスノウは竜の背に乗った。そして目的地、人間の禁断の地へ足を踏み入れた。先ほど居た平原より幾分背の高い雑草が生い茂っており、廻りは見渡す限り一面水色に透き通っているように見えた。その山の頂上と思われる場所には一本の背の高い木が生えており、木には見事なほどのピンク色の果実が実っていた。

「その果実には手を触れてはならぬ。神の喉を潤すための果実だ。人間が触れるとこの地全体が朽ち果てることになる。お前達の探している薬草はその木の下だ。」

言われるがままに大木の下を見ると、雑草ばかりが生えた場所に、見たこともないような草が少しだけ生えていた。青年が間近に来て教えてくれた。

「昔はもっと沢山の薬草が生えていたのだが、今はここにある5本しかない。この薬草を私はここでもう一度増やさねばならない。3本だけ、持ちかえることを許そう。だが、後の2本は置いて行け。」

青年はそういうと、3本の薬草を大事そうに切り取り、私に手渡した。そして煎じ方も教わった。私ははやる気持ちを押さえ、青年にお礼を言った。そしてまた青年は竜の姿に変化し、私達を山の麓まで送ってくれた。


 竜に何度もお礼をいい、スノウと私は急いで村へと走っていった。この時点ですでに日は傾きかけていた。間に合うだろうか?いや、きっと間に合わせる。そして皆を助けるんだ。二人は物も言わずにただひたすら走りつづけた。

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