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出身 タウンシティヴィレッジ  作者: 佐里堕前
一章
5/5

友人。


 と、すぐにユート君のモノである足音と、

「お兄ちゃんー」

と呼ぶ声が上に遠ざかっていく。その音がやんだと思ったら、二つの声が聞こえた。一つはユート君ものだとわかったが、もう一つはわからない。


 人が人を判別できるのは、声が大きく関わってくるらしいのだ。


その声が誰のか分からない理由は二つのあった。一つは、ゴニョゴニョと言っていて、内容が全く聞き取れなかったこと、二つ目は、声が小さすぎること。


 だが、次の瞬間、その声の主が誰なのか分かった。それは、ユート君が発した言葉からだ。

「お兄ちゃん。カサハさん来てるよー」

お兄ちゃん、ということは、ユート君兄、僕の友人の《リキ》ということがわかる。どうりで声が小さかった訳だ。そいつは、大体声が小さいし、寝起きは凄く不機嫌。きっと、今まで寝ていたのだろう。


 そんなことを考えながら待っていると、

「カサハさん!カサハさん!お兄ちゃん連れてきました!」

後ろから話しかけられたので僕は、後ろに首を回してみる。


 ぷにっ ……僕の頬が、凹んだ。

「わぁ、カサハ君スッゴいぷにぷに。極上だね。」

そんなことをいいながら僕の頬をぷにぷにする友人。リキ。ユート君と同じ薄紫の髪で、寝癖がひどく、今まで寝てたことを確信できる。一応服は着替えている。だが、こいつの戦闘服は、珍しいものだ。体を全てマントで包んだような、ずいぶんシンプルなシルエット。

「それでー、用は?」

リキに聞かれて、

「あ、、うん。えっと、実は、王様の命令で、その、ぼ、冒険についてきてくれないかな?」

と、答えると、

「うん。オッケー。ひまだしねぇ。」

と、リキはあっさり。


 本当はどう思っているか、実際よく分からない。いつも笑っている。そもそもこいつは昔からの付き合いだけど、怪しいというか、オーラが見える。


 僕の考えを見透かしたように、リキはこちらを向いて、少し笑った。

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