友人。
と、すぐにユート君のモノである足音と、
「お兄ちゃんー」
と呼ぶ声が上に遠ざかっていく。その音がやんだと思ったら、二つの声が聞こえた。一つはユート君ものだとわかったが、もう一つはわからない。
人が人を判別できるのは、声が大きく関わってくるらしいのだ。
その声が誰のか分からない理由は二つのあった。一つは、ゴニョゴニョと言っていて、内容が全く聞き取れなかったこと、二つ目は、声が小さすぎること。
だが、次の瞬間、その声の主が誰なのか分かった。それは、ユート君が発した言葉からだ。
「お兄ちゃん。カサハさん来てるよー」
お兄ちゃん、ということは、ユート君兄、僕の友人の《リキ》ということがわかる。どうりで声が小さかった訳だ。そいつは、大体声が小さいし、寝起きは凄く不機嫌。きっと、今まで寝ていたのだろう。
そんなことを考えながら待っていると、
「カサハさん!カサハさん!お兄ちゃん連れてきました!」
後ろから話しかけられたので僕は、後ろに首を回してみる。
ぷにっ ……僕の頬が、凹んだ。
「わぁ、カサハ君スッゴいぷにぷに。極上だね。」
そんなことをいいながら僕の頬をぷにぷにする友人。リキ。ユート君と同じ薄紫の髪で、寝癖がひどく、今まで寝てたことを確信できる。一応服は着替えている。だが、こいつの戦闘服は、珍しいものだ。体を全てマントで包んだような、ずいぶんシンプルなシルエット。
「それでー、用は?」
リキに聞かれて、
「あ、、うん。えっと、実は、王様の命令で、その、ぼ、冒険についてきてくれないかな?」
と、答えると、
「うん。オッケー。ひまだしねぇ。」
と、リキはあっさり。
本当はどう思っているか、実際よく分からない。いつも笑っている。そもそもこいつは昔からの付き合いだけど、怪しいというか、オーラが見える。
僕の考えを見透かしたように、リキはこちらを向いて、少し笑った。






