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一ノ世界 其の一
気がつくと月明かりだった
周辺には何の気配もない
月がなければ真っ暗だったかもしれない
…あれ?
俺は狼に喰われたのでは無かったか?
五体無事で傷さえ無い
あの傷みは何だったのだろう?
人間とは不思議なもので
此処が何処か判らないのだが
取り合えず安善なのを確かめられたら
途端に眠気と空腹感がやってくる
少なくとも夜に歩き回るのは愚策である
辺り一面を見回す…
少し離れた所に家屋が見えた
取り合えず一晩の宿を求めてみよう
出来れば食事も出来れば良いのだが…
うまい事なのか どうかは何とも言いがたいが
小屋は無人だった
部屋を漁ってみたら
質素な家に不釣り合いな天蓋付きのベッドがあった
ここで今日は眠らせてもらう事にした