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かしこまりましたマオウ様!  作者: モンハン3流
魔界生活1日目 いきなりバトルですか?
2/19

女は男よりけっこうエロいんですよ、魔王様

俺は一旦会議室を出た。

スピネルの言ってたパーティーにへと向かうためだ。主役がいなければ意味がないだろう。

しかし場所を聞いておけばよかったとすぐに後悔する。

パーティー会場と言えば広間としか考えられないが、生憎ここはお城だ。

広間など余すほどある事を考えると、口からはため息ばかりが漏れる。

右を見ればドア、左を見ればドアと通路にはドアが連なり終わりが見えない。

多くの兵士を収容しているとはいえこれは多すぎやしないか?などとぶつぶつつぶやきながら歩を進める。


しかし長い通路をパジャマ姿で歩いていくと、通路の脇にいくつもあるその部屋が気にかかった。

恐らく魔王の配下、部下たちの部屋であろうが部屋の中に誰かがいれば助かる。こんなに多いのだ、一人くらいいてもおかしくない。

不審者に間違われないように周りをきょろきょろと見て人の、いや悪魔の影が無いことを確認する。

パーティーでほとんどみんな会場に行っているのか誰もいない。好都合だが何も音のしない通路は不気味さを演出している。


やべー帰りてぇ。と扉の前で思いながらも魔王スピネルの言葉が頭を悩ませる。

『役目を果たしてもらうまで帰れない』と彼女は言っていたが本当だろうか?


たしかにこの世界は俺の住んでいた地球とは90度違うことは必然的だ。

空に浮かぶ悪魔の城。下界にはドーナツ型の島。悪魔と勇者の戦争。まるでアニメの世界にでも飛び込んだようだ。


しかもスピネルの出した俺の役割というのが『スピネルを守ること』と『子作りを手伝うこと』の二つ。


一つ目の『スピネルを守ること』は納得はいく。魔力を持っている(らしい)俺がスピネルの執事になり彼女を守ればいい事。


勇者とか言っているが俺が戦うわけではないだろう。

戦闘は配下の兵士たちに任せて俺はスピネルにお茶を入れたりなんだのしていればいいはずだ。


しかし……二つ目の『子作りを手伝う』というのはちょっと、ていうかめちゃくちゃご免だ。

早いが話、○○○(ぴー)しろって事だろ……。ふざけんじゃねぇっ!


俺はアバズレどもの奴隷じゃねぇっつの!んな事に俺の童貞を捧げなくちゃならないとかふざけた話だ。

なんとかしてこれだけは阻止せねば……。


てか、まさか……まさかだとは思うがパーティーとか言って実は……。

俺は恐ろしいことを考えてしまい身震いをする。


い、淫乱パーティーかっ!? 俺が広場に入ったら待っていましたと変な薬飲まされて快楽の園にレッツパーレィーされるのか!? 木馬に乗せられ鞭で打たれて、SMという戦場にゴーされるのか!?


やべぇ! やべぇぞこの城! 俺は震えの止まらない体を抑える。

ここは楽園(ハーレム)なんかじゃねぇ……地獄(ハーレム)だ!


悪魔のすむ地獄の中核に俺は今いるのか……。

今にも逃げ出したい気持ちでいっぱいだ。

しかし、逃れられないとなるとしょうがない。ここは知らない振りをして奴等の出かたを伺おう。


ひとまずパーティーの場所を聞かなければ。俺は一つの部屋の扉をノックする。

「すいませーん」

俺が木製の扉をリズムよくたたくと扉の向こうから声がする。

「はーい」

とかわいらしい声が聞こえ、俺は了解を得たとわかるとドアノブに手をかける。


「あのーパーティー会場というのはどこにあるんですか?」

俺が部屋に入る。


きちんと片付けられている部屋には女の子が飾るような雑貨がいっぱいあちこちにあり、かわいらしい印象が持てた。


タンスに机、ピンクのベットにふわふわの絨毯。あらゆる家具が置かれておりまさに女の子の部屋だ。

だが肝心の女性がいない。少しばかり入り口で中をきょろきょろしていると奥の扉から声がかかる。


「こちらですぅー」

さきほどの軽い声の主が扉から出てきた。

茶色のパーマ頭をした女の子が体にバスタオルを巻いたまま出てきた。


どうやらお風呂から出てきたばかりのようだ。俺は彼女のすがたに少し動じるが気持ちはしっかり持つ。

しっかりしろ! ハーレムではこんなこと日常茶飯事なんだぞ! となどと思っていたが、女性のほうは俺の登場に驚いていた。


「えっ……男……?」

彼女は頭を拭いていたタオルの動きを止め固まる。どうやら男の俺がたずねてきたとはおもっていなかったようだ。


「て、敵ね!? そうでしょ!」

女の子はあわわと身構えると側の壁に掛けられている剣を取る。

と、剣を取ろうとした拍子に体に巻きつけられていたバスタオルが外れ、床にはらりと落ちた。

「あっ……!」

彼女が急いでタオルを拾おうとするが見事にそのタオルは彼女の手からすり抜け、その裸体を俺の目の前でさらしてくれた。


「……」

彼女の顔が赤く染まる。その色白の肌に俺の目は釘付けになった。

やばい所はちょうど腕で隠れていたが、俺の心へのダメージは深刻だ。


どうすればいいのだろうか……などと鼻血を流しながら考えているうちに彼女から口を開いた。

「ちょっ……何見てんですかぁー!!?」

剣を手に取り彼女は俺に向かってぶんなげてきた。

「おばぎゃぁーーー!?」

今まで出したことのない叫び声をあげ、俺は反射的にしゃがむと頭のすれすれに剣が通り向け、そのまま壁に刺さった。


「はわわわわ……」

俺はあぶねぇと汗を流し、彼女をにらむ。

「てめ、何しやがんだ!」


「こっちのせりふですよ!」

バスタオルを体に巻き直した彼女も俺を見ると一定距離を離す。その顔には険悪な表情が浮かんでいる。

「……で、何なんですかあなたは?」

側の引き出しから下着をひっぱりだすと彼女はすばやく着替え、剣をこちらに向けながらすり足で近づいてくる。どうやら警戒態勢は解いてくれないようだ。


「お、俺はだな……今日より魔王の執事に就任した壱語一江という者なんだけど……」

両手を挙げ、攻撃の意思はないことを伝える。


すると彼女は俺の言葉にはっとした表情で次にあせった顔を見せながら、剣を下に下げた。

「えぇ!じゃあ……あなたが救世主さん?」

「救世主ってほどでもないけどな……」

俺は言われ慣れない言葉に全身にむずがゆさを覚える。


「こ、これは失礼したです!」

下着姿の彼女はばたばたと机を運ぶと俺の目の前にいすを持ってくる。

「どどどどどうぞぉ!」

汗を流しながら無理な笑顔を振りまく彼女。


何だ一体?そこまで俺は重要視されてる存在なのか?


俺は彼女の態度の豹変振りに戸惑いながらも席に座る。

「あ、私は魔界の戦闘員をさせていただいていますベルナノと申します」

彼女はにこりと笑う。まるで可憐な花が笑みを浮かべたような気持ちのよい顔に俺は身震いを覚える。


「それで、何の御用でしょう……」

彼女は向こう側に座りながらも俺のほうには目も向けない。

よく見ると頬を赤く染めていた。何で照れてるの? 裸体見たから?


「いや、あのな……まずその……さっきはすまなかったな」

俺は頭を下げる。ここは素直に謝罪をしていた方がよいだろう。変な印象もたれちゃおしまいだ。


「へ?何がですか?」

彼女はこちらにお茶を渡しながら、首をかしげた。

「だから……さきほど裸見たから……」

「な、何言ってるんですか……」

彼女は照れながら愛想笑いを浮かべる。


「救世主さまほどとなると、女子の裸なんて腐るほど見てきてるんでしょう?」

「いや見てねぇから! んな変態な趣味持ってねぇから!」

俺は即座に突っ込む。エロ本や友達とのエロ談義も少しはたしなむ程度のことはしている俺だがそこまでの領域には達していない。

見ているといってもせいぜい2次元だ。まだ3Dには早い年頃なのは自粛している。

「そんな……わざわざ嘘などつかなくてもいいのですよ。それに私のところに来たのも、もちろん……」

彼女はそういうと顔を外にそらし、首下の下着を前に伸ばす。大き目の胸の谷間があらわになる。


「私の体のためなんでしょう?」

「なんでだぁぁぁぁ!?」

俺は身を乗り出す。どういう勘違いしてんのこの(アマ)ァ!?


いきなり何この展開? なんでそうなんの? 俺ってそういう悪代官みたいな顔してんの?


「あなたの様な人になら……体を好きなように使われていいですわ。それが……私の運命ならば……」

彼女はすっくと立ち上がり、俺のほうへと歩みを進める。

「嫌々! 違うって! 俺はただ道を聞きたいだけで……」

俺は席から立ち上がり、扉に後ずさりをする。

「道って快楽の園への?」

彼女はあやしげな笑みを浮かべる。茶色の髪が逆立ち、黒いオーラーをまといながら俺に接近してくる。


やべぇ! このままでは犯られる!

「ちげぇー! パーティー会場への道だよ!」

と危機を察した俺は必死の弁解を試みた。

「会場?あぁ、それなら第3会場のことね」

彼女はやっと歩みを止める。どうやら会場の場所を知っているようだ。助かった、いろんな意味で。

「ここから3階ほど上がっていけばつくはずよ」

「それはありがとう!」

俺はぎこちない笑みを返し、即座に後ろの扉から外に出て離れる。当然ダッシュだ。

おそらく今の走りは学校体育のリレーでも出したことのない記録が生まれている事だろう。


やっぱこいつら変人ばっかだ! 

淫乱アバズレだらけの変態団地じゃねぇか!


「ちくしょぉぉぉーーー!」

俺は逃げながら叫ぶ。

その声は通路に響き渡り、まだ部屋の中に残っていたベルナノにも聞こえていた。

部屋の中で下着姿で立っている彼女はぺろりとしたなめずりをし、くすすとやさしく笑う。いや、けっしてやさしくはないだろう。その声は不気味さを帯びている。


「楽しみだわ……救世主様……」

彼女はそうつぶやくと剣を取り、引き出しを開け中の服を眺めた。

どれもメイド服ばかりが並んでいて、どれもいかがわしい匂いがぷんぷんする。

「ふふふ……戦闘員兼『メイド』の血が騒ぐわね。……ってそろそろ行かないと魔王様に怒られるわね」

彼女の細い腕がメイド服をつかむ。


魔王軍メイド ベルナノ出陣だ。












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