2009年
2009年
基本情報
社長 辻直広
強化 林淳一GM
監督 水沢威志
主将 金正承
スローガン 改新
加入
首脳陣
監督 水沢威志 44歳 横浜SSS
ヘッドコーチ 佐藤幸仁 39歳 大分
コーチ ラモン 37歳 横浜SSS
GK
24 免田拓巳 27歳 浦和 途中加入
DF
5 レオナルド・ジアス 30歳 ラモンテ
13 原直樹 22歳 九州北大
32 小林翔 18歳 松戸英明高
MF
7 桂城矢太郎 20歳 柏
12 戸口亮太 26歳 新潟
15 鈴木昌秀 25歳 F東京
19 大庭啓 22歳 大都大
22 寺内陽太 24歳 甲府
FW
9 金正承 25歳 釜山
10 光好一 20歳 清水
16 大谷蓮 22歳 東北体育大
26 春野甲次 22歳 安息大
退団
首脳陣
小松田実 地域リーグ移籍
布山裕一 地域リーグ移籍
白井正人 ジュニアユースコーチ就任
GK
岩井雄大 地域リーグ移籍
DF
岡本道治 北九州
宮本明矢 引退
石井健太 引退
渡辺一也 長崎
根岸功介 引退
MF
チッコ ブラジル帰国
鈴木徳次 引退
薮本晋悟 北九州
金重大祐 沖縄
谷森健人 熊本
小松友弘 地域リーグ移籍
FW
前川健次 地域リーグ移籍
レジナルド 大宮復帰
背番号変更
22→3 松広康
29→21 小野田俊
チーム力アップを目指すための特効薬として期限付き移籍を大いに活用したのが昨年との違いであった。その結果MF桂城、FW光という強力な選手の獲得に成功した。また、外国人も長身のジアスや韓国人の金正承を新たに獲得。評論家からも「2年目にしてようやくプロらしい布陣になった」と好意的な声が多かった。
新人選手は基本的に即戦力期待の大学生だが、サイドバックには唯一の高校生となる小林を加入させるなど育成も重視する考えも示した。背番号では、松と小野田が若返った。
その一方で宮本、鈴木、前川といったJFL時代の主力選手に対して契約を結ばないと通告。怪我によって1試合しか出場できなかった鈴木は引退、宮本も引退してユースのコーチに就任、前川は当時地域リーグに所属していた松本へ移籍した。J2初年度に向けて補強した岡本、石井、谷森、伊藤らはごっそり退団。監督とともにコーチ陣も一人を除いて退陣と、大胆な変革を断行した。
春
選手が入れ変わっただけでなく、チーム自体がまるで別物になったかのような大躍進を見せた。開幕の福岡戦ではいきなり移籍加入の光と桂城がそれぞれ決めての2対0で快勝。その後も4連勝で一時は首位に立つなど、昨年は最下位争いをしていたとは思えない好スタートを見せた。
好調の要因はオフェンスだった。桂城、高橋、金、光とJ1レベルの個人技を持つ選手が揃った上に、コンビネーションも抜群だった。一方ディフェンスは強くなかった。ジアスは確かに身長こそ高かったがひょろりとしており当たりに弱く、しかも守備より攻撃のほうが好きなタイプだったのでよくオーバーラップしてはいなくなったスペースを狙われた。右サイドバックに入ったルーキー原がカバーに入って奮闘する姿を思い出せるサポーターも多いだろう。
一部ではちょっとしたネタとして「尾道の好調は苗字が一文字の選手によって成し遂げられている」などと言われていた。確かに光に原、松に平、そして韓国人の金と他の時期と比べても主力選手に漢字一文字の苗字を持った選手が多いのだが、当然桂城や高橋など二文字の選手もしっかりチームを支えていたのは言うまでもない。
この時期の基本的なスタメンは以下の通り。全チームと一通り当たった時点では3位だったが、間もなく正GKの野沢が競り合いの際に負傷。シーズン中の復帰は絶望となった。ただでさえ脆い守備を支えてきた野沢の離脱は尾道にとってあまりに痛い出来事だった。
GK 1 野沢裕
DF 13 原直樹
DF 5 ジアス
DF 3 松広康
DF 17 平将吾
MF 6 山田哲三
MF 27 クラウジオ
MF 7 桂城矢太郎
MF 8 高橋一明
FW 9 金正承
FW 10 光好一
夏
攻撃陣は相変わらず強力だったが守備はほとんど崩壊していたので勝ち点は伸びなかった。代役のGKである奥本は鋭い反応でPKをセーブするなど出来る限りではよく頑張っていたが全体的には軽率なミスで不要な得点を招くなどいかんせん力不足。特に統率力においては野沢と格段の差があり、細かいミスが原因の安い失点が増えてしまった。
8月には浦和から期限付き移籍でGK免田を獲得したが焼け石に水。オフェンス陣はセッションを重ねるバンドのようにどんどんコンビネーションが発達していくが、ディフェンスはむしろ回を重ねるごとに選手たちが孤立していくようだった。3点取っても4点取られるサッカーといった状態で当然順位も急落。悪夢の9連敗で5位から13位まで下降するに至った。
この時期の基本的なスタメンは以下の通り。とにかく守備が厳しかった。ジアスの守備力は極めて頼りにならないが他にいないので使うしかなかった。松や千賀も単独で守備陣を支えるほどの力量はなく、結局スペースを埋める山田の運動量が増えるばかりであった。
しかもそんなタイミングで大黒柱のクラウジオが大宮に引き抜かれる始末。昨年途中から1年契約で、それが切れるところで尾道では不可能な現金攻勢を仕掛けられたらひとたまりもない。資本主義社会である以上マネーが力なのはどうしようもなく、これもまたクラブの力不足が招いた痛恨事であった。
リザーブの選手では怪我から復帰した長山やベテランの木暮、強力なロングシュートを持つ大庭といった選手たちが味を見せたが彼らも基本的には攻撃を持ち味とする選手。攻守のバランスの悪さがチームの課題であった。
GK 20 奥本一平
DF 13 原直樹
DF 5 ジアス
DF 4 千賀尚斗
DF 17 平将吾
MF 6 山田哲三
MF 27 クラウジオ
MF 7 桂城矢太郎
MF 8 高橋一明
FW 9 金正承
FW 10 光好一
秋
秋になると多少は持ち直してきた。と言うよりそれまでの悪すぎる流れは一応断ち切られて、勝ちもすれば負けもするというある種の出たとこ勝負に近い荒っぽい戦いを繰り返すチームになってきたのだ。最終的には12位でフィニッシュ。昨年より順位を上げたものの、当初の印象より落ち着いた数字に終わった。
ディフェンスでは高さがあるものの貧弱なジアスに見切りをつけて経験豊富な千賀と松を組ませる事である程度安定した。セットプレーにおけるジアスのヘディングは貴重な得点源だったが、あまりにもバランスを崩しすぎる悪癖は改善されなかった。またGKは免田が多く守ったが細かいミスが多く、安定感という点では野沢には遠く及ばなかった。
この時期の基本的なスタメンは以下の通り。右サイドバックなら長山と原、ボランチだと大庭と鈴木あたりが対戦相手やチーム状況によって使い分けていた。オフェンス陣は結局シーズンを通してこのメンバーで戦ったが、期限付き移籍の選手が多いので「オフにはどうなるか」という心配を内心で抱きながらの輝きであった。
GK 24 免田拓巳
DF 2 長山集太
DF 4 千賀尚斗
DF 3 松広康
DF 17 平将吾
MF 6 山田哲三
MF 15 鈴木昌秀
MF 7 桂城矢太郎
MF 8 高橋一明
FW 9 金正承
FW 10 光好一
冬
案の定と言うべきか、チームの根幹をごっそりえぐられた。光は予定通りの清水復帰、桂城は本人も尾道残留を望んだが元々の所属先である柏がまさかのJ2降格となったため呼び戻された。また、千賀は千葉に、金は韓国にそれぞれ引き抜かれた。
水沢監督をはじめとする首脳陣は全員が残留した。息切れはしたもののシーズン序盤の勇ましい戦いは誰からも評価されるに値するものであったので反対の声は皆無であった。「第1クールの戦いを続けられたら昇格できる」という林GMの言葉がサポーターの思いを代弁していた。しかし主力が抜けたので戦力ダウンは必至と見られていた。
一言寸評
水沢監督……攻撃サッカーで尾道に新風を吹き込んだ
GK
野沢……返す返すも怪我が痛すぎた
奥本……代役として奮闘したが力不足も目立った
免田……緊急補強から一応ポジション確保もポカ目立つ
桑田……出番なく今季限り
DF
長山……攻撃的な長山と守備的な原を相手によって使い分けた
松……地味だがミスの少ないディフェンスで貢献
千賀……堅実で正確なプレーで途中からレギュラー確保
ジアス……オフェンス好きで思ったより守備安定に貢献せず
原……新人らしからぬ知的で冷静なプレーは見事だった
平……佐藤コーチの指導でプレーの安定感が増した
高家……フィジカルより安定感重視の指揮官とは合わず
佐々木……中盤で試されるも怪我もありアピールしきれず
小林……新人ながら小気味よいドリブル突破で4試合出場
MF
山田……攻撃的選手に注目が集まる中地味に汗をかいてくれた
桂城……突破力もある司令塔として光や高橋と華麗な攻撃を演出
高橋……持ち前の突破はさらに鋭さが増した
戸口……怪我もあり持ち味のスピーディーな突破は不発
鈴木……後半戦に出番増やすもクラウジオの後釜は荷が重かった
大庭……パワフルなシュートは衝撃的だったがまだムラが大きい
寺内……トライアウトから加入も存在感見せられず
クラウジオ……チームの安定感を司っていただけに引き抜きは痛恨
川崎……怪我もあり持ち前のテクニックをアピールできず
FW
金……抜群のフィジカルでチームを支えた
光……圧倒的なスピードと得点感覚を見せつけチーム得点王
木暮……金や光の台頭でベンチスタートが増えた
大谷……身体能力の高さは見せられた
小野田……背番号が若返ったが出番は減少
田村……鳥栖戦のヘディングは印象的だったがこの1ゴールのみ
春野……スピードは脅威的だったが怪我に悩まされた