2017年
2017年
基本情報
社長 飯沼香南子
強化 大江雄三強化本部長→能島兼安GM
監督 竹島良吾→佐藤幸仁→ドン・ヒース
主将 桂城矢太郎
スローガン more aggressive
加入
首脳陣
監督 竹島良吾 45歳 TAKE SS
ヘッドコーチ ダヴィド 55歳 ベレン
通訳兼コーチ 鈴木美春 32歳 イーサーン
フィジカルコーチ フェレイラ 40歳 ベレン
監督 佐藤幸仁 47歳 大分 途中就任
ヘッドコーチ 宮本明矢 37歳 C大阪 途中就任
監督 ドン・ヒース 57歳 モンマス 途中就任
ヘッドコーチ アーサー・セントジョン 60歳 モンマス 途中就任
GK
32 山田多摩男 24歳 栃木 途中加入
DF
2 円山青朗 27歳 仙台
4 鄭先珍 30歳 扶余 途中加入
17 日川周 21歳 湘南
24 西東良福 22歳 千葉より復帰
MF
5 池山大心 32歳 神戸
8 ラファエル・トリニダード 17歳 スクンビオス
13 奈古一平 22歳 中立大
23 成田秀哉 20歳 長崎より復帰
36 中原城吾 37歳 蘇州 途中加入
FW
33 池角斌生 18歳 尾道ユース
35 サイード・アブドゥルアジズ 20歳 ジャバル 途中加入
退団
首脳陣
佐藤幸仁 47歳 フロント入り
古谷龍樹 49歳 尾道ユースコーチ
竜石粂継 29歳 フロント入り
神田幸雄 42歳 川崎
GK
蔵侍郎 33歳 引退
エマーソン 21歳 GCC
DF
岩本正 27歳 磐田
結木千裕 23歳 和歌山
宮地武雄 35歳 京都
仲真勝大 22歳 福岡
ジェス・ロー 35歳 アル・マリフ
MF
堀尾大将 21歳 横浜C
村松星 25歳 東京V
二木太一 24歳 大宮
フランシスコ・ペレ 21歳 岡山
御野輝 24歳 サンドニ
FW
登録名変更
中ノ瀬育巳→山元育巳 養子縁組による
背番号変更
35→1 種部栄大
3→2 佐藤敏英
24→3 山元育巳
2→22 マルコス井手
長年コーチとしてチームを知り尽くしていた佐藤幸仁が監督に就任した2016年の尾道は、3-4-3という今までとは全く異なるフォーメーションによる攻撃サッカーを目指した。
シーズン序盤は新戦術の理解度が低かった事や亀井の不調などもあり、降格圏内での戦いを強いられた。しかし戦術理解が高まった後半戦からは驚異的な実力を発揮した。それぞれの選手が持ち味を発揮しながら一つの強靭なチームとしてまとまり、フィニッシュを叩き込む役割を担ったベテラン荒川秀吉はタイトルも獲得した。
しかしもはや全ては過去となってしまった。フロント一新によって佐藤監督は退任して、元日本代表の人気者だった竹島良吾が監督に就任したからだ。そういう意味では選手や首脳陣の入れ替わりよりも社長が元サッカー選手だった藤堂志一から飯沼香南子へ、強化の責任者が創設時からの生え抜きでもある林淳一から大江雄三へ入れ替わったのが最大のトピックスであったとも言えるだろう。
しかしそのようなピッチ外の戦いはともかく、竹島監督が目指すサッカーは非常に挑戦的なものであった。資金的に苦しい時期が長かった事もあって、歴代の尾道首脳陣は個人に頼らずチームの総合力を重視したサッカーを志向していた。攻撃サッカーを掲げた佐藤監督もベースはそういった生真面目さであった。
竹島監督はテクニックよりハードワークという尾道の歴史を変えようとしているのだ。そしてその旗手となるのが新外国人のトリニダードだ。プレシーズンマッチ5試合で14得点という圧倒的な数字を残し話題になっているが、実力的に弱点がないどころかオフェンスに関するあらゆるプレーが強みとなっている。尾道だけでなく、今年のリーグ最強の新加入選手と言えるだろう。なんで日本に来たんだろう。
トリニダード以外にも昨年終盤に起用され、パワフルなシュートで注目された謝花や期限付き移籍の長崎から復帰した成田の評価も高まっている。いずれもテクニックやイマジネーションに溢れる選手で、まさに指揮官の目指すサッカーを体現する男たちである。
一方で守備陣はほとんど整備されていない。このバランスの危うさは一年前を彷彿とさせるが、指導者としての経験がほとんどない竹島監督がどれだけチームをまとめられるか。問題はその一点のみにある。
春
船出は鮮烈だった。竹島新監督に率いられた新生尾道はまさに世界トップクラスの個人技を誇るトリニダードを中心に、謝花や成田などテクニシャンを揃えたオフェンス陣が躍動して連勝スタートを飾る。しかしその輝きは長く続かなかった。
7失点を喫した第3節の和歌山戦以降は守備の不安が一気に表面化し、またトリニダードのマークが厳しくなると得点も減少していった。これは攻守ともに組織が未発達だったのが原因である。オフェンスは言うに及ばず、ディフェンスに関しても円山のハードマークや種部の奮闘は光っていたがもはや個人の奮闘でどうにかなる範囲ではなく、またそれを是正しようとする指導も見られなかった。特に割りを食ったのが亀井で、広大なスペースを一人で埋めようと毎試合奮闘しては隙を突かれていた。
結局勝利に見放されたまま5月末に竹島監督は辞任。シーズン途中の監督交代はクラブ史上初の出来事であった。特に5月に入ってからは根拠のない若手の抜擢など不可解な采配も多かったが、ラストゲームとなったG大阪戦はいい意味で開き直った采配が見られ、もっと早くこの境地に到達していればと悔やまれる。
そのような時期の代表的なスタメンは以下の通り。中盤がダイヤモンド型の4-4-2というフォーメーションで、前述の通り攻守にわたって不安定だったがツボにはまったときの破壊力は抜群だった。
積極的に若手を抜擢するスタイルは尾道に新たな魅力をもたらしたが、河口や桂城、荒川といった前監督時代に主力を張っていた知恵者をもっと使いこなせていたらこのような結果にはならなかっただろう。そこは初の監督業となった竹島監督の若さであった。
GK 1 種部栄大
DF 12 茅野優真
DF 5 池山大心
DF 15 円山青朗
DF 22 マルコス井手
MF 10 亀井智広
MF 27 謝花陸
MF 23 成田秀哉
MF 8 トリニダード
FW 11 野口拓斗
FW 18 浦剣児
夏
竹島監督の退任とともに始まった尾道の夏。後任に指名されたのは前監督の佐藤幸仁であったが、これは新監督を見つけるまでのつなぎ、あくまでも暫定的な措置であるとも同時に発表された。実績ある人物に対していささか礼を失した人事だが、ともかくこのような形で新生尾道は走り出した。
佐藤は昨年、大胆な攻撃サッカーを展開してリーグに新風を巻き起こした。しかしベース作りに失敗した今年の尾道にそれは望めない。そこで指揮官はポリシーを曲げて、守備重視のサッカーに徹した。事実上のファイブバックを敷き、攻撃はトリニダードのテクニック、野口の高さ、荒川の決定力といった個人技に頼った。
非常に不格好で、選手の中からも「現状を考えると仕方ないけど、さすがにこれはちょっと……」と難色を示す者も現れた。一部サポーターからも「あまりにも内容がなさすぎる」という声が上がったが、しかし勝ち点は得られた。
そして7月にはドン・ヒースが新監督に就任が発表され、それに伴い佐藤は新設されたGM補佐の役職に退いた。その戦いについては秋の項で述べるとして、以下に提示されているのは佐藤監督時代の代表的なスタメン。テクニックのなさを竹島監督に嫌われていた長身の讃良がスタメンに復帰し、ボランチには山田が多く名を連ねた。
彼らのように長所と短所がはっきりとした、癖の強い選手を使いこなす佐藤采配の巧妙さが改めて示された。この優秀な指揮官をフロントは単なる便利屋としか認識していないのがまったく腑に落ちない。
GK 1 種部栄大
DF 15 円山青朗
DF 5 池山大心
DF 20 讃良玲
MF 12 茅野優真
MF 10 亀井智広
MF 6 山田哲三
MF 17 日川周
MF 8 トリニダード
FW 11 野口拓斗
FW 9 荒川秀吉
秋
結論を先に言うと残留には成功した。ヒース監督率いる尾道は一時期降格圏に肉薄した事もあったが、終盤戦に連勝を果たして自力で地位を守り切った。
この時期の代表的なスタメンは以下の通り。DFは円山が怪我で離脱したものの、身体能力抜群な讃良が高い集中力を見せた。また左サイドバックには西東が台頭し、若いながらも安定感の高いプレーでチームを引き締めた。
フラットに並べた中盤の右には新人の奈古が気風の良いドリブル突破で大アピール。中央の亀井と河口も攻守に貢献した。左は桂城やサイードに加えて井手も起用されるなどメンバーが固定されておらず、相手によって使い分けていた。そして気付いたらスタメンに返り咲く河口。
一応スタメンとして掲載されているシーズン途中加入の天才中原はむしろ途中交代で違いを見せた。他にも荒川や山田といったベテランは要所要所で自分のプレーを披露し、プロの世界でここまで生きてこられた理由を示した。中原や荒川は運動量が制限され、タフな山田は起用したらオフェンスが厳しくなる。しかし各々がキャリアを積み重ねる中で培った武器はチームにとって貴重な勝ち点を多くもたらした。
またトリニダードは監督と意見対立があって出番に恵まれなかったが、決して長くない時間内では相変わらず超人的なプレーだった。偏狭と罵られても仕方ないが、トリニダードほどの実力者であっても方針に従わないなら起用しないという判断を下せる指揮官の厳しさが残留を手繰り寄せたとも言えるだろう。
GK 1 種部栄大
DF 12 茅野優真
DF 5 池山大心
DF 20 讃良玲
DF 24 西東良福
MF 13 奈古一平
MF 10 亀井智広
MF 19 河口安世
MF 36 中原城吾
FW 11 野口拓斗
FW 18 浦剣児
冬
今年の冬はいつもより長かった。天皇杯の決勝まで進出したため、このメンバーで年を超えて戦えたのだ。ゴタゴタ続きのシーズンだったが、最後に意地を見せたと言えるだろう。
なお決勝戦の結果は、前半に相手であるC大阪ディフェンス陣のミスを突いて幸先良く浦が先制ゴールを決めたもののその後追いつかれて延長戦に突入。序盤以降は押されつつもよく粘った尾道だが試合時間が100分を超えた時、ついに決勝点を奪われる。その後荒川と中原を投入するも時既に遅しでそのままタイムアップとなった。
しかしシルバーのメダルを首に下げたイレブンは一様に清々しい笑みを浮かべていた。一年間苦しくとも最後まで戦い抜いた、その充実感と開放感がそうさせたのだ。ただ試合終了直後にトリニダードの移籍が報道されるタイミングの良さはいかにも作為的であった。また長年尾道の太陽として君臨していた桂城は東京Vに移籍、川崎は選手登録を外れて復帰を目指す事となった。
一言寸評
竹島監督……改革を志すも混乱とともに退場
佐藤監督……徹底的な守備戦術で勝ち点稼ぎの任務達成
ヒース監督……冷徹なまでの厳しさで戦術徹底し残留に成功
GK
種部……怪我はあったがレギュラーとして奮闘した
西……安定した力はあったがアピール不足
木野下……リーグ戦初出場を果たしたがまだまだ育成途中
山田多……ピッチ内外で存在感を発揮して二番手に定着
DF
佐藤……バックアッパーの立場から抜け出せず
山元……昨シーズンよりも影が薄くなった
鄭……体の絞り込みが足りずほとんど働けなかった
円山……レギュラー確保もカード多く終盤には負傷で離脱
日川……チームの混乱に振り回されてやや中途半端な立ち位置に
讃良……悪い時は悲惨だが良い時はワールドクラスの存在
井手……竹島時代はスタメンに名を連ねるも全盛期の切れ味には程遠い
西東……器用かつ実直なプレーでヒースから信頼を得る
汐野……オーストラリアへ武者修行に出た
小河内……DF本格転向も出番はほとんどなく今季限り
MF
池山……センターバックとして全試合フルタイム出場
山田哲……佐藤時代はレギュラーに返り咲いた
桂城……出番に恵まれずシーズン終了後移籍を決断
トリニダード……圧倒的実力で後半戦干されてもチーム得点王
亀井……チームリーダーとして苦しいチームを引っ張った
茅野……右サイドバックに定着しアグレッシブに活躍
奈古……物怖じせぬ突破を買われてヒース体制でレギュラーに
河口……序盤は出番なしも監督交代以降は実力発揮
成田……竹島に抜擢されるも力不足を露呈
謝花……時々素晴らしいプレーを見せるがまだムラがある
川崎……心臓病に倒れ一命を取り留めるもシーズン出場なし
中原……繊細なボールタッチは天才の面目躍如
FW
荒川……起用法が固定されない中でも10得点は見事
野口……得点は更に減ったがフォア・ザ・チームで体を張った
浦……本人は不満そうだが着実に力を付けている
車……今年も怪我が多く期待に応えられず
池角……まずは体作りから
サイード……持ち前のスピードとガッツはカップ戦で本領発揮




