2011年
2011年
基本情報
社長 辻直広
強化 林淳一GM
監督 水沢威志
主将 港滋光
スローガン 新風
加入
首脳陣
コーチ 中島大輔 40歳 清水
GK
20 宇佐野竜 18歳 尾道ユース
30 田中佑太 29歳 千葉
DF
5 港滋光 31歳 湘南
12 開田伊多智 24歳 アムール 途中加入
26 深田光平 22歳 G大阪
MF
13 中村純 22歳 純国大
15 山根高明 21歳 広島
21 大原明 20歳 横浜M
24 御野輝 18歳 尾道ユース
FW
18 小泉新吾 24歳 川崎
29 ヴィトル 19歳 カンポス 途中加入
退団
首脳陣
山奥信次 フロント入り
GK
奥本一平 地域リーグ移籍
免田拓巳 岐阜
DF
松広康 熊本
原直樹 豊橋
MF
佐久間翔 横浜M
鈴木昌秀 大分
FW
春野甲次 北九州
サンタナ ブラジル帰国
背番号変更
5→3 佐藤敏英
3年目を迎えてそろそろ結果も必要な水沢監督。今シーズンは2009年と同じく期限付き移籍を活用する事で戦力の一時的な底上げに成功した。サイドバックの深田、中盤の山根と大原、点取り屋の小泉とバランスの良い補強は評論家からも好評だった。また、守備陣のリーダーとして白羽の矢を立てたベテラン港の獲得にも成功。「これで今シーズンの失点が最低でも10減った」と水沢監督もご満悦だった。
新人ではGK宇佐野、MF御野というユース出身の選手が初めてトップチームに登録された。一方で松や奥本らは契約満了で退団となった。また原は引き抜かれる形で移籍した。なので今でもブーイングを浴びる存在となっている。もっとも佐久間に比べるとそのブーイングもまだ悪意が薄いのだが。
その佐久間やサンタナに関しては、期待に背いたと言わざるを得ない成績だったため退団は誰もが納得していた。彼らは今でも「尾道で一番役立たずだった選手」「尾道が行った最悪の契約」といった話で真っ先に名前が上がるツートップであり、尾道サポーターに与えたトラウマは計り知れない。
背番号はレンタル延長の佐藤が5から3に変更された。移籍加入の港が背番号5を希望した事が主な理由であるが、佐藤自身はこだわりがない様子だった。コーチは小松田監督時代から在籍していた山奥が強化部入りして、代わりに情熱的な指導で知られる中島大輔を招聘した。
春
開幕戦においていきなりベテラン木暮が負傷。結局これが原因でこの年の暮れに彼は引退となる。また、高橋もやはり引退に繋がる負傷をしてしまった。チームの象徴と言える二人が表舞台からの退場を余儀なくされるという幕開け。これら事例こそが2011年春の雰囲気を表している。すなわち、最悪。
この時期の基本的なスタメンは以下の通り。新加入選手を積極的に起用した水沢監督だが、なかなか戦力がうまくはまらなかった。劣勢の中でも一瞬で流れを変える事が出来た高橋の離脱以降は特に苦戦して、一時期は最下位にも沈む有様であった。
その中でも救いだったのが守備で、新加入とは思えないリーダーシップを発揮したセンターバックの港を中心に佐藤や新加入の深田も攻守によく奮闘していた。もちろんベテランGK玄馬もさすがの安定感。しかし点を取れないと勝てはしない。じれったい成績が続いた。
サポーターとの関係も当然悪化。「水沢監督即刻退陣せよ」の横断幕が掲げられたのも結果を見るに致し方ない事であった。フロントもあらゆる可能性を考慮して複数回検討を重ねたが、最終的に下した決断は続投だった。「結果ほど内容は悪くない。これから必ず上昇していく」との事であったが、一番必要なのは結果だと考えるサポーターからのブーイングは続いた。
GK 1 玄馬和幸
DF 26 深田光平
DF 4 アンドレ・シウバ
DF 5 港滋光
DF 3 佐藤敏英
MF 6 山田哲三
MF 15 山根高明
MF 10 金田正和
MF 8 高橋一明
FW 9 王秀民
FW 18 小泉新吾
夏
今までは失速の記憶しかなかった夏だが、今シーズンに限っては上昇気流に乗る事が出来た。要因としては新加入選手が尾道の水に慣れて本来の実力を発揮できるようになったのがまず一点。また、金田の成長も大きかった。それまでは貧弱な印象があったが、体力をつけた事で簡単にボールを奪われなくなった。
さらに新外国人のヴィトルの健闘も光った。持ち前のスピードと狙った獲物を逃さないシュート力はまさしく弾丸。素晴らしい選手でこのままいくと途中加入からの得点王さえ窺う勢いだったが、しかしこのヴィトルも負傷で離脱してはひとたまりもない。順位は最高で6位まで浮上していたが、これが限界だった。
この時期の基本的なスタメンは以下の通り。左サイドバックには高卒2年目の今村が定着。スピードはあまりないがツボを心得た動きが出来るテクニシャンで、視野も広くチームの中心となりうる選手と見られた。また期限付き移籍の大原も頭脳的プレーで意外性のある活躍を見せた。ロシア二部から開田を補強したのもこの時期。
GK 1 玄馬和幸
DF 26 深田光平
DF 4 アンドレ・シウバ
DF 5 港滋光
DF 23 今村友来
MF 6 山田哲三
MF 15 山根高明
MF 10 金田正和
MF 21 大原明
FW 9 王秀民
FW 29 ヴィトル
秋
秋に入ると引き分けが増えた。どちらかと言うと守備のほうに優秀な選手が集まっている印象の尾道らしいと言えばその通りだが、サポーターの目線から見ても微妙な戦いぶりだったし、第三者から見るともっとはっきりと「面白味に欠ける」と言われる事が多かった。
港はディフェンスリーダーとして新加入とは思えない統率力を発揮したし、今村もすでにベテランのような安定感で堅実に自分の仕事をこなした。一方で前線は王のタフネス、小泉の高さは印象的だったが決定力に欠け、ヴィトルの爆発力が愛しい日々が続いた。
全体的に何となくインパクトのない戦いに終始した感はあるものの、終わってみれば11位と過去最高順位を更新した。チームは間違いなく強くなっているはずなのだ。しかし強くなったようには思えない。奇妙な感覚がチームを覆っていた。
GK 1 玄馬和幸
DF 26 深田光平
DF 4 アンドレ・シウバ
DF 5 港滋光
DF 23 今村友来
MF 6 山田哲三
MF 12 開田伊多智
MF 10 金田正和
MF 21 大原明
FW 9 王秀民
FW 18 小泉新吾
冬
レンタル組は深田を除いて全員が復帰となった。そしてまた新たに期限付き移籍で優秀な、しかし伸び悩みを見せていたり選手の兼ね合いから出番が制限されている選手を次々と獲得した。一方でJFL時代からチームを支えてきた野沢と木暮が引退。まさに尾道の象徴的な選手だっただけにチームを知る人間であるほど感慨深い出来事であった。
水沢監督は今年も留任。コーチ人事ではGKコーチとして引退したばかりの野沢が就任した。怪我をしてからのここ2年は実質コーチだったので肩書きが変わった程度の変化しかなかった。木暮はユースコーチに就任して若い選手たちを育てている。
一言寸評
水沢監督……2009年の輝きはなくとも最高順位更新
GK
玄馬……全試合フル出場で高い安定感を見せた
宇佐野……練習で一番声を出していたユース第一世代
田中……控えGKとして存在感も中盤戦以降はベンチ外増加
野沢……再入団以降は試合出場ないまま引退
DF
長山……チームのムードメーカーもベンチが定位置に
佐藤……サイドから中央までどれも及第点レベル
アンドレ・シウバ……昨年と比べてやや動きが鈍くなったか
港……今季加入と思えない統率力を発揮
開田……チームにフィットしきらず戦力としては微妙
平……怪我もあり今村にポジションを奪われた
鈴木……カードが多いアンドレの代役として奮闘
深田……強気なプレースタイルと鋭い突破で右サイドに定着
小林……怪我もあり出番は少なかった
MF
山田……役割は常に変わらない
村島……出番なく今季限り
高橋……さらに良くなっていた中で悪夢のような長期離脱
金田……背番号10にふさわしい技術を見せつけた
中村……技術と視野の広さでボランチ争いに参戦
山根……華やかさはないが基礎的技術力の高さはさすが
大庭……中盤の陣容が整う中でアピールしきれず
大原……フィジカルは弱かったが賢いプレーで違いを見せた
久保……怪我もあり金田と差をつけられた
今村……堅実なプレーで左サイドのレギュラーに定着
御野……シャープなドリブルは将来への期待を抱かせた
FW
王……タフなチーム得点王だったが決定力は高くなかった
木暮……怪我もありついに引退したミスタージェミルダート
大谷……シーズン途中で富山へ期限付き移籍もシーズン後退団
小泉……高さはあったがゴール数は期待外れ
ヴィトル……得点感覚抜群だが怪我で稼働期間は短かった