2010年
2010年
基本情報
社長 辻直広
強化 林淳一GM
監督 水沢威志
主将 玄馬和幸
スローガン 新歩
加入
首脳陣
フィジカルコーチ 園川広平 26歳
GK
1 玄馬和幸 34歳 新潟
DF
4 アンドレ・シウバ 26歳 ナンシア
25 鈴木仁 27歳 富山
MF
5 佐藤敏英 23歳 鹿島
7 村島平 22歳 青風大
10 佐久間翔 23歳 横浜M
21 金田正和 22歳 大海大
22 久保春人 22歳 総華大
23 今村友来 18歳 聖日学院高
FW
9 王秀民 21歳 上海高級大
12 サンタナ 27歳 ドレイソン 途中加入
退団
首脳陣
GK
桑田大輔 引退
DF
千賀尚斗 千葉
レオナルド・ジアス ブラジル帰国
高家亮 岡山
佐々木帆麻 地域リーグ移籍
MF
桂城矢太郎 柏
戸口亮太 地域リーグ移籍
寺内陽太 引退
クラウジオ 大宮
川崎圭二 水戸
FW
金正承 韓国帰国
光好一 清水
小野田俊 大分
田村清正 地域リーグ移籍
背番号変更
26→18 春野甲次
1→33 野沢裕
新加入選手の多くは中盤の選手だった。鹿島から来た佐藤は守備的なポジションならどこでも器用にこなす万能タイプ。そして林GMが「今年の補強の主役」と言った佐久間は天才的なひらめきでゲームを創造する男だった。また、攻撃的な中盤を本職とする大学生を3人獲得して切磋琢磨させるというそれまでになかった補強も見せた。
それまでにないと言えばGKに日本代表の経験を持つベテランの玄馬を獲得したのもエポックメイキングと言える出来事であった。これまででもっとも実績のある選手だったが、その経験に裏打ちされた堅実なプレーと高潔な人格ですぐチームに欠かせない選手になった。J2での実績が豊富な鈴木も含めて、経験豊富な選手がディフェンス陣に加わったのは大きかった。
新外国人は巨漢DFアンドレ・シウバを獲得。「ジアスより身長は少し低いけど体の厚さが段違い」と水沢監督が絶賛したように、抜群のフィジカルを生かしたパワフルな守備が持ち味だった。また、FWには中国人の王秀民を獲得。馬力のある選手でタフさが魅力的だった。
期限付き移籍の選手はGK免田こそ残留も主力中の主力だった光や桂城は返却。買い取る資金力がなければこうなるのは自明であった。高家、川崎、小野田といった小松田体制では出番のあった選手たちが退団となったのも時代の変化を感じられる出来事だった。怪我の野沢も一時は移籍リストに名前が掲載されたが結局再契約。しかし当分はリハビリに専念する事となり、背番号も大きくなった。
春
序盤は五分の星で推移した。いまいち勢いに欠ける出だしとなったが、そもそも去年がうまく行き過ぎたという側面もある上に、減少した戦力を考えるとよくやっていると言える戦いぶりだった。実際タレントがごっそりいなくなった事で得点力が大幅に落ちた。王や大谷はタフな選手だったが点を取るセンスはあまりなかったので、高橋のドリブルなどでいいところまで切り込んでもフィニッシュはゴールのはるか上空へのシュートといったじれったい攻めはサポーターをやきもきさせた。
それでもある程度持ちこたえられたのはディフェンスが強力になったためである。元日本代表の玄馬の実力はさすがで、新加入のアンドレ・シウバと鈴木のコンビも安定感をもたらした。サイドバックも守備がうまい原が定着した事でより強固になった。
期待の佐久間は調子の波が激しかった。乗っている時は代表クラスの凄まじいプレーを連発するが駄目な時はとことん駄目で、安定感がなく使いにくい存在だった。ボランチに入った佐藤は堅実に自分の役割をこなし、山田との相性もなかなか悪くなかった。この時期の基本的なスタメンは以下の通り。
GK 1 玄馬和幸
DF 13 原直樹
DF 4 アンドレ・シウバ
DF 25 鈴木仁
DF 17 平将吾
MF 6 山田哲三
MF 5 佐藤敏英
MF 10 佐久間翔
MF 8 高橋一明
FW 9 王秀民
FW 16 大谷蓮
夏
またも夏場に失速してしまった。水沢監督は「チームとしてのスタミナ不足」と嘆いたが、まさに選手層の薄さやパターンを研究された後の打つ手のなさなど、誰が悪いという話ではなく全体的な総合力のなさが順位にも反映されてしまった。
ボランチ佐藤を怪我で失うと一気に中盤の支配力が低下した。佐久間のポジションを下げてルーキーの金田や久保というテクニシャンを多用したが、連動的な攻撃にはなかなか繋がらなかった。守備は堅いので不要な敗戦はなかったが勝ちきれないのでズルズルと順位を下げていく、苦しい日々だった。
最前線にはベテランの木暮がレギュラーに返り咲いた。運動量はさすがに低下したがゴール前の嗅覚は衰えなし。89分消えても1分でゴールを決めるという円熟の技術を見せた。この時期の基本的なスタメンは以下の通り。
GK 1 玄馬和幸
DF 13 原直樹
DF 4 アンドレ・シウバ
DF 25 鈴木仁
DF 17 平将吾
MF 6 山田哲三
MF 10 佐久間翔
MF 21 金田正和
MF 8 高橋一明
FW 9 王秀民
FW 11 木暮丘明
秋
8月の終わりに新外国人としてサンタナを獲得。しかしこのサンタナ、チームプレーにうまくなじめずわずか5試合の出場にとどまった。また、佐藤が怪我から復帰して主に左サイドバックとして奮闘した。ボランチにはパワフルな大庭が多く起用された。
佐久間はこの頃になると「コーチともめて練習を早々と切り上げたらしい」「若手に変な遊びを教えているらしい」などという真偽不明な噂が立つようになっており、試合では不甲斐ないプレーを連発した挙句、最後にはベンチからも消えたのが噂の信憑性を高めてしまった。
基本的には大嘘だったらしいが、当時のプレーぶりを見るとフラストレーションを解消するための槍玉に挙げられても仕方なかった。そんな佐久間にはすっかり見切りをつけられた代わりに金田と久保のポジション争いは激化していた。
この時期の基本的なスタメンは以下の通り。最終的には15位で全日程終了となった。この時期のJ2は毎年のように膨張していたので初年度と違って下には多くのクラブがいたが、あまり歓迎できる順位とは言えなかった。
GK 1 玄馬和幸
DF 13 原直樹
DF 4 アンドレ・シウバ
DF 25 鈴木仁
DF 5 佐藤敏英
MF 6 山田哲三
MF 19 大庭啓
MF 22 久保春人
MF 8 高橋一明
FW 9 王秀民
FW 11 木暮丘明
冬
辞任の噂も流れた水沢監督だがまたも残留が決定。林GMいわく「乏しい戦力の中で出来る限りの成績を残した」というのが理由だった。一部サポーターは反発したが、基本的にはその見方が支持された。監督やGMと言った上層部以上にサポーターから叩かれていた佐久間やサンタナは退団が決まったのでそっちへ目が向けられたという部分もあるが。
とにかく、去年と今年は同じ監督が率いる同じチームでありながらまるでタイプの異なるチームに仕上がった。水沢監督は与えられた選手の中から最善の戦術を当てはめるタイプの監督であり、そういう意味では非常にらしさが出た結果と言える。
一言寸評
水沢監督……やや停滞もチーム力は向上しつつある
GK
玄馬……安定感抜群のプレーはさすが元代表
奥本……身体能力不足が浮き彫りに
免田……安定感が足りずリザーブが限界
野沢……怪我の影響で一時は退団も再入団
DF
長山……怪我もあり出番減少
松……鈴木にレギュラーを奪われた
アンドレ・シウバ……ジアスよりはるかに優秀
原……長山との右サイド争いを優位に進めた
平……左サイドもすっかり板についた
鈴木仁……豊富な経験でレギュラーに定着した3人目の鈴木
小林……攻守に安定感を増して右サイドの第三極に
MF
佐藤……守備的なポジションならどこでも器用にこなした
山田……相変わらずのタフさでチームを下支え
村島……ドリブル突破がはまれば強いがムラが大きい
高橋……パスも上達してトータルの実力向上中
鈴木昌……昨年から在籍も出番は減少
佐久間……才能の片鱗を垣間見せるも本人の意識が追いつかず
大庭……パワフルなプレーでアピールもミスが多かった
金田……セットプレーの正確さで猛アピール
久保……華麗なテクニックで金田とポジションを争う
今村……すべてのポジションをこなす器用さは印象的
FW
王……抜群のフィジカルで衝撃を与えた
木暮……冷静なプレーでチーム得点王に返り咲いた
サンタナ……エゴイスティックなプレー連発で期待外れ
大谷……タフな選手だが得点センスに欠けた
春野……背番号が若返るなど期待はされていたが