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えらぶ
たくさんの中のひとつを選びぬくことはとても難しくて、ぼくはいつも迷ってばかりだ。もしどこかに神様がいるのなら、その人にすべてを決めてもらいたいけれど、ぼくにとっての神様なんてどこにもいなかったよ。
正しさとはなにか、間違いとはなにか、そんな分別もつかないまま、ここまで歩いてきてしまった。正解はきっとどこかにおちていたんだろうけど、おろかなぼくはそれを拾いそびれてしまったんだ。
どうすることが最良だったのか、いまさら考えたところでどうにもならないね。人生が一本道だったなら、こんなふうに迷わなくてもよかったのに。自由は時にぼくらの足枷になるんだって、いったいどれだけのひとが知っているんだろうね。
生きるのがへたくそなだけって? そんなの知ってるよ。