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ぼく
おとこのこになりたいと、思ったことがある。そのときは、ひらひらのスカートよりも、シュッとしたズボンを好んでいたっけ。たいした理由はなかった。ただ、おとこのこといる方が楽しかったから、そう思っていただけで。
今でも、一人称でぼくを使いたくなるのは、その名残なのかもしれない。かといって、あの頃自分のことをぼくと言っていたわけではないけれど。
もしも、ぼくがおとこのこだったなら。きみは、ぼくと――
なんて。
そんなくだらないこと、考えたところで、なんにも変わりはしないね。