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遠い日の夢

とある曲をイメージして書いてたけど気付いたらなにこれ状態

いろいろぶっこみすぎておかしくなった

わかる人にはなにを書いてるかわかるかもしれない

 そのバスはたくさんの乗客で溢れ返っていた。老若男女、あらゆる人々が楽しそうに話しながら目的地に着くのを待っている。

 空いている座席はないようなので、俺は立ったままぼーっと窓の外を見ていた。流れていく景色を目で追っていると、轟々と燃える炎のように真っ赤な夕日が視界を埋め尽くして、思わず目を瞑る。

 刹那、脳裏に浮かぶのは遠い昔の記憶。まだ俺達の国が戦いに明け暮れていた頃の、痛みと苦しみ。悲鳴じみた銃声と誰かの叫びがどろどろと混ざり合っては溶けていく。意識は既に戦場へとトリップしていて、俺は銃を片手に敵を倒して駆けまわる。隣ではバディが白い歯を見せて笑っていた。

『隊長、もう少しですね』

 もう少し?何がだ?だってこの戦いに終わりなんて、

 ハッとして目を開ける。そこはもちろん戦場ではなくてバスの中で、夕日は少しずつ闇に溶け込みはじめていた。気付けば乗客も減っていて、座席にもちらほら空きが見られるようになっていた。いつの間にバスは止まったんだろうか。それすら気付かないくらいに意識が飛んでいたということなのか。

 とりあえず一番後ろの席に腰を下ろした。バスはゆっくりと坂を上っていく。坂の頂上に近付くにつれて、だんだん薄暗さが増していき、星が瞬き始めた。何処かの子供が「もうすぐ終点だね」と嬉しそうに言う。その声がなにかとダブって、耳の奥で響いた。

『もうすぐ終わりますよ、全部、ぜんぶ』

『ねぇ隊長、戦争が終わったら何がしたいですか』

 やめてくれよ、俺が――なの知ってるくせにそんなこと言うなよ。終わりなんて、来るはずないんだから。居場所はもう、ここにしかないんだから。

 俺はパーカーのフードを深くかぶり、小さくうずくまった。耳元のイヤホンからはあいつの作った曲が流れてくる。どこか儚いこの曲は、少し不安定なあいつらしくて、そういえば今あいつは何をしているんだろうと思考があらゆる方向へ飛ぶ。なあ、お前は今、しあわせか?


 ――バスが終点にたどりついて全ての乗客を降ろしても、彼だけはひっそりとバスに乗り込んだままだった。



 ◇


 静かにバスは走り続ける。俺一人を乗せたまま。降車ボタンが暗いバスの中をそっと照らす。蛍みたいだ、と思うけれど、一体どこで蛍を見たのだろう。誰かの笑顔が脳裏をちらつく。ゆらりと揺らめいてその誰かは姿を変えていく。見覚えのある気はするけど誰かは分からない人が俺に笑いかけてきた。

『――っ!』

 親しげに名前を呼んでくるそいつは、金色の髪をひらりと靡かせて大きく笑う。隣では眼鏡をかけた短髪の男が本を読んでいた。

『隊長、ほら。隊長はひとりじゃないでしょ』

 気付いたら隣にあいつがいて、しかも軍服ではなくてファーのついたコートにジーンズ、サングラスという出で立ちだった。

『……もう、いいんじゃない?みんな――のことずっと待ってるよ』

 待ってる、って、誰が。どこで。だって俺はここでずっとひとりなのに。帰る場所なんて、もうどこにもありはしないのに。いくつもの死体を踏み越えて生きてきた俺が、今更一体どうやって居場所をみつければいいというんだよ。

 口には出さなかったけど、きっと顔には出ていた。だからだろう、あいつは少し悲しそうに顔を歪ませた。だがそれも一瞬で、すぐに俺に向かって手が差し出された。よく分からずにサングラスの奥の瞳をじっと見つめると、隣から声がした。

『――は深く考えすぎ!もっと俺みたいに楽しく生きよーぜ!』

 綺麗な金色の髪を持つそいつは、大きな目をキラキラと輝かせながら楽しそうに笑う。その手には真っ青なギターが握られていた。

 そしてその隣のやつもいつの間にか本を閉じてこちらを見ていた。般若の面で顔を隠してはいるけど、口元は柔らかく弧を描いている。いつもは人を罵倒してばかりのそいつが、笑って、あれ?

 知らない、はずなのに。俺はあいつしか知らないんだよ、な?


 混同する記憶。悲鳴、銃声、山のような死体、兵士の懇願、血塗れの、俺。泣いているのは誰?生きろよって叫んでいるのは一体、だぁれ?


 何か大切なものをどこかで落としてきたみたいだけど、どこに行けば取り戻せるかなぁ。




 バスはまだ止まらない。本当の終点は、まだ訪れることはない。


 ◇


「あいつ、まだ迷ってんの?」

「……迷ってるというか、多分色々忘れてるんだと思う。今と昔の記憶が混同してるみたいでさ、自分はどこにも行けないんだって思い込んでる」

「ふわふわしてるように見えるから俺達にもなに考えてんのか分かんない時あるよなー」


 三人は待ちわびている。彼が正しくこちらに戻ってくることを。

 今の彼はまるで迷子のようで、手を差し伸べたくなるけれど、今の彼では手を差し伸べたところで何の意味もなさないのでただ静かに見守るしかない。


「もう、戦争は終わったよ。お前は今、なにと戦ってるの」


 いつか、この場所で四人そろって笑える日を、俺達はずっと、ずーっと待っているんだよ。



 ねえ――

オリジナルで通用するかなと思ったんでとりあえずここに置いときます

未完成なので後々消すかも

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