きっといつか
何か2年前くらいに書いたのが出てきたのでもったいない精神でうpします。
いま読み返すとすごくはずかしいし意味分からなすぎるし終わりが見えない
晴れ渡る空の下で、ひとり佇む少女。肩までかかる長くて黒い髪、蒼く澄んだ瞳、そして何より、何かを憎んでいるような、歪んだ唇。
それは多くの人々を惹き付けた。
しかし少女は、そんな群衆には見向きもせず、唇を歪めたまま空を見ていた。
少女が何を憎むのかは、誰にも分からなかった。
また、少女は一言も喋らなかった。誰かと会話をしているのを、見たことが無いのだ。少女の声はどのようなものかと、人々は様々な方法で少女を喋らせようとした。
しかし、誰も少女の声を聞くことは出来なかった。
そしてある日、喋らないし、反応も返さない少女に、ある少年が恋をした。少年は、来る日も来る日も少女に話しかけた。優しく、慈しむように。
いつしか少女は、少しずつ笑顔を見せるようになっていた。柔らかく微笑む少女に、少年は益々恋に落ちた。
相変わらず会話はなかったが、少年は根気強く話しかけ続けた。
そうして何年も時が過ぎた。少年も少女も、すっかり大人になっていた。
相変わらず彼女は喋らなかったが、前にも増して感情を表に出すようになっていた。悲しい時には眉を下げ、怒っている時には頬を膨らませる。
そんな彼女に、彼はこんな言葉をかけた。
「君の声を、一度でいいから聞いてみたい。君がどんな声でも、僕は幻滅もしない、嫌いにもならない。だって僕はどんな君でも愛せるから」
彼女は少し考え込んだ。泣きそうになったり、無表情になったり、笑顔になったり。
そして、彼女はコクリ、と頷いた。
すーっと息を吸いこんで、彼女がはじめて発した言葉は、「愛してる」だった。透き通った高くて綺麗な声。まるで小鳥の囀りを聞いているような気持ちになる。
「喋るのが久しぶりすぎて、ドキドキしちゃった」
そう言ってはにかむ彼女に、彼も笑った。
彼女はその日から変わった。今まで見せていた何かを憎むような表情は彼女の顔から消えた。歪められた唇はにこりと笑みを浮かべるようになった。
そして何より、愛の言葉を紡ぐようになった。「好き」や「愛してる」を何度も何度も彼に伝えた。