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深紅のドールハウス

書いた本人にもよく分からないお話。一部残酷な表現あり。


気が付いたら、目の前に死体の山があった。誰かなんて分からない位に、ぐちゃぐちゃで血塗れで、中には骨だけのものもあった。


自分がした事はなんとなく覚えている。確か此処に人を呼んで、殴って刺して抉って千切って踏んで蹴って叩いて切って刻んで擂り潰して穿って裂いて快楽を満たして嘲笑って幸せで僕はそうだ殺すのが好きなんだって理解して楽しくてやめられなくて破壊を繰り返して僕はまた快楽に溺れて…


おっと話が逸れた。つまるところ、僕は目の前の人たちを殺したのさ。僕は殺した時をなんとなくじゃ無い位鮮明に覚えていた訳で。


これって犯罪行為だよね?なんて馬鹿な事を今更聞いたりはしないけど、この死体の山どうしたらいいんだよとは聞きたいね。あ、誰に聞けばいいのかな?生憎、僕にはこれと言って知り合いは居ないんだよね。っていうか知り合いにこんな事聞けねえし。僕はどうしたらいいんだろうね。

とりあえず部屋を物色しようか。この部屋は僕の部屋じゃないっぽいし、使える物とか食糧とかも探してみないといけないからね。


僕は部屋を出てみた。するとどうだろう、廊下一面真っ赤じゃないか。血の海どころじゃないくらい赤いよ。元の壁が赤かったんじゃねえの、ってくらい赤いよ。まあスルーして、手近な所に有ったドアノブを捻って回した。ドアを開けると、やっぱりそこは廊下と同じ光景が広がっている。

やべえ、僕が殺したのあの部屋だから、別の部屋とか廊下にこんな血の海を作った記憶が無いんだけど。何これ夢遊病ですか?家具は全部血を被っている。クローゼットの中やベッドの下も隈なく見てみたが、全部血塗れ。使えそうなものは一つも無い。ち、役にたたねー。


全ての部屋を見たが、どの部屋も同じ家具しかなく状況も同じで、僕は四方八方塞がりだった。もう一歩進んだら崖ですよ的な。キッチンのような場所は存在せず、一体此処に住んでいた人は何を食べていたのかと疑問に思い、ある答えに辿り着きかけて、おぞましくなって考えるのやめた。

とりあえず此処から脱出する方法を考えようか。うん。


僕は精一杯考えてみた。残念、僕はお頭がパーだから何も思いつかないのでした。てへ。

脱出が無理ならここで生きていくしかないけど、こんな所に何時までも居たら警察来ちゃうんじゃねえのかなあ。うん、絶対来るよね。

さて如何したら良いんだ。僕が捕まらずに元の生活に戻る為には。


あれ、そう言えば僕ってどんな風に暮らしてたっけ?てか僕の家って何処?あれ僕は何処でどんな生活を誰と一緒に送っていたんだっけ僕は誰でどんな名前で何歳で何が好きで何を愛して何を求めてたんだっけあれおかしいな何も分からない思い出せないよあれれれれれれれれれれれれれれれれれれれれれれ れ?




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


螺旋が外れたお人形さん。私の可愛いお人形さん。何も思い出さなくていいの、貴方は何も考えなくてもいいの。私だけが貴方を知ってたらそれでいいの。貴方は私だけのお人形さん。私だけの…



少女はわらう。太陽のようにわらう。

其の微笑みからは、彼女が異常だと気付く者は居ないだろう。

彼は既に少女の掌の上で転がっているだけに過ぎなかった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




気が付いたら、死体の山も血の海も綺麗さっぱり亡くなっていた。あ、字間違えた、無くなっていた、だ。あんなに真っ赤だったのに壁真っ白になってる。何故だか僕の服も変わってる。

まるで僕が見ていたのは夢だったかのように、何もかもが僕の見ていた姿と大きく変わっている。おかしいよなあ…まあ、いいかな。面倒な事が一つ片付いてくれたし。

僕は何処までも能天気なのだ。人間ポジティブに生きないとね!


僕は外に出てみる事にした。でも、よく考えたらこの家玄関無かった様な気がする。嫌な感じがしつつも家中を歩き回る。うん、やっぱり無かった。

…僕どうやって此処に入ったのかな……考えない方が良さそうだな。何かもう面倒になったので、僕は思考を放棄した。何も考えないって楽だよ結構。


ぼやーっと、時間だけが過ぎていくような気がする。時計が無いから時間分かんない。僕が何処に向かってるかも分からない。分からないままで良いかもしれない。とりあえず寝よう。おやすみ。




目が覚めたら、今度は部屋がすげえ豪華になってた。天井には煌びやかなシャンデリア、床は大理石、壁は何か高そうな感じがするし、置いてあった家具は全部金色に変わってた。何これ僕白昼夢でも見てんのかな?それとも、僕が今まで見てきたものは全部夢で、まだ僕は眠ってるとか?


まあどうでもいいや。とりあえず他の部屋もこうなのか見に行こうとして気付く。

…ドア、無いじゃん。

あれ?寝る前にはあったのにいつ消えた?これじゃ僕外に出られないし。カミサマは一体僕に何を求めてるのさ。…また寝たらドア戻ってくるかなあ。僕は少しの期待を胸に、また眠りに就いた。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ずっとそのまま眠ってくれたらいいの。貴方はそこにいるだけで良いの。それ以上はいらない、望まない。私のそばにいてくれるだけで良いの。

私だけの可愛いお人形さん。



少女はわらう。咲き誇る花のように。

彼はもう世界から切り離されようとしている。…少女の手によって。

次に目覚めたときに訪れるのは幸か不幸かそれとも………


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




悪い夢を見ていたような気がするが、残念な事に何も覚えていない。辺りを見回せば、そこは元の血だまりに戻っている。ああ良かった。あれ、何が良いんだ。死体も壁も真っ赤に元通りで僕は振り出しに戻らされたのか、それともあれが夢だったのか。いずれにしても僕はまた脱出する方法を考える必要がある。

…あ、ドア戻って無い。何でドアねえんだよ、部屋としておかしいだろ。もしかして隠し扉とかあるのかな。僕は家具を動かしたり壁にスイッチを探したりと色々やってみた。扉は出てこない。

ああもう面倒だ。僕は諦めた。此処で死ぬのが僕の運命(さだめ)なんだきっとそうだ。考える事も生きる事も放棄して、僕はただぼんやりと時が過ぎるのを待ち続けた。


来る日も来る日もぼーっとし続けて、一体何日経ったのかも分からなくなった頃、僕は何かを感じた。言葉ではうまく言えない。とにかく何か嫌な感じだった。唐突に此処から逃げたくなった。立ち上がろうとして気付く。足に鎖が絡まっていた。鎖の感覚なんて今まで無かったのに。外そうともがけばもがくほどに鎖は絡まっていく。動けなくなる。

ああやっぱり僕はまだ死にたくないこんなとこで死ぬわけにはいかない僕はまだ生きたい逝きたくない誰か僕を救ってよねえ神様僕の願いを聞いてよ僕を助けてよねえねえねえねええええ!!!!!!



―声が聞こえた。優しい少女の声。

「助けてほしい?」

当たり前だ僕はまだ死にたくないんだ

「じゃあ、私の言う事聞いてくれる?」

僕を助けてくれるなら何だって聞こう

「分かった、助けてあげるからちょっと待ってね」


そして僕に絡んでいた鎖が消えていく。ああ良かった助かった。僕が安堵したのもつかの間、激しい頭痛が僕を襲う。

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い頭が割れて無くなりそうだ

痛い痛い痛い痛い痛い痛い僕という存在も無くなりそうだ

痛い痛い痛い痛い痛い

痛い痛い痛い痛い

痛い痛い痛い

痛い痛い

痛い


そこで僕の意識は途切れた。 ぷつん










私の言う事聞くって言ってくれてありがとう。これで貴方は完全に私の手の中。貴方の記憶は私が食べちゃった。おいしかったわよ。

もう絶対に離さない。死んでも離してあげない。

貴方は私を愛さなければならない。

貴方なら、出来るよね?


少女は世紀末の箱庭を見つめて嘲笑う。箱庭に倒れ込んだ彼はもう、自我を失って人形へと変貌を遂げた。本当に人形になってしまったのだ。少女の囁きに耳を貸してしまったのが彼の末路。暗い闇に堕ちていくしか、道は残らなかった。




少女と彼のその後は――



貴方のご想像に御任せしておこう。






ただの暇つぶしに書いていたはずがいつしかこんなに長くなっていました。

最後まで読んで下さって有難うございました。

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