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痛みと愛
とてもヤンデレです。
…どうしてこうなった。
それは儀式のようなものだった。
君は引き出しから小型のナイフを取り出して、僕の前に座った。
僕は腕を君に差し出した。
すぅっと僕の腕をナイフが通る。
通った場所には赤い筋が出来て、血が溢れた。
君はそれを見て笑っていた。
僕は君が笑ってくれるのが嬉しくて、もっと強請った。
「もっと、して?」
君は更に笑顔になって、ナイフを僕の腕に突き立てた。
言いようのない痛みが僕を襲う。
しかし、同時に快楽も齎した。
苦しいはずなのに、何故か気持ちいい。
いつの間にか痛めつけられる事が心地よくなっていた。
腕だけだった傷痕は全身に及ぶようになった。
だから僕は今日も強請る。
快楽を得るために。
君の笑顔を見るために。
「僕を愛して」
愛のカタチって、人それぞれなんだよ。
知ってた―…?