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旅。それは  作者: 清春
2/2

2nd trip Terry

そこは辺り一面深緑が覆い、頭上からは所々に木漏れ日が差しかかる。

風が気持ちよく、木漏れ日からはどこか優しい温かさが感じられた。


野生動物たちの 足音 鳴き声。

鳥たちの 羽ばたく音 鳴き声。

風が葉を揺らす音。

森が一つの生き物かの様にこの音を見事に調和させている。


まるで森の鳴き声かの様に・・・


「ふぅ・・・あともう少しかな。」


森の鳴きに軽く透き通るような声が混じった、だがその声は音の調和を乱す事のない綺麗な声だった。


その声の主、名は 「アラン」 旅人である。


栗色の革の帽子にマント、そして使い古された緑のバッグを肩から提げていた。


「やっと、着いた、ここは・・・」


そう言うとアランは持っていた地図をバッグにしまい、目の前の小さな村の前に立っていた看板を見た。


・・・・Das Dorf des Jägers・・・・


「狩人の村・・・・か。」


「そこの小僧!止まれ!」


「・・・??」


アランの喜びに水を刺すように一人の大男が近づいてくる。


「小僧、貴様ここでなにをしている?・・・この時間の外出許可は出ていないぞ!」


「・・僕はただの旅人だよ、この村の人間じゃないんだ。」


「なに?旅人だぁ?」


おそらく門番であろうその大男はアランの顔を覗き込んだ。


「お前、女か?」


「いや・・僕は男だ。」


男の質問に我慢ならなかったのかアランはすぐ否定した。



確かにアランの顔は男か女か見分けのつかないほどの 美白の肌 大きな瞳 長い睫毛 少しロングで母譲りの美しい黒髪であり幼少の頃からよく間違えられていた。

しかし、問題はアランの背丈にもあった


目の前の門番らしき男の背丈は170後半と言ったところだろう・・・決して大男と表現できるような背丈ではない、が

アランの背丈は150ほどしかない、頭が男の胸の下あたりに位置していた。


「女の旅人とは珍しい、貴様この村になんのようだ?」


「・・・ただの観光。」


アランはこの男には否定しても無駄だと悟り話を進めた。


「観光だぁ?こんな森の奥地の小さな村まで来てなにを観光するんだ?」


男が尋ねるとアランは男の顔を見上げ言った。


「僕は旅人・・・どんな小さな村でも、どんな大きな国でも絶対に多かれ少なかれ新しいもの発見出来るんだ、それを求めて僕は旅をしています。」

「この村はその発見の一つ、新たに僕の思い出に残る場所・・・それが僕にとっての新しいもの。」


「ん?・・・よくわかんねぇが、まだガキみてぇだし 通門を許可してやろう。」


そう言いながら門番の男はアランの頭を雑に撫で、石門の通路をあけてくれた。


「ありがとう。」


アランがお辞儀をすると、男は1つ忠告した。


「あ・・・お前、この村のアリシア・リビアって女にはぜってえ目付けられんなよ。」


「アリシア・リビア?」


「そうだ、あいつの親父はこの村の狩人の長だ、オヤジに敵う奴はいねぇ。」


「厄介な事に、アリシアの性格はわがままで自分勝手、気に入らねえ奴がいると無理やり狩りに行かされる。」


「狩りに行かされるのがそんなに嫌なことなのかい?・・・狩人なのに。」


アランは不思議そうなに尋ねた。


アランがそう言うと、男は大きく首を左右に振りだした。


「ここいらの猛獣は、一般人にしては危険だが狩人にとっては歩く肉みてぇなもんだ。・・・だけど」


「だけど?」


「アリシアが討伐に行かせるのはここいらの猛獣じゃねえ、この村よりももっと北にある密林に生息してるかなりやばい猛獣なんだ。」


「狩りに出されたら最後、まだ一人も戻ってきてねぇ。」


「・・・そんな娘の言う事無視しちゃえば?」


アランの言う事はもっともであった。だが


「仮にもオヤジの娘、そんなことしてばれたらオヤジになんて告げ口されるか。」


「オヤジを怒らせたらこの村では住んでいけねえ。」


男はアランに向かってきっぱり逃げる事は出来ないという事を伝えた。


「まぁ、旅人のお前には関係ねぇ話よ、ただでさえ旅人なんて珍しいんだとっとと観光したら出ていくこった。」


男はそう言って手を振りながら立ち位置に戻って言った。


「待って!」


アランのが少し大声で言うと、門番は少し驚いて立ちどまって振り向いた。


「な、なんだ?」


「・・・門番さん、名前教えてよ。」


「あ?・・・あぁ、いいぜ、俺は・・・」



テリー


「お前は?」


「僕はアラン、色々ありがとうテリー」


そう言うとアランは少しニヤつきながらつぶやき、石門をくぐって言った。


「・・・・・ここでも楽しくなりそうだ。」





































































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