第6話 盾の覚醒
王都・廃墟となった広場。
空には黒い雲。
雷鳴が遠くで轟く。
使徒は立ち上がり、
全身から光を放つ。
その力は、
人間の剣や魔法を
軽々と弾き返す。
バルトは膝をつき、
剣の柄を握り締める。
「このままでは…」
ギレンが呟く。
「バルト、お前の力だ。
今こそ使う時だ」
バルトは目を閉じ、
心を集中させる。
「因果遮断――
……覚醒する」
胸の奥が熱くなる。
時間がゆっくりと、
しかし確実に流れ出す感覚。
刃が光を帯び、
地面の振動が止まる。
周囲の風も、
空気も静まった。
ミレーヌが驚く。
「団長……
なにを…?」
バルトは静かに
言う。
「世界の歪みを止める
力だ。
剣は俺の意思で、
運命を断つ」
使徒が攻撃を仕掛ける。
光線が迫る。
だが、
バルトの剣から
放たれた光が
衝撃波となり、
光線を消し去った。
「これが…
俺の力……」
衝撃で、
地面の亀裂が
瞬時に修復される。
魔物や敵の動きも
鈍くなる。
時間の流れが
部分的に変化したのだ。
ランドが息を飲む。
「今までと違う…
まるで…
時間を止めているみたいだ」
アランが頷く。
「剣で運命を
断ち切れる…
ってことか?」
バルトは目を閉じ、
心を剣と同期させる。
「俺は盾だ。
守るためなら、
神の意思すら斬る」
使徒が再度攻撃。
全力の衝撃波。
だが、バルトの光が
空間を断ち切り、
使徒の動きを
完全に封じた。
ミレーヌは驚きと恐怖で
光の盾を厚くする。
「団長…!
やっぱり…
剣に…
神の力が…」
ギレンが冷静に
言う。
「いや、人間の意思だ。
バルトの心が
世界に直接作用している」
使徒が必死に反撃。
だが、光を帯びた剣が
次々と打ち消す。
バルトは心を
さらに集中させる。
「俺の剣は、
お前の暴力も、
神の強制も
止める!」
光の衝撃波が
使徒を巻き込み、
その動きを止めた。
使徒は、
膝をつき、
赤い目が揺れる。
「…これは…
人間…
か…」
バルトは剣を
高く掲げる。
「お前はもう、
世界を狂わせるな」
光が一瞬、
空間を貫き、
使徒の力を
封じた。
沈黙。
バルトは胸を押さえ、
呼吸を整える。
ミレーヌは
光の力を
弱め、
バルトに寄り添う。
「団長…すごい…
私、守られた…」
バルトは肩を
すくめる。
「いや…俺たち二人で
守ったんだ」
ギレンが静かに
言う。
「この力…
世界の歪みを
止めるには十分だ」
ランドとアランも
剣を収め、
深く息を吐く。
マークは天を見上げる。
「次に来るのは…
本体か…
神か…」
バルトは剣を握り直す。
「来い。
俺は盾だ。
何が来ても、
世界を守る」
空が再び光を帯びる。
世界の歪みは
まだ完全には消えていない。
だが、
確実に
盾は覚醒した。
戦いの序章は
終わり、
次の局面へ
向かおうとしていた。




