第89話 ケイの両親②
結人さんに促され、俺は長い階段を上る。エレベーターもあるみたいだが非常用や災害用らしく、今は電源が入っていないとのこと。
この家は避難所指定もされていて、リアゼノン事件では20万人以上の人を避難させて食料や寝る場所、暖をとる場所の確保など、様々な支援をしていたらしい。と、景斗さんがメールで言っていた
階段を上り部屋が近づくにつれて、人の声が大きくなる。廊下の壁は白くてきれいで、夜なのに部屋の照明でものすごく眩しい。そして、俺は景斗の部屋に到着した。
「失礼します……」
「あ、翔斗! こんばんは!」
「ちょっ。景斗さん……」
まだ入ってないのに景斗さんが大声を出す。余計に入りづらくなった。俺はどう気持ちを落ち着かせればいいのかわからなかったが、中から誰かが歩いてくる足音がした。すると部屋のドアが開く。
ドアを開けたのは、俺の腰丈くらいの少女だった。俺の身長は170以上なので150センチだろうか。とても小さくて可愛い。
「あなたが翔斗さんね。うちの景斗がお世話になってます。ちょうど話していたところだったんですよ」
「そ、そうだったんですね」
そう言って少女は俺に部屋の中に入るよう促した。中に入るとそこにはベッドの上で胡座をかく一人の青年と景斗がいた。
「初めまして、景斗の母の宮鳥明理です。で、こっちが夫の宮鳥亜蓮」
「翔斗さん。よろしくっす!」
「よ、よろしくお願いします……」
(結人さんの記憶を見た段階で知ってたんだけどなぁ)
そんな事はおいといて、俺もベッドの上に乗っかった。このベッド、前回来た時よりも1人分入るくらい大きくなっている。
俺は先に2人の紋章を見ることにした。『発動してもらってもいいですか?』と言ったらすぐにやってくれた。
亜蓮さんは青い紋章。明理さんは赤い紋章だった。効果は青が凍結系統。明理さんが火炎系統らしい。そして彼らは紋章は常時発動しているようで、普段は紋章が見えないように特殊な手袋をはめてるとのことだった。
景斗さんが言っていたことはこういうことだったのか
すると、亜蓮さんが魔法を見せてくれるというので外に出ることに……。歪みができてそこに入ると庭に着いた。
この歪みを作ったのは亜蓮さんのようだ。俺はまだ小さいものしかできないのに、ほかの魔法使いはどんなところへだって行ける。もっと練習しなくちゃと思った。
「あれーーーん! お待たせーーー。明理さん関係の準備してたら遅くなってしまったよ……」
「結人! お疲れ様っす!」
「どうも。それに年度末の論文も書かないといけなかったしね。レポートの方は間に合っているんだけど……」
「全部魔法関係っすか?」
「そうだよー」
結人さんと亜蓮さんが仲良く話してる。ついていけない。俺はそんなに魔法には興味がないけど、こんな話をされたら困ってしまう。
「ところで、亜蓮。僕に見せたい新しい魔法って何かな?」
「『幻霧』っていう魔法っす。一番大きい粒子の中でも厳選したものをたくさんかき集めて、魔力霧を作るってやつっすね。それと、名前被っちゃうっすけど、絶牢の幻シリーズも考えて実現に成功したっす。『幻牢』なんすけど、絶牢って黄色い半透明の障壁だから中の様子が見えづらいじゃないっすか……。『幻牢』は無色透明なので中の様子が見れるようになってるんすよ」
「ほほう……。それは面白いね。形状はどんな感じなのかな?」
「絶界と同じドーム型っす。今回は幻牢の内側で幻霧を使用するんすけど、どうっすか?」
「うん。いいと思う」
そうして、亜蓮さんは魔法を発動させる準備をした。ここの庭はものすごく広いからどれくらいの規模でやるのか気になっている自分がいる。
亜蓮さんが準備を終えると、無詠唱で魔法陣を生成した。すると、ドーム状に白い霧が充満する。これが幻霧と幻牢の合わせ技。これだけでもすごいのに。
「結人! 今内側の魔力濃度調節しているんすけど中入ってもらってもいいっすか?」
「いいよー」
「あざっす! ポイントテレポート!」
亜蓮さんの言葉で結人さんの姿が消えた。俺は思わず……。
「結人さんこっちの声聞こえてますか?」
と問いかける。
「翔斗くん聞こえてるよー。すごいね亜蓮。僕じゃこんなのできないよ」
「あざっす! 魔力濃度はどうっすか?」
「うん。かなり霧の魔力濃度も安定しているし、ドーム型障壁のバランスもいいと思うよ」
「ありがとうございます!」
「どういたしまして。ちなみにこれどれくらいで作った?」
「2つ合わせて約1ヵ月くらいっすかね」
「「い、1ヶ月で!?」」
俺と結人さんの声が重なった。1ヶ月でこのクオリティ。通常、魔法がどのように誕生するのかもどれくらいのスパンで開発するのかもわからない。だけど、それだけの素質があるのだとすれば、結人さんが言っていた魔法生成器という言葉も納得できる。
「結人! 濃度濃くしてみやす!」
「オーケー。どんどんやっちゃって!」
「了解しやした!」
俺はそんなやり取りを約1時間も聞く羽目になってしまった。景斗も大興奮していて、右手甲がちかちかと点滅している。
感情が高まるとやはり発動しそうになるらしい。だけど、そんな彼が大黒柱になってるなら安心んだ。澪の時みたいに俺のいない場所でいなくなってほしくない。
団長の景斗は、副団長の俺が絶対守る。そう心に決めた。
「あぁ~楽しかった。亜蓮ありがとう。これでまたレポートが捗るよ。いい気分転換になった」
「よかったっす!」
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