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第79話 ケイの両親

 降りた場所はどうやらオアシスのある場所だった。木々が生えていて、とても涼しいエリア。こんなエリアは見たことがない。


 どうやらVさんもここに来るのは初めてらしく、とても興味深そうな表情をしている。


 そして、湖の近くに行くとバシャバシャと水浴びを開始した。たしかにここまでくるのにかなり熱を帯びる形になっていた。


 リアルの俺は真冬の空間で大汗を書いているに違いない。だけど、これは脳の誤認識ということは知っていたので、部屋は暖房をつけている。


「ほら。カケルくんも砂ぼこり落としたらどう?」

「あ、はいっ! けど、どうして……」

「話はあと。オオクワガタはいつでも手配できるから安心して」

「わ、分かりました……」


 そう言われて俺も水浴びをした。水はこのフィールドの暑さのせいか、少し生ぬるかった。だけど、吹く風には何故か砂ぼこりが含まれておらず、とても涼しく感じる。


 Vさんが水浴びした後。今度は何故か湖の水が大きく膨れ上がる。これは魔法の力? それにしても大掛かりだ。


 それは球体になって空に浮き上がり、勢いよく破裂。周辺に雨が降って、一帯がかなり涼しくなった。


 これは誰がやったのか? それはわからない。わからないけど、これができるのは1人しかいなかった。


「この雨降らせたのってVさんですか?」

「違うけど?」

「じゃあ、誰が……」

「答えは……。うーん。あ、そろそろ来るね……。おーい」


 Vさんは湖の反対側に向かって大声をあげる。そこには、どう見ても動物じゃない人影が2つあった。あれはAI? でも何かが違う。


「ルグアさーん! アレーン!」


(え?)


『GVさん! お久しぶりです!』

『お久っす!』


 この2人時々テレビで見てる気がする。ゲームの大会の解説担当をしたり、ありとあらゆる項目で引っ張りだこの有名人だ。


 けど、なんでこんなところに? 情報源はどこから? そしてなぜ彼らは動物アバターではなく人のアバターで?


 すると、2人は歪みを通って俺たちの方へとやってきて、軽くお辞儀をする。

 人のアバターに見えたのはゲームの仕様だったようで、実際にはルグアさんがチーター。アレンさんがイノシシの格好だった。


「GV改めてお久っす! ケイの病状はどうっすか?」

「それがね……。ついさっきの事なんだけど……」

「そうっすか。また暴走を……」

「うん」


 なんでこの2人はケイのことを知っているんだろうか? 俺は色々考えたが答えが出てこない。


 実際この2人は苗字を明かしていない。ゲーム実況でもプレイヤー名で参加していて、ケイを知っているはずがない。


 だけど、アレンさんは本名で遊んでいたはず。実況でも必ず本名でやってますと伝え、苗字だけを隠していた。


 この2人とケイにどんな関係が? そこが非常に気になる。今ここにケイはいないし、知ってるとしたらVさんだけ。


 俺は彼に質問すると、即座に答えてくれた。


「この2人はケイの両親だよ。ほら。ゲーム実況番組でよく出てる2人」

「それはプレイヤー名を見ればわかりますけど、いったいどこからログインを……」


 俺は素朴な疑問を投げる。するとアレンさんが答えてくれた。


「異世界からっすよ。ルグアが接続網を微調整してくれてついに、異世界からゲームにログインできるようになったんす!」

「る、ルグアさんすごいですね……」

「ちょっとアレン。そんなにざっくり言ったらカケルくんが困っちゃうよ?」


 たしかにVさんの言う通りだった。俺は今混乱している。異世界? 一度Vさんがゼレネスの花について語った時に出てきた言葉だけど、その異世界がどういう文化でどのような文明を築いてきたのかは一切不明。


 だけど、本当に異世界からログインしているのであれば、現実世界にはいない。それが証明できるものがあればいいんだけど、そんな簡単に見つかるはずもなく。それよりも、ヤサイダーの件についてはどこまで理解しているのかが先に知りたかった。


 俺が学校でヤマトと別れた時。ヤマトは通りかかった3年生に話しかけていた。その人によれば、23日からずっと来ていないとのことだった。つまり、5日間登校していないということだ。

 そのことはVさんにはあらかじめ伝えていたので、情報が共有されていれば問題ない。


「ルグアさん。アレンさん。今回集まってもらった理由はどこまで把握していますか?」

「どこまで把握……。一応カケルさんの学校の友達を救出するってことは知ってるよ」

「アレンさんは?」

「同じくっす!」

「ありがとうございます。相手のプレイヤーネームはアウトヤサイダー。アバターはサイのアバターを使っています」

「サイのアバターっすね。ルグア、どの辺が怪しいかわかるっすか?」


 この2人は何を言っているのだろうか? こんな広い裏世界のフィールドで1人のプレイヤー7を探すのは非常に大変なこと。だけど、アレンさんはルグアさんに場所の特定を要求した。こんなので見つかるはずがない。


 これで本当に見つかったとしたら、彼女は異次元の存在になってしまう。そもそもプレイタイトル数では無限に近い数のゲームを遊んできているらしいので、その時点で異次元の領域を軽く超えているが……。


 中継でも言っていた、eスポーツの大会解説。その前にゲームの特徴を説明するために試験プレイをするのだが、ルグアさんは予備知識なしで遊んでいるとのこと。ここの段階で人間じゃなかった。


 話を戻して、ルグアさんはずっと考え事をするように固まっていた。そして周囲をキョロキョロと見て確認すると、マップの方向を基準に北の方向を指さす。


「私の予想だとあっちの方かな? ここから500メートル先の砂に埋まってる可能性が高い。近くにはオオクワガタの群れ、そのうちの1体はかなり負傷していて……。それとそのオオクワガタは大顎にかなりダメージが入ってる」

「Vさん!」

「うんそうだね。僕とカケルくんが戦ったオオクワガタで間違いないよ」


 ルグアさんが解答したのは約3分後。それだけでここまで十分な情報が出てくるのだから、やはり常人離れと言ってもいい。しかも距離がそれなりに遠かった。そして、俺の予想もそれなりに当たってたので、少し自信も出てきていた。


「GVさんはアレンとペア組んで。私はカケルさんを抱いて現場まで運ぶから」

「オーケー」

「え?」


 俺はまた頭の中が真っ白になった。ルグアさんが俺を連れて現場まで運ぶ? これはビーストモードになった方がいいのだろうか? 状況が全くつかめない。すると、GVさんがビーストモードを発動させる。俺も右に倣えでビーストモードを発動すると、ルグアさんが俺を持ち上げる。


 もしかしてこのままいく感じなのだろうか? 気づいた時には2人は走り始めていた。

応援よろしくお願いします!!!!!!!


かなり脱線してますが、次回からしっかりしたルートに戻ってきます。ご安心ください。

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作戦はうまく成功するかですが、諦めずに頑張って欲しいと願っています!
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