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第65話 景斗の瞳

景斗はでてきません

 魔力に関してはよくわかった。わかりたくもない結人さんの興味もわかってしまった。そして、彼はマッドサイエンティストなわけではなく、魔法に関連するものに反応するいうことがわかった。

 血を使った実験で変な趣味だなと思ったけど、想像よりも面白かった……と思う。正直俺はこれといった興味はなかったので、ただ単に結人さんが見せたかっただけなのかもしれない。

 だけど、まさかただの血があんな動きを見せるとは思わなかった。普通なら乾いて変色するはずなのに、バレンさんの血はまるで生き物のようだった。

 なんであんな動きになるのか? そっちの方が気になるけど何か仕掛けがあるに違いない。そうじゃなかったらあんなことにはならないはずだから。

 俺は次の質問を決める。今度の話題は景斗さんの瞳に関してで、どうして同じ日本人なのに目の色が違うのかが知りたい。先天性魔力眼球症という病気に関しても知りたい。


「そういえば、さっき翔斗くんは"遺伝子エラー"ってボソッと言ってたよね」

「は、はい。お昼食べる前に景斗さんが自室で勉強してて、机の上に並べられていたメモに書かれていました」

「だから、知っていたんだね。景斗の瞳も見た?」

「見ました。景斗さんの瞳は俺が今まで見てきた人よりも澄んでいて、引き込まれそうで。少し羨ましいというか、なんだか全部知られていそうで怖かったというか。さっき見せてくれた実験よりもものすごく興味が湧きましたね……」


 俺は正直に言った。血のことは本当はどうでもいい。それよりも、景斗さんのスカイブルーの瞳が気になる。メモ書きには、生まれつきということを連想させるような言葉も書いてあった。本当に景斗さんの瞳はとても興味の湧くものがあった。

 だから、知りたい。マジで知りたい。そして、もっと景斗さんの役に立ちたい。それが今の俺の目的。紋章も必要ない。まあせっかくつけてもらったんだからそれなりに有効活用したいとは思っているが……。


「あと、先天性魔力眼球症って何なんですか? 普通の人。俺や大樹やお母さんやお父さん。学校の友人や先輩がかかるような病ではないのは分かるんですけど。景斗さんのその病気と紋章に何か関係があるんですか? さっき治療のためって言ってましたよね? 景斗さんの紋章の場合は悪化させてるようにしか見えないんですけど、それはいったいどのような理由で付与したんですか? あの全盲の紋章の全容を教えてください。それから……」

「ま、待って待って、情報が渋滞してるよ」

「すみません……」

「まずはしっかり整理してから話そうか」

「はい……」


 知りたい気持ちが先走ってしまった。やっぱり俺も知りたいことにとことん集中したくなるタイプなのだろうか? 今まで感じてこなかった高揚感に自分でも驚いてしまった。


「まずは、景斗の瞳と魔力眼球症に関してだね。実際には魔力眼球症、通称魔眼症というものは存在しない。いや、存在しないはずだったが正解かな? 名付けたのは僕だよ。僕が元いた世界には魔眼症というものはなかったからね」

「その……さっきから元いた世界って言ってますけど……」

「あ、そっち? うん。僕はこっちの日本の人ではないね。僕がいたのはまあ、パラレルワールド。別の文明と言ってもさほど差はないんだけど。魔法が主流の日本と言った方が早いかな?」

「は、はあ……」

「ごめん。ちょっと説明が難しくってね。脱線したから戻そうか」


 パラレルワールドって本当にあるんだ。てっきりSFの世界の話だと思ってたけど、そこ出身の人がいるということは、何も言えない。だけど、なんでそんな彼が、俺たちが住む魔法が主流にすらなってない、魔法使いが少数派の世界にいるのか?

 これに関してはあとで聞くとして、景斗さんと魔眼症の関係性が先。だけど、どこから始めた方が俺が理解できるかわからない。未知の病だからだと思うけど……。


「本当のこと言ってもいいかな?」

「え?」

「魔眼症のこと」


 結人さんは顎のあたりを右手人差し指で3回ほど掻きむしると、また亜空間を開く。そこから出てきたのは、景斗さんの過去の行動が書かれていそうな、使い古したノートだった。


「これを君に見せたことは絶対景斗には言わないでね。彼に酷な思いをさせたくないから」

「は、はい……」


 結人さんがノートを開く。だけどそこには何も書かれていなかった。次のページも。その次のページも文字も記号も絵すらない。なのに、ノートはボロボロで、表紙は角がぼさぼさになっていた。


「あ、忘れてた。ちょっと待って。このままじゃ読めないよね」

「はい。でもどうして白紙なんですか?」

「白紙? 白紙ではないんだけれど……」

「どういうことですか?」

「ふふ。それは触れてみればわかるよ」


 そう言われて俺はページの表面に触れてみる。なんかちくっとした。そしてなんだかぼつぼつしていて少しくすぐったい。


「これって点字?」

「そう。ちなみに書いたのは景斗だよ」


 景斗さんが書いたのに景斗さんに話してはいけないってどういうことなのだろうか? そもそも、俺は点字の勉強をしていないので、どのぼつぼつがどの文字なのかさっぱりわからないんだが……。

 結人さんが言うにはこのノートは景斗さんの黒歴史まで記録されているらしく、本人は見たがっていないらしい。だけど、ノートには魔眼症に関する情報がたくさん含まれているらしく。結人さんは研究に役立てているようだった。


「じゃ、このノートはしまっておくね」

「ちょっ、何が書かれているのか教えてください!」

「何が書かれているか……ね。じゃあ聞くけど、景斗が紋章を使用した時、最初の彼の瞳は何色だった?」

応援よろしくお願いします!!!!!!!!!!!


結人と翔斗の会話はあと一話でひと段落します。

どうかお付き合いください。

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