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第60話 景斗のノート

昨日Xで企画しました。皆さんのおかげでSF(VRゲーム)日間14位です!!!!!

「お腹空いたーーーー」

「翔斗声大きいのですが……」

「そりゃ、昨日の夜に食べた餡掛けオムライス以降なんも食べてないんだぜ?」

「まあ、それはそうですな……」

「ほら口調戻ってないぞ?」


 現実世界に戻った俺たちは、お互いに腹ぺこのお腹をさすっていた。あんなにお酒をゲーム内で飲んだフォルテさんは別として、みんなお腹を空かせてる。

 その前に気になったのは、俺たちの目の前にある勉強机に景斗さんが座って何かをしていたことだ。

 俺はベッドから降りると景斗さんの近くに行く。そこでは、ノートに透明なブツブツを並べていた。

 これが点字? 初めて見た。


「景斗さん。これって……」

「ごめん。これちょっと位置がズレると言葉の意味が変わっちゃうんだ。もう少しで完成するから、集中させて」

「お、おん……」


 景斗さんはかなり集中モードになってるらしい。だけど、ここまで彼が集中する理由はどこにあるのか?

 俺はノートの隣に置かれた資料を見つける。そこの見出しには"先天性魔力眼球症"と大きく書かれ、張り紙で本文が隠れていた。

 "先天性魔力眼球症"の隣には、小さく"魔眼症"と書かれている。もしかして景斗さんはこれをノートに書き写しているのだろうか?

 だけど、聞いたことのない名前だ。そもそも魔眼というのは存在しない架空のものだと思っていた。

 でも、この資料があるということは、きっと誰かが……。


「景斗さん」

「あ、あともうちょい……」

「すみませんでした……」


 なかなか本題に入れない。俺はこの病気に関して気になったことがあった。

 それは、とあるメモ書きに書かれていた景斗さんの瞳が普通の人と違うというもの。普通の人と違うというのは、普通の日本人とは違うということなのだろう。

 俺は机奥に置かれた鏡を見る。そこに映る景斗さんの瞳は黒かった。どこも違うところはない。

 景斗さんは定規を使って点字シールを並べていく。それも迷いがひとつもない。フォルテさんが言ってたことは本当だったようだ。


「よし。終わった……。えーと。約2時間ね……」

「なんで時間計ってるんですか?」

「あはは。時間計ってるのに関してはそれほど意味はないよ。おれ、少しでも早く点字並べられるようになって、目が見えない人に本を提供したいから。ただそれだけ」

「そうなんですね……」


 たしかに景斗さんは点字を並べるのが早い。かなり早い。点字の意味は分からないけど、スムーズに置いていた。

 定規も見たことがない穴あき定規だったけど、一直線になるようにして正確に並べていた。

 だけど、当の本人は少し不満そうな顔をしていた。ここで本題に入ろう。


「景斗さんの目が他の人と違うって、どういう意味なのか教えてくれないか?」

「あ、それ? もしかして黒白様のメモ書き見ちゃった?」

「見ちゃいました……」

「じゃあ、仕方ないね。おれの瞳。ゲーム内での色。つまり本来は青色なんだ」

「で、でも、今黒じゃ……」

「あはは。ごめん……。この黒はコンタクトなんだ。普段黒白様の前では取っていて、学校とかお客さんが来てる時はいつも付けてる」


 そう言って、景斗さんはカラーコンタクトを外した。そこから見えたのは、澄んだスカイブルーの瞳。

 どこまでも見通していそうな目は、どんどん引き込まれていく。これが景斗さんの本来の姿。

 お母さんが趣味で付けてる緑のコンタクトよりも綺麗だ。俺は思わず立ち尽くし、少し遅れて後ろの方へと下がる。

 すると、そこにゲームソフトタワーがあるのを忘れ豪快に崩してしまった。急いでタワーを作り直すと、景斗さんは新しいカラーコンタクトを付けてる最中だった。


「これでよし。翔斗。今日のお昼何か知りたいでしょ?」

「は、はぁ……」

「浮かない顔だね。今日は黒白様が集めてきた魚の刺身だよ。ま、おれと黒白様でいくつかつまみ食いしちゃったけど」

「いや、つまみ食いはダメでしょ」


 景斗さんは点字キットを片付け、カラーボックスの中にしまった。その時にはもう大樹は1階に降りていて姿がなかった。


「大樹。ほんとお腹空いてたみたいだね」

「だな……。俺たちも行くか……」

「誘ったのはおれだけどね」

「そうだった!」


 部屋の片付けを俺と景斗さんの2人で終わらせると、景斗さんが作った歪みを通って1階へ。

 景斗さんも空間魔法使えるんだ。そう思ったよりも前に、食卓の上は様々な魚の刺身が置かれていて、驚きの方が上回った。


「サーモンにマグロにブリにイカ。タイに……これは……」

「フグだよ」

「ッ!? 結人さん!」

「ふふ。驚かせちゃったね。フグは僕じゃ捌けないから、フォルテに頼んで捌いてもらったんだ。ちゃんと毒はとってるから大丈夫だよ」

「フグってこんなに透明なんですね……」

「でしょー」


 俺は初めてフグの刺身を見た。だけど、もうひとつ気になったこと、それはガスコンロと土鍋が置かれていたことだった。

 もしかして、刺身のしゃぶしゃぶ? なんかさらにお腹が空いてきてしまった。


「じゃ、みんな席に座って」


 結人さんが号令をかける。


「では、いただきます!」

「「いただきます!」」

応援よろしくお願いします!!!!!!

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フグの刺身……食べたくなります!
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