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第40話 アリスの妹

短いです

 ケイとのやり取りを終え、俺は一人の少女と一緒に街を駆け抜ける。街は右回りの家もあれば左回りの家もあって、まるで歯車のように動いていた。次の家は左に、その先は右に、交互に回転している。

 なんだか目が回りそうだ。これだけで酔ってしまう。方向感覚を見失いながらも目の前の少女はどんどん先へと走っていく。

 追いかけても追いかけても追いつけない。まるで陸上の無敵王者のようだ。今でもその記録は誰も更新できていないらしく。その王者を目標に入部する人もいるらしい。

 だけど、その少女はまだ名乗る様子がない。どう名前を呼べばいいのかわからず、あまり尋ねる側ではない俺は、先に問いかけることにした。


「その……。どう呼べば……」

「アタシのこと?」

「はい」

「メルでいいよー。実は案内所の看板娘をしているんだよねー」


 メルという少女はアリスの妹でスターにある案内所の看板娘。となると、移動に対する迷いのなさは納得がいく。加えて、マップ埋めにも協力してくれていていつの間にか俺のマップはピンだらけになっていた。

 飲食店や武具屋、装飾アイテムショップ。街の動き方。地形の変化その他もろもろ教えてもらい。この街の知識を全部叩き込まれた俺は、移動が楽になり始めていた。

 もちろん移動しているのは屋上だ。メルがどのようにしてここに来れたのかは不明だが、それでも場所を丸暗記している。

 きっとこの街以外の街も全部知ってるはずだ。ケイがどのような反応・対応をするかはわからないが、彼女を迎え入れた方が今後のゲーム攻略が楽になる。


「アタシはここを出るつもりはないよ」

「え?」

「ここにアリスお姉ちゃんも残ってもらいたいし。いるんでしょ?」

「い、いるけど……」


 この少女はアリスと一緒にいたいらしい。でも、アリスは俺たちアーサーラウンダーのメンバーだ。置いていくわけにはいかない。

 それならいっそ、メルに同行してほしいくらいだ。ここは意地でも誘うか? いやそんなことをしたら評判が悪くなる。

 最悪"AI誘拐の真犯人"という汚名を付けられるだろう。そもそも、アリスを同行させてる時点でその呼び名を突き付けられてるかもしれないが。

 AIはAIらしくその街や集落に留まってほしい。でもアリスが旅立つと決めたのは本人の意思。この状況きっと喧嘩になる。

 そもそも、アリスはメルのことをしってるのだろうか? 知らなかったらそこで思考の差が生まれる。ここをどう成立させるか? それが最優先だろう。


「もう間もなく案内所に着きます」

「ありがと、メル」

「いえいえ」


 メルの普段の口調はどっちなのだろうか? アリスのことになるとタメ口に、案内所のことになると敬語に。まるで俺みたいだ。

 俺はフォルテさんと話す時だけ敬語で話すようになった。そもそもキャラ被りはしたくないという気持ちがあるだけだが……。

 まさか、フォルテさんと多く話す機会ができるとは思わなかった。と言っても実際はそこまで真剣に話していないが、彼の不思議は無限大だと感じた。

 話をメルに戻そう。俺がそんなことを考えてるうちに彼女の姿が消えていた。俺は下の方をのぞき込む、すると地上にメルを見つけた。


「お兄ちゃん。案内所はここです!!」

「わかった、今降りる」


 俺は屋上から飛び降りてメルの前に着地する。そして、彼女が指さす方向を見ると、かなり大きなレンガ造りの建物があった。しかも可動式の渡り廊下まである。

 ここがスターの案内所。だけど、ゆっくりしている時間はない。俺はメルが受付カウンターに立つのを待って手続きに入る準備を開始した。

応援よろしくお願いします!!!!!!!!!!


ビースト豆知識


飛鳥翔斗

17歳(12月22日生まれ)

部活:陸上部

特技:リンゴの皮むきで長く剥きつづけること

趣味:ゲーム

好きなもの:肉類

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