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第33話 動く街

 満足するまでっていつまで。俺はフォルテさんの考えには賛同できそうんいなかった。こっちは急いでいるからだ。

 そして、フォルテさんはこのゲームでは一番の移動手段になっている。だからこそ、紋章を解除してスターまで運んで欲しい。

 俺の作戦は何度も言うがロゼッタヴィレッジよりも先回りして、目的地に着くこと。

 アリスのための判断として、セミ軍団と戦ったが、フォルテの時間で押せ押せだ。どうにかして、目的地まで行かないと。


「ところでカケル。スターの場所ってどこなんだ?」

「え、えーとですね……」


 俺は少し前に美玲から貰ったマップを見る。ちょうどよくケイからも連絡が入ったので、そっちにも耳を傾けながら俺は説明した。


「ここはスターへ向かう道から少しズレてるから。そこを計算に入れて……。直線距離で4キロから4.5キロくらいですね……。フォルテさんのスピードで考えると、約……」

「10分くらいだな。今のオレの状態から考えるとさ」

「じゅ、10分!?」

「おん。それがどうした?」


 そんなに早く移動できるなんて……。俺もこれは計算外だった。では、ここからが本題だ。今帯電状態に鳴ってるフォルテを主軸として、どのように俺とアリスを運ぶのか?

 そこをクリアすれば楽に移動できる。でも、今のフォルテの状態がいつまで続くかもわからない。

 そこもしっかり把握しておきたいが、ここは詮索する場面ではなさそうだ。そんな思考を凝らす俺に、ケイが通信魔法で報告した。


「カケル。こっちの方も動きあったよ」

「どうした?」

「ロゼッタが僕たちの斜め上の行動を始めたんだ。彼らは第4の街で僕たちを待ち伏せする気らしい」

「第4の街? けど、行くにはスターの通行許可証が必要なんじゃ……」


 通行許可証。それはこのゲームにおける攻略度を示す証明書。プレイヤーは各街を移動して許可証を手に入れ、街の入口にいる門番に見せる。

 ただし、始まりの街であるソルダムだけは許可証が存在しない。つまり、第2の街までは許可証の必要がなく自由に出入りできる……らしい。

 俺は今アンデスの許可証を持ってるため、次に出向くことができるのはスターのみ。その先に行くことはできない。


「とりあえず。スターへ向かおう。フォルテさん、どんな形でもいいから運んでもらえますか?」

「んーとな……。帯電量と感電しないようにする対策するから、ちと待っててくれ」

「お願いします」


 そう言ってフォルテさんは、自分の手の甲をジロジロ眺め調節を始めた。だけど、少し嫌なことも起こった。

 調節する事に俺を触ってくるのだ。でも、なぜか感電することがない。かなり紋章を使いこなしているようだ。

 それと同時に、結人さんが言っていた俺に適合した紋章の名称が気になって仕方がない。

 できるだけ負荷のかからない紋章希望だが、そう簡単にはいかないものだと思う。効果は管理している彼しかわからないのだから。

 そうしている間に体感時間5分が経過。フォルテさんはというといつも間にかビーストモードになっていた。


「よし、準備できたぞ。ここに来る時と同じ形で乗ってくれ」

「りょーかい」


 アリスは素直なところがいい。俺は少し理解が追い付かなかったが、野うさぎの姿に切り替えて彼女に抱えてもらう。敵エネミーで友好エネミーでもある中立のアリスの手は、優しい温かさ。

 プレイヤー側である俺がだんだん眠くなってくる。現在時刻は何時なのだろうか? ビーストモードの欠点は、メニュー画面を自由に開けないこと。

 メニュー以外で表示されるのはマップとステータスバーくらい。現実世界の時刻はメニュー内なので思ったよりも不便だった。


「カケル。今どの辺だ?」

「了解です。マップ展開!」


 俺はボイスコマンドでマップを開く。口がほんの少ししか開かないので、自分の声が届くかどうか心配な場面。

 現在地を確認すると、スターまであと残り10キロと書かれていた。もしかして離れてるのか。いや、方向は合ってる。


「フォルテさん。もしかしたらだけど、スターの場所が動いてる。移動式の街ってことです!」

「移動式だと!?」

「どうするの? フォルテ、カケル」

「そうですね……。移動が止まるまで待つか……」


 俺は思考を巡らせ頓智に任せてみる。だけど、これといった最善策が出てこない。一休さんでもないんだから当然だ。

 この展開は俺も予想外。まさか、スターは動くだなんて……。


「そうか!! フォルテさん一旦止まってください!!」

「お、おう……」


 俺は人型に戻ってメールを開く。ケイに改めて通信魔法を使用するように伝えると、すぐに繋がった。そして、俺はまた身体を丸くしてアリスの上に戻る。


「フォルテさんはそのままスターに向かってください」

「わかった。んで、なんでケイまで呼ぶんだ?」

「それはこれから説明します」


 改めて思いついたことを整理する。ロゼッタヴィレッジは第4の街に向かう。その理由がわかったからだ。


「ケイ。ヤマトとバレンさんにも聞こえる状態にできますか?」

「おーけー」

「では、ロゼッタヴィレッジが第4の街に向かう理由ですが……」

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― 新着の感想 ―
[良い点] ロゼッタヴィレッジの行動は気になりますね。果たしてどうなるのか楽しみにしています!
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