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第22話 ゲーム世界のドリンクバー

本日レビューをいただきました。


ありあんとさんありがとうございます。


ヒロインのアリスちゃんのファンになったそうです。

そんな可愛いアリスちゃんの活躍乞うご期待!!!

「アーサーラウンダーの皆さんの部屋はこちらになります」


 赤髪の受付嬢が足を止め、大広間と言ってもいいくらい広い部屋の前に立つ。


「ここが、俺たちの拠点……」

「広いね……。カケル」

「そうだな、アリス。受付嬢。こんな感じの部屋は他にいくつあるのか教えて欲しいんだけど」


 俺は赤髪の受付嬢に問いかける。こんな広い部屋はVIP部屋と言ってもいい設備だった。ソファーもあれば、オブジェクトストレージタイプのクローゼットまで。

 バレンは気に食わなさそうな顔をするが、やれやれとソファーに腰を落とす。


「このような部屋は全部で70から90部屋ほどあります。空き部屋は30部屋くらいでしょうか……。ただ、小規模のギルドはロゼッタヴィレッジに殲滅されてしまって、ここアンデスから旅立とうとしないのです」

「つまり、次の街スターに行く人がいないってこと?」

「そうです。では、私は次の仕事がありますので失礼します」

「あ、ああ……」


 全部聞けなかった。不完全燃焼の俺は、一度滞在しているギルドに挨拶しに行くことにする。もちろんアリスも一緒だ。


「アリス。ここでは敬語だけで話してくれ」

「どうして?」

「んーと。なんとなく。俺たちはまだ新参者だろ?」

「そうだけど……。よく分からないですが、そうします……!」

「助かる」


 それから俺とアリスは、各部屋を回っていった。だけど、やはり深夜帯だからあまり人がいない。

 通常深夜帯は人が多いイメージが強い。だけど、このゲームは本当にプレイヤーが少ないようだ。

 ケイはどこからそのような情報を仕入れてくるのだろうか? あまりよく分からない。


「あ、カケルたちここにいたんだ」

「ケイ。少し休まったか?」

「ううん。ソファーをバレンに占領されてしまってね。ちょっとビールテイストの飲み物を取りに」

「なら、俺たちもジュース持ってくるか……」

「わかりました。カケル♪」


 このゲームにはカラオケやファミレスにあるドリンクバーみたいな物もあった。なぜそれを見つけたのかと言うと、自分の部屋から右に2部屋過ぎたところに、機械のようなものがあったから。

 俺とアリスはオレンジジューステイストのドリンクをコップに入れ。ケイはビールジョッキにビールを注ぐ。

 彼はお酒に弱いと言ってたけど、ゲーム世界のビールにアルコール設定はあるのだろうか?


「でもなんでビール飲もうとしてるんだろ?」

「いやケイが自分で注いだんだろw」

「あはは。ちなみにノンアルビールテイストの方を選んだから、酔いデバフはつかないよ」

「ならいいんだけど……」


 そうして、俺とアリス。ケイは拠点となってる部屋へ向かった。やはりどこも閑散としている。

 宴とかあってもいいはずなのに、ものすごくまばらだ。歩いてるのはアリスのようなゲーム内キャラだけ。

 オークやグリーンゴブリン。あとはエルフくらい。そういえば、ここの受付嬢はみんなエルフだった。

 赤髪と青髪。エルフは髪の色が豊富で、ケイによると魔法を使えるウィッチエルフもいるらしい。

 それなら、アリス同様仲間にしたいくらいだ。この件に関しては、後日ケイに相談しよう。


「バレン。そろそろ席替わってよ……」

「やだね。リーダーは監視してろ」

「うぅ……。わかったよ……」


 ケイがバレンさんに負けてる。まあ、きっと経歴の立場上ではバレンさんの方が上なのだろうけど、人を休ませることがわからないのかな?

 かと言って、俺やアリスが言う事じゃないし……。


「それじゃあ、ここで解散ってことで。カケルにはこのデータを」


 ケイがそう言うと一通のメールが届いた。確認すると、どうやら住所のようだ。場所は東京と書かれている。

 俺は群馬に住んでいるので、最寄りの北高崎から東京行き切符を購入。そこから、湘南新宿ラインか上野東京ラインのどちらか――と言っても、停車駅が途中から違うが――に乗って行くのだろう。

 俺は小学校の修学旅行くらいでしか東京に行ったことがない。だから、俺がこの住所に行くとしたら、初の一人旅だ。

 ところでこの住所を終着点はどこなのだろうか?


「僕の家だよ。あ、そうだ、ちょっとカケルの家の住所も教えて。近くの公園でもいいよ」

「じゃ、じゃあ、北高崎駅で」

「北高崎駅ね。明日黒白様に頼んで18時頃ゲート開いてもらうから」

「ゲート? って何?」

「それは見てのお楽しみ。だよ?」


 と言い残して、ケイログアウトしてしまった。続くようにバレンのログアウトする。俺は空いたソファーで寝るようアリスに促し、そして日中は拠点の部屋の外に出ないよう伝える。

 アリスは無謀なことはしないだろう。俺は結局最後にログアウトした。現実世界に戻った後、自分のパソコンのメールボックスを見ると、そこには確かに東京の住所。


「ゲート……か……。きっとそれは……」

『翔斗。そろそろ寝たら?』

「はーい」


 これもまた不完全燃焼のまま一日が終わった。

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