表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

115/123

第13話 まるで魔王は方向音痴

 こうして、俺はひとりひとりに役割を与えていった。まだカイトとケイが帰って来ない。でもそんなことよりも食事が優先だ。

 スタミナゲージを回復させて次のイベントに備える。このクエストを辞退すれば自動回復んい切り替わるのだろうけど、そんなことをしたらレイが悲しむ。

 ちなみに、今回俺が当てはめた担当割り振りは以下の通りだ。


・まな板と箸作成担当:ヤマト、ルグアさん

・野菜切り担当:俺、レイ、アリス、アレンさん

・火起こし担当:アリアさん、ヤサイダー

・鍋作成担当:バレンさん、フォルテさん


 以上。


 まあ、本当は肉担当も用意しておきたかったが、さすがに人数が足りなかった。俺は通信魔法でケイに繋げてみる。

 だけど、場所が遠すぎるのか上手く繋がらない。そんな時ルグアさんが俺の肩を叩く。ゲーム内でのルグアさんはリアルと違って身長が高い。

 よくこの身長差を上手く使いこなせるなと内心考えていたが、彼女にとってはこれが普通なのだとか。


「じゃあ、それぞれ作業開……」

「お待たせーー」

「「???」」


 再び後ろから声が聞こえてきた。振り返るとそこにはケイとカイトの姿。俺はこの2人を肉担当にすることにした。

 それぞれ行動に入り、俺はまな板組の準備が完了するまで待った。時々ヤマトたちの方へと向かい、様子を確認。

 ヤマトの剣とルグアさんの剣――どこから出てきたのかは知らないが、GVさんの記憶を辿っていた時に見た紅い剣が、どんどん木を切り倒していく。

 細かい調整はルグアさんが。またどこから出てきたのか分からないカンナで、板状にした素材を綺麗にならしていく。

 野菜切り担当4人分のまな板は約1時間で完了した。それを受け取った俺は、急いで小屋の方へと移動する。

 そこにはもうすでに机の前で立つアリアさんとアレンさん。寝起きのレイがいた。そして、鉄関係組もちょうど包丁を完成させたタイミング。

 今のところ上手くいっている。だけど、寝起きのレイ包丁を持たせる訳にはいかない。俺は、最初に見本を見せることにした。

 ちゃんと野菜を左手で押さえて切る。ゲーム内ではこれだけの動作で可能になる。


「ぼくも切ればいいの?」

「もちろんだ。レイ、包丁使ったことないだろ? だから、今日はその練習だ」

「が、頑張る……」



 ◇◇◇◇◇◇



 肉担当になった僕は、カイトと一緒に森の中を歩いていた。こんなところに動物はいるのだろうか?

 迷いなく進むカイト。僕はその背中を追いかけるだけ。鹿アバターは基本歩く速度が早く、早歩きしないと追いつけない。


「カイト。もっとゆっくり……」

「肉が早く欲しいなら、急いだ方がマシだぜ? 生存競争とかあったらヤベェわ。ガハハハハッ!」

「笑ってる暇ないよ。どこにいるのか分からないんだよ?」


 僕はマップを見ながらカイトに指示を出す。だけど、カイトはこちらに耳を貸してくれない。自分のことしか考えてない。

 バレン以上の野生児だ。指示を出しても言う事聞かないなんて、なにがあってもおかしくない。

 森はどんどん深くなっていく。一部は木製アイテム作成担当が伐採したようだけど、それでも草木が茂っていた。

 暗い場所はあまり得意じゃない――とはいえ、フォルテのようなお酒で恐怖を払うことはしないが――僕は、冷たい風に少し恐怖を覚えた。

 なのにカイトは汗ひとつかかずに、どんどん奥の方へと進んでいく。


「カイト! そっちは道外れるよ!」

「別にいいじゃないか。俺様の道は俺様が作る。俺様だけの道ってな! ハハハハハ!」

「だから笑って済むことじゃないんだって……」

「そんなことはない。道は作るものだ。作らずして得られるものはなにがある!」


 ほんと言う事聞こうとしないんだから。こんな人がカケルの学校に入ったら何が起きるか分からない。ほんと何かあってもおかしくない。


「戻った方がいいよ。僕としてはそっちに野生動物の気配はしないから」 

「気配がしないだと!? 俺様は何もかんじないぞ!」

「だから言った通りなんだって……。僕ならすぐに帰れるから」

「帰りたい? もしやこの暗がりに怖気付いたのか?」


 カイトと長く話していたか、彼のこの口調には慣れた。だけど、このどこかの魔王のような口調は正直苦手だった。

 どこか自分の地位を無理やり上げてるような、上目遣いの話し方。どうしたらこのような話し方になるのだろうか?

 彼が喜怒哀楽の怒を司ると知った時。ひとつだけ思い当たることがあった。レイとカイトが戦ってた時だ。

 僕は少し見逃してた部分があったけど、アリアさんが動画を撮ってくれていて、そのデータを送って貰っていた。

 そこには、人格が切り替わる少しのラグもしっかり保存されていたけど、僕が発見したことはそこじゃない。

 カイトんい切り替わった時の口調の差。あそこまで大声で叫ぶ人は初めて見た。僕も大声を出すけど、それ以上の声量だった。

 だからなのだろう。僕は少し負けた気がした。つまり、それで彼に強く言えなくなっている? その可能性はあると思う。


「んんんんんんんんんん?」 

「カイト、どうしたのかな?」

「ケイ。なんか動物の鳴き声が聞こえないか?」


 カイトに言われて耳を傾ける。すると、遠くでガサゴソという音と、少し低い声が聞こえてきた。どうやら、鍋はジビエ鍋になりそうだ。

応援よろしくお願いします!!!!!!!!!!


評価していってね(ゆくぼ)


魔王2099読むぞーーーーーー!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ