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第12話 遅れてきた2人

 先に宿泊施設に到着した俺たちは、畑仕事の続きをするルグアさんとアレンさん。そして、カイトを呼び止めたケイを待っていた。

 レイはと言うと、少し休憩と行って宿泊施設内の部屋で寝ている。その寝顔は彼が生きていた時に近い優しい柔らかい表情だった。

 ゲーム内とはいえあそこまで張り切って人参を収穫していたのだから、疲れのステータスがない彼でもかなり疲れたらしい。

 そう考えて見れば同じ動作しかしてない俺もかなり疲れていた。こういう時にまず気になるのはスタミナゲージだ。

 俺はゲージを確認する。そこは減ったっきり回復しないゲージが1本。戦闘はしてないので体力ゲージでは無いのはたしかだ。


「みんな。スタミナゲージ見てくれないか?」

「スタミナゲージ?」

「そうだ。俺の推測がたしかならスタミナゲージはHPゲージの下。そこのが減ったままの状態になってないか?」


 みんな視線を左上に寄せる動きをする。すると何人かがはっとした表情をした。


「ほんとに減ったままですね……」


 真っ先にそう呟いたのはアリアさんだった。アリス以外みんな同じことが起こってることが判明し、これが疲労の原因ということが証明された。

 俺はこれが回復する方法を考える。俺が知ってるアクションゲームでは骨付き肉アイテムを食べれば回復していたはずだ。

 だけど、それは自動回復式でスタミナのゲージを増やすためだけのアイテム。ここにそんなものがあるはずがない。

 だけど、レイに約束したこと。鍋料理を食べさせること。もしかしたらそれで回復するかもしれない。俺は近くに調理器具がないか確認する。

 スタミナが自動回復しない。そして、野菜には折れるなどの設定がある。現実と行動が似通っているのなら、鍋で調理するに違いない。

 料理人のNPCはいない。だから、プレイヤー自ら調理する。だけど、鍋やまな板。ボウルなどの器具はどこにもなかった。


「セファン。鍋とかはないのか?」

『うむ。しばらく前に錆びてしまってな、まな板もカビで新しいのに変えたんじゃが……』

「なるほど……」


 このクエストには"カビ"の要素も含まれている。かなり現実に近いステータス。つまり、俺たちは近くの森林で木を切って、それを加工して、鉱山に行って鉄を取ってきて加工して。

 これでは箱庭ゲームと同じじゃないか。俺はみんなを集める。アーサーラウンダーの副団長――副リーダーとしてしっかりと指示を出さないといけない。


「まだケイとカイト。ルグアさんにアレンさんが来ないから、ここにいるメンバーで役割分担したいんだが……」

「役割分担?」


 俺の言葉に反応したのはやはりアリアさんだった。その後方ではヤサイダーが腕組をしながら俺を見詰めている。

 バレンさんとフォルテさんは先程の収穫バトルでの結果が納得いかないようで、バチバチと火花を散らし。レイは今もスヤスヤお眠り中。

 起きてるメンバーだけに絞ると、俺とヤサイダー、バレンさん、フォルテさん、アリアさん。ヤマト。GVさん。アリス。不在がルグアさん、アレンさん、ケイにカイト。

 一応力作業が得意そうなのは2名。その2人に鍋を作成する担当になってもらう。


「バレンさん。フォルテさん。鉱山の方に向かって鉄鉱石の採取と、鍋の作成お願いしてもいいか?」

「は? 俺はコイツに負けたんだぞ!? 行けるわけねぇだろ!!」


 俺の言葉に反発したのはやはりバレンさん。どうも収穫バトルで負けたことに嫌気がさしているらしい。

 フォルテさんはというと、そんなバレンさんをまじまじと見詰めていた。熊の大柄な身体はそれなりの威圧感があるが、その眼差しは優しいというかなんというか……。

 この空気はなんなんだ? 俺なにか変な指示を出したか? そんなはずはないと思うんだけど……。

 すると、後ろの方から風が吹いてくるのを背中で感じた。それに振り向くと、そこには歪みがひとつ。そこから来たのはアレンさんとルグアさんだった。


「セファンさん。大根畑の整備終わったっすよ!」

『おお、有難う』


 アレンさんがセファンさんに報告する。無事に綺麗になったようだ。ここまでかかったのは約1時間ほど。

 2人だけの作業だったのにも関わらず、ものすごく広い空間の整備を完了させるのは俺でもできないことだ。

 しかも、息も全く切らしていない。アレンさんとルグアさんのフルダイブゲーム歴が知りたいくらいだ。


「カケルさん。私たちは何をすればいいのかな? さっきの会話を聞くとバレンとフォルテが鍋を作るとかなんとか……」

「え? えーと、ルグアさんはなんでそれを? 俺がその説明した時はいなかったはずなんだけど……」

「うーん。勘かな? 勘だけはかなり強いから。って自分で言ったらダメだよね」

「そうっすよ。ルグア!」


 ルグアさんの言葉にアレンさんがツッコミを入れた。そして、バレンさんがほんの少しの動きで反応する。

 俺はここはルグアさんに任せた方がいいと思い、ほんの少しの無力感が湧いてくる。俺にはまだこういう立ち位置に向いてないんだと。


「それじゃあ。カケルの指示に従ってーー。私もお手伝いできることがあれば手伝うから」

「え、俺!?」

「だって、副リーダーなんでしょ? ケイが任命したからにはそれなりに頼れる要素も持ち合わせていると見た! さあ、どんどん指示をしてくれたまえ!」

「その……。ルグアさん。何キャラですかそれ?」

「しーらない!」

ブクマ増えろーーーーーーーーーーーー!!!!!!!


(応援よろしくお願いします。次回は役割分担だけの話になると思います)

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