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第8話 頑固親父

 ◇◇◇クエスト発生エリアにて◇◇◇



『クエストだと? ワシはそんなもの依頼した覚えはないぞ! この農場から出ていけ!』


 俺たちは、ドワーフの夫婦が経営している農場に来ていた。のだが……。当の本人はクエスト依頼した覚えがないらしく、追い出されてしまった。

 俺が紋章を使って思い出させようとしても、上げた手を振り払われて、発動できなかった。これは手強い。なんとかして思い出させて、クエストを開始させないといけないのに。

 まず、この親父ドワーフを説得するため、俺たちは近くの公園らしくエリアにまで戻った。ここならあの親父にも見つからない。


「追い返されちゃったね……」

「誰も悪くないのにな」

「悪いのはあの頑固親父だよ!」

「レイそれは言い過ぎじゃないか?」


 そのツッコミにあははと笑うレイ。落ち込んでいたメンバーもみんな笑顔になる。俺は自分の紋章を上手く使えなかったことに後悔していた。

 俺の発動速度が早くなれば、手を振り払われることなくあの親父の記憶を掘っていくことができたはず。だから、これは俺のせいだ。俺がもう少し早く行動できれば……。


「お兄ちゃん?」

「いや、なんでもない。作戦を考えようか。まずは、バレン。君なら強行突破できそうだが……」

「無理だ。逆に俺が不審者扱いされるぞ?」

「まあ、そりゃそうだよな……」


 たしかに強行突破は逆効果だ。いくらビーストモードで超高速移動できるバレンを囮にして入る作戦だったが、これは完全撤回しよう。

 次に、ヤサイダーの鬼交渉だったが、口喧嘩はあまり得意ではないらしい。だから、これも候補から消える。

 次に目を付けたのはフォルテと親父さんの酒飲み対決。これなら絶対勝てる。だけど、ケイの情報によると農場の親父さんは主に飲むお酒が日本酒なので、これは無意味の対決になることが判明した。


「あれもダメ……これもダメ……」

「八方塞がりだね……。お兄ちゃん」

「だな。レイ」


 俺はレイの背中をさする。彼の少し身体が冷えていた。ゲーム内なのにここまで身体の温度がわかるなんて……。ゲームのこだわりの偏り具合がかなり極端だ。


「あの……。カケル君? ボクの4人目なら、口喧嘩にも慣れてるし、楽に突破できそうなんだけど……。それに、主は別として他のメンバーが出たのに、私だけ表に出させてくれないのは困るって……」

「えーと。タクが喜でミクが楽。カイトが怒だとしたら。残ってるのは哀ですよね?」

「はい。名前はレミスって言います」


 レミスか……。なんでレミスだけ日本人の名前じゃないんだ? そこが謎すぎる。だけど、これにも理由があるのだろう。

 俺はその人に頼むしかないと個人的に判断した。なのに俺がそれで行こうと発言する前にヤサイダーが口を挟んだ。


「レミスは出てこない方がいいわ。何が起こるか分からないもの……」

「ヤサイダー?」

「レミスはたしかに口喧嘩には慣れてる。哀を司るから、カイトよりもそのあたりには経験豊富だわ。ただ、暴走したら誰が止めるのよ……。最近のレミスは少々様子がおかしいのよ?」

「そ、それは……」


 ヤサイダーの的確な指摘にタクがしょんぼりとした表情をする。口元がかなり寂しそうだ。本人も最後の切り札として言ったのだろう。

 だけど、本人もこれしかないという思いは強いようで、目力で訴えている。


「タク。ならぼくが一緒に行くよ」

「レイ君? いいのかい?」

「うん。タクがそれしかないというのなら。ヤサイダーさん。ぼくがそのレミスの様子をしっかり見張っておくので、許可をお願いします」

「仕方ないわね……。わかったわ。ここはレイとレミスに任せましょう。こちらはこちらですぐ移動できるようにしておくわ」


 レイが交渉んい行くのか。なんだか心配だ。しかもカイトよりも問題児らしいレミスという人物と行動するなんて。俺としては納得いかない。

 だけど、これに賭けるしかなかった。タクはレイと離れないように手を握る。そして、農場の方へと向かっていった。


「本当に大丈夫なんかな?」


 俺は親目線になって呟いてみた。するとGVさんが右隣に座り俺の左肩をぽんと叩いくと、そのままもたれかかった。

 彼が近くにいるとなんか落ち着く。ルグアさんもアレンさんも、俺とGVさんの様子を見てとても安心した表情をしている。


「カケルくん。レイくんなら大丈夫。ここに来る時僕とレイくんだけ遅かったでしょ?」

「はい。たしかに5分ほど遅かったですね……」

「あれね。レイくんに色々質問してたんだよ。その中にあったんだけど……。レイくん。入院してる時下の子に人気だったみたいでね。人付き合いには慣れてるみたいなんだ。主治医もころころ変わってたみたいで、色んな人と接していたらしいよ」

「そうだったんだ……。勝手にあまり人と関わってないんじゃないかと思ってました」


 病院での様子を知らなかったのもあるが、俺は色々先入観だけで考えていたみたいだ。だから、レイは色んな人と仲良くできるのか……。

 俺は普段からアリアやヤサイダー、ヤマト。それとギルドメンバーとしか話さない。部活の部員の名前もうろ覚えで、ほとんど知らない人扱いだ。

 レイにレミスを任せたのは、もしかしたら正解だったのかもしれない。やがて、2人は仲良く戻ってきた。それも満足そうな表情をして。


「農場入る許可おりたよ!」

「レミスは用事済ませたらすぐに引っ込んじゃったけどね」

「ありがとうございます。タクさん。レイ。よしみんな行くぞ!」

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