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第一世界 リスタート①

 果てしなく澄んだ静寂。時計の針は七時半をさしている。

 なんの変哲もない高校の、なんの変哲もない教室。真新しい白いドアの上には、二-Bと書かれた透明なプレート。教室の中には木目調の机と椅子が等間隔に四十席程が並んでいる。

 

 

 普段、どんな時でも騒がしく、人の声がする。そんな賑やかな場所、それが教室と言う物だ。

 ……だからこそ、誰もいない静かな教室というのはロマンなんだ。

 

 

 窓側の末席。漫画なんかで背景に気を遣わなくて良いから描きやすいなど諸説あるが、色々な物語で主人公がよく座っている席。

 そんな席に座るこの男は、どこか物悲しそうに机に突っ伏していた。

 椅子にブラザーをかけ、制服見に纏うその少年は、自身の黒髪に目に見えるほど多い白髪の束の一つを手に取り、クルクルと指先で巻き始める。

 

 果たして、その寂しそうな紫紺の瞳はなにを思っているのだろうか。

 

 

(誰もいない教室で、一人物悲しそうに外を見る僕。すごい物語の主人公っぽくない!?)



 ……これだ。



(いや、やっぱそうだよね。誰もいない教室ってロマンあるよ。だって実際かっこいいもん。いやぁ、早起きした甲斐あった。)



 名を蓮というこの少年は、『誰もいない教室で一人突っ伏している主人公』をしたいが為に、今日朝四時起きをしている。

 さらに言えば、彼はこの学校に朝六時の段階で到着していた。

 しかし当然の事ながら、六時に校舎が空いているわけもなく、この男は約一時間ほどの間、校門の前で待機していたのだ。

 

 制服を着ていなければ通報案件の不審者だ。いや、制服を着ていても普通に不審者だ。校門を開けにくる教員さえも、若干顔を引き攣らせていたくらいだ。

 ……多分、今後この男はこの学校の教員達の中で伝説になるだろう。



 そんな事になろうとはつゆ知らず、当の本人は今も「どうやったらもっと主人公感が出るか」を模索してる。



(うーん、やっぱ突っ伏して眠ってるのが一番……)



 アホな方に頭を悩ませていると、大きくあくびが出てしまった。

 流石の不審者も、睡魔には勝てないらしい。男は、今度は本当に机に突っ伏して眠りについた。

 

 ……いつもと変わらぬ願いを込めて。


(どうか起きたら、可愛いヒロイン的な美少女が目の前に現れますように。)


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