2話 魔法少女事情は意外と現実的
長かった…_( _´ω`)_
光が収まるとそこには──
「……あの~にゃもん?」
「なんですか?零」
「私の服装変わってないんだけど……失敗とかじゃないよね?」
「もちろんですよ零の頭の中で魔法少女になった自分を思い浮かべてください」
「んん~~~」
言われた通りに頭で魔法少姿の自分を思い浮かべる、すると
キランッッッという音が鳴り体を光が包み込んだ
「わあ!?……こ、これが魔法少女の服?」
光が消えると私の服装は変化していた、その服は柔らかいタッチのピンクと白主体でフリフリがついた思い浮かんだ通りザ・魔法少女と言わんばかりの服装だった
「服装はその人の思考・願望・潜在能力が大きく影響します零が今回の服装を見た反応見るにおそらくですが思考と潜在能力が大きかったのではないかと」
「ええ!?それを早く言ってよ!言ってくれたらもっとかっこいい服装思い浮かべたのに……」
「そういわれましても決まったものはしょうがないです」
「えっと……もう変更できない感じ?」
「はい、それでもう決定です」
「/(^o^)\ナンテコッタイ」
その言葉の私は崩れ落ちる
「うそ~ん……こんなの外、出歩けないじゃん……」
「それについては問題ないですよ、魔法少女の衣装には姿を偽装するバリアーがついてますのでそれをオンにすれば(魔法少女以外の)周りからは普通の普段着に見えますから」
「うん、それも早く言おうか」
「聞かれなかったもので」
こ、この猫もどき……
「改めて契約完了です、これからよろしくお願いしますね、零」
「あ、うん、よろしくにゃもん……」
「どうしましたか?零、ずいぶん元気がないようですが?最初からその調子ですと他の魔法少女にサクッと殺されちゃいますよ?」
えいっとナイフを突き刺すジェスチャーをするにゃもん
「いや、そうなんだけどさ……いざなってみると右も左もわからないし武術の経験があるわけじゃない私なんかが生き残れる未来が全く見えないんだよね……」
そう、私は今まで運動部に所属したこともないので運動も普通、武術も習ったことがないごく普通の中学生なのだ。そんな一般ピーポーがそんな殺伐とした世紀末みたいな魔法少女世界に放り出され18歳つまり4年間生き残れるかと聞かれたらNOとしか答えられないだろう
「なるほど……そうでしたか、しかしそこはご安心ください、実は魔法少女になっていただいた方には初心者向けサービスもあるのですよ」
「初心者向けサービス?」
「はい、まず魔法少女初心者用マニュアル本」
そう言ってどこからか一冊の本を取り出したにゃもん
「とある情報屋の魔法少女が作ったこの本には初心者が陥りやすいミスや対処法等が本人の体験談とともに語られていて、あるのとないのでは生存率にかなりの差ができると言われている救世主のようなマニュアル本です」
「へ~そんな本を作るってことはその魔法少女って優しい人なんだね」
「いえ、ただお金が欲しいだけらしいです」
「あ、そうなんだ……」
「はい、それに『拙者の予想ではそのマニュアル本があっても基本的に初心者は4,5か月で大体消えるでござるから拙者は金が手に入る初心者は寿命が延びるけど敵は基本的に増えないつまり拙者だけWINな事柄でござるね!はーはっはっは!』と」
「……色々言いたいことはあるけど初心者って寿命って伸びても4,5か月なんだ……」
「確かに最初は4,5か月で亡くなる方は多かったですが、それでも初心者サービスを始めてからは最初の頃にこのマニュアル本を手に入れる方が多くなったので、その魔法少女の予想に反して全体的にかなり生存率が上がりましたね」
「ふーん……それっていいことなの?にゃもんの星の人からしたら?」
「はい、もちろんですよ、この殺し合いは賭け事ですが我が星の娯楽でもあります、応援している賭け対象は長く生き残ったほうが楽しいですから」
「……あっそう」
今のにゃもんの言葉でにゃもんの星の人々が私たちのことを家畜か玩具としか見てないことが嫌なほどわかる
「さて、次に初心者向けサービス2つ目は登録チームの紹介です」
そう言ってにゃもんはまたどっかからパネルを取り出す
「登録チーム……?」
「はい、最初に言っておきますがこの世界で一人で生き抜くのはかなり難しいです、なぜなら魔法少女の内約75%はチームに所属しているからです」
「つまりどういうこと?」
「つまり個人で活動している魔法少女はほかの魔法少女と戦うとき一人対多数になりやすいんですよ」
「ああ~なるほどねー」
それはそうだ、自分のチームメイトが攻撃されたら普通は助けに来るだろうしね
「なので基本的に多数を相手取れるほど強かったり一人に執着がある、危険すぎてチームに入れないような人でもない限りチームに皆さん所属してますね」
「逆に言えば多数を相手取れたりチームに入れないような危険人物が25%もいるんだね……」
「そうとも言えます」
うわ~会いたくねえ~
「ですからそんな魔法少女たちから身を守るためにチームに入る方が多いですね」
「でもチームってそんな簡単に入れるものなの?というかまず見つからなそう……」
恐らく全国中にいるであろう魔法少女、拠点も各地に散らばってるだろうし、まずそう簡単に見つかるような場所には拠点は置かないはずだ。私みたいなぽっと出に見つけられるとは思えないしそもそも見つけたとしても入れてもらえるかは別だ、最悪会った瞬間囲まれてリンチもあり得る
「そこはご心配なくそのための登録チームの紹介です、この制度は初心者に入団OKなチームを紹介するというものです」
「えっと……そのチームって全チーム安全なの?入団した瞬間仲間殺しとかないよね?」
「…………安全です」
「今の間何!?」
「冗談ですよ、安心してくださいこちらでしっかり審査してOK出したチームしかいないので、それにこの制度を使っての補充からの魔法少女殺しはルール違反です」
あっ……そこら辺はしっかりルールとかあるんだ……
「それならいいけど」
「ただ入団から2か月経ってからの仲間殺しと自己防衛による仲間殺しはルールとして問題ないです」
「あっそうなんだ……」
つまり仲間内で安全なのは2か月間だけか~
「ですが基本的に2か月経ったらリンチとかは無いと思っていいですよ」
「そうなの?」
「はい、メリットが少ないですしあまりおいしくないので」
「おいしくない?」
どういうこと?
「ええ、まず魔法少女には報酬制度というものがあります、その制度はその魔法少女が一定期間生き残ったり殺した魔法少女の数によって報酬を支給するという制度です」
「なにその殺し合いが加速しそうな制度……」
十代の少女といえば欲しいものも増える時期だ、その時期に魔法少女殺したら報酬支給するよは悪意しか感じられない
「そしてその支給額なのですがその魔法少女のランクによっても変わります」
「ランクってことはA強い、B普通、C弱いみたいな感じ?」
「まあ、あってますね、そのランクはE~SSSまで分けられていて初心者はEから始まります」
幅が広い……
「ランクは単純な強さ、危険度、生存期間、殺した数などの総合で決まるのですがEランクとAランクではその支給額はかなりの差があります」
「まあ、初心者と熟練者で殺した額が一緒だったらみんな納得しないだろうしね」
何となく納得した
「そして初心者は2か月でD以上になる方は稀なので基本的に2か月の期間が終わってもランクはEランクが普通です、そのEランクをリンチにしても一人一人の分け前からいえばあまりおいしくないんですよね」
「なるほどね……ちなみにEランクとDランクって報酬額どのくらい違うの?」
「Eランクは20万でDランクが40万ですので20万の差がありますね」
「20万って……Eランクでも十分高くない?」
普通にブランド物のバックとか買えるんじゃない?
「いえいえ、チームメンバー5人だとしたら一人当たり4万ですし色んな魔法少女を見てきましたが4万円なんて一瞬で消える額ですよ」
「いや……まあ、そうなんだろうけど……」
大金を持つと人の金銭感覚はバグるって聞いたことあるけど4万円が一瞬で消えるってどんだけ金遣い荒いの……
「そういうことですので、チーム内でのリンチはないと思ってもらっていいですよ」
「それならまあいいけど……」
「まあ、チームも多いですから純粋に殺しを娯楽ととらえている異常者も中にはいないでもないですが」
「その言葉でかなり不安になったんだけど!?」
その言葉で話が変わってきたよ!?
「まって!?そういう危険人物ってチームに入れないんじゃないの!?」
「いえいえ確かに危険人物は情報も回りますしチームには入りづらいですが危険は危険でもましな部類というのもいるのですよ」
「殺しを娯楽ととらえている時点でましの範囲から外れている気がするんですが……」
基準がおかしいよ!
「上には上がいるというやつです、一般人に手をかける連続殺人鬼や食人鬼、気まぐれで周りを手にかけるような方などチームに入れたらデメリットしか生まない方々が先ほど言った25%に入っているのですよ」
「つまり殺しを娯楽さんはまだチームにメリットがある人ってこと?」
「そういうことですね」
「……つまりそういう危険人物がいないチームを選ばないといけないってことか……」
私……運とかあまりないんだけどな……
「頑張ってください、そして最後に初心者魔法少女用魔法道具セットです」
そう言ってにゃもんは目の前にステッキ、シューズ……そして拳銃等を置いていく
「魔法道具セット?」
「はい、まず前提として魔法少女になったばかりの方々は武器の生成そして必要な物の補充が上手くできません」
「もしかして……お金や経験が足りないから……かな?」
とりあえずそれっぽい予想を口に出す
「大体合ってますよ、まず武器の生成ですが材料があっても触ったこともないものを生成できるかと言われたら不可能ですよね?」
「なるほど……」
意外と現実的だった……
「ですので魔法少女は最初に生成する武器の元になる武器を輸入する必要があるのですよ」
「まあ、確かに……」
それはそうだ、武器を作るなら作りたい武器に似た武器の見本は必要不可欠だしその見本自体タダでは手に入らないだろう、というより……
「その武器ってにゃもん経由で買えるってことでいいの?」
「その通りです、魔法少女のサポートも私達の義務のひとつですからね」
そう言いにゃもんはまたしてもどっかから一振の剣を取り出した
……だからどっから出してるの?
「普通の初心者魔法少女はこういう剣ひとつ生成すること自体かなり苦労しますからね、大体の魔法少女は殴るのにしか使えない鈍器になりますし」
そしてまた一振の剣……に似たなまくらとも呼べる鉄の塊を私の目の前に置く
「私達はこんななまくらで殴り合う戦いを見たいわけじゃないんです、だからこそしっかりサポートをして1人の魔法少女として送り出すのですよ」
その言葉を最後ににゃもんは口を閉じる
「……えっと、質問いいかな?」
「どうぞ?」
にゃもんがこちらを見つめる
「普通の魔法少女はひとつの武器をしっかり生成できるようになるのにどのくらいかかるの?」
この期間は大事だ、何故ならある意味魔法少女として一番隙のできる期間でもあるからだ
その期間が短ければ短い程本調子で戦える期間が増えるとも言える
「魔法少女にもよりますが大体半月から1ヶ月といったところでしょうか?」
「1ヶ月か……」
長すぎる訳では無いしかし短くもない……いや、そんなもんか……
「まあ、その間は支給した武器もありますし大抵の魔法少女は生き残れますから大丈夫ですよ」
いや、簡単に言ってくれるがこちとら命がかかってるんだよ!?
「はあ……辛……」
「ふむ……しょうがないですね」
そんな私の心情を察したのかにゃもんはまた空中から何かを取りだし私に渡してきた
「え?」
ちらっとそれを見た私はかなり絶句した
にゃもんが手渡してきたものは──金であったからだ
魔法少女インフェルノ 2話 魔法少女事情は意外と現実的を読んで頂きありがとうございました!外伝に力を入れてしまい全く書けなかった本編ですがやっとかけました!疲れた(;´ρ`)
というわけでこれからは頑張ってこちらも書いていきます!ではグッバイ!