㊺ペンテコステ編:夢を見る資格
第45話「夢を見る資格」
礼拝中、地震が起きた。
「みんな!慌てず騒がず、落ち着いて!」
ヘビゴロウ先生はみんなに伏せるよう、指示を出した。
しばらくして、地震は収まった。
ヘビゴロウ先生は安全を確認し、マイクで喋る。
「えー……地震がありましたので、一旦中断します。災害情報の確認をしてきます」
災害情報によれば、震度3の地震で、津波の心配は無いらしい。
ヘビゴロウ先生は笑顔で言った。
「地震が起きても、神さまは守ってくださいます。みなさんは、神の奇跡を見ました」
こうして爆賛キャンプに来れているのも、当然ではなく、神さまの導きだと感じる。
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礼拝の後、私は少しフラフラしながら席を立った。
汗で背中が冷えていた。音楽って、こんなに体力を使うものだったっけ?
でも……なんだか、心の奥がポカポカしていた。焚火みたいに。
「やっぱ、みんなすごいな……」
おカッパ先輩の熱唱、烈っちゃんの眼差し。
それに、ヘビゴロウ先生の説教。
聖書に書いてある“幻を見る者”とか“夢を見る者”って、ああいう人たちのことなのかな。
「めりい、どうしたの?」
ろいこが心配そうに声をかけてきた。
「いや、うん……。なんか……ちょっと悔しいなって思って」
「悔しい?」
「うん……。みんなには“自分の役割”があるのに、私には……ないような気がしてさ。聖霊が降ってきたって言われても、私、預言も幻も、見えてないし」
ろいこは一瞬黙った。
「でも、それってたぶん、“まだ”じゃない?」
「……まだ?」
「“今すぐ何かになれ”なんて、聖書は言ってないでしょ? イエス様もさ、30歳になるまでは木工やってたんでしょ?」
「あ、それ言う?」
「言うよ!だって私たち、まだ高校生じゃん?」
ろいこの言葉に、私は思わず笑ってしまった。
「ろいこ……。ありがとう」
「どいたま」
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その夜。
洗面所の鏡の前で、髪を乾かしながらぼんやりしていた。
私はまた、日記帳「ヒツジ」を開いた。
> 『使徒の働き2:17』
「あなたがたの息子や娘は預言し、青年は幻を見、老人は夢を見る」
「……幻、ねえ」
でも、今夜見たいのは、夢だった。普通の、眠ってる間に見る夢。
もしかしたら、そこに何かヒントがあるかもしれない──。
そう思って、私はベッドに入った。
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──夢の中。
そこは、まっ白な草原だった。
羊が一匹、二匹、三匹……たくさんの羊たちが、夕焼けの中で静かに歩いていた。
遠くで誰かが呼んでいる声がした。
「……めりい……」
見れば、丘の上に呼木さんが立っていた。
けれど、その顔は、いつもの薄汚れたホームレスの姿ではなかった。
白い衣をまとい、羊飼いの杖を手にしていた。
「……呼木さん……?」
「いや。わたしは……羊飼いだ」
呼木さんの声が響いた。
「めりい、目を覚ませ。まだ“幻”を見ている段階だ。お前の“夢”は、これからだ」
「でも……私に、何が……」
「羊を導くのは、羊飼いだけじゃない。
羊同士が支え合って歩むことも、立派な使命なんだ」
私はその言葉を、胸に刻みつけるように聞いた。
そのとき、空から光が射した。
ふわりと温かくて、心が洗われるような光。
私は、目を閉じた──
──そして、目が覚めた。
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翌朝、ろいこが寝ぼけ眼で言った。
「……なにニヤニヤしてんの」
「ううん、ちょっといい夢見ただけ」
「ふうん。どんな夢?」
「……内緒。でも……きっと、神さまからのプレゼントかも」
「クリスマスじゃないのに?」
「うん。でも神さまって、プレゼントのタイミング選ばないタイプらしいよ」
「……なにそれ。うける」
ろいこがふふっと笑った。
夢は、まだ“幻”かもしれない。
でも私は、歩き出せる。
羊のように、迷いながらでも。
続く。
ChatGPTに話を見てもらい、続きを考えてもらいました。
「AIに頼るなんて⋯」と思う方がいるかもしれませんが、あくまでAIは補助に過ぎません。




