④ヨシア登場!
「俺も混ぜてよ」と馴れ馴れしく会話に入ってきたのは
あのイケメンバスケ青年であった。
天使の如く鮮やかなプレーを見せ、下界の人間の話に興味があって降臨されたのであろう。
心做しか後光がうっすら見える。生でアイドルとか見たら、多分こういった後光が差すのであろう。多分。
「ヨシアくんですか?いい名前ですね」と呼木の爺さん。なぜに敬語に。
「んあぁ、母さん(Mom)が付けた名前なんだ。変わってるだろ」
年上でもタメ口で話すイケメン。
自分の母親のことを「Mom」と呼ぶなんて、外国人っぽいな・・・なんてめりいは思っていた。
昔やってた海外コメディドラマの「フルハウス」を思い出す。
「聖書にも“ヨシュア”という人が出てくるんですよね。多分君の名前も彼に由来するものだと思いますよ」
「そうなのか!Momはそんな話してくれなかったな」
「お母さんはクリスチャンなのですか?」
「いいや、違う。
Momはアメリカ人だけれど、聖書を開いているのを見たことがない。そもそも持ってないかもしれない」
「父さんが取り上げたのかな・・・」
「父さんは日本語呼びなんだ」
めりいは思わず声に出して突っ込んでしまった。
「ん?父さんは日本人の神主だからな
というかお前ら、オレと同じ高校じゃんか」
どうやら胸の校章を見て気付いたらしい。こんな偶然もあるものか。
「おおー!すげぇ偶然!
アタシはろいこ!こっちはめりい!よろしくね!」
反応が早い。呼木のじいさんへの態度とは偉い違いだ。
「ろいこにめりいか・・・・
ふーん、すげえ名前してんな」
確かにすごい名前である。めりいに至っては苗字が「雷雲綿」という、日本に他と存在しない苗字なのでツチノコレベルの珍しさである。
ろいこの苗字は「安東」で名前と合わせると「アンドロイド」となる。こんなダジャレネームを考えた親を殴ってやりたい。とろいこは思っている。
というかろいこは生後生まれてすぐに両親にハイハイで近寄りグーパンしたそうだ。いやはや、将来有望なろいこであった。
「さっきの試合すごかったねえ!バスケ部でもめちゃくちゃ強いんでしょう!?」
食い気味のろいこ。イケメンに目がない。
「あ、ああ。ゴリ先輩に負けないように小学生相手と特訓してんだ」
リアルにいるんだゴリ。ス〇ムダンクの話だけかと思っていたが。
「バスケですか。私の頃は野球部が盛んでしたね」
呼木は何故かさっきから敬語で話している。遠慮しているのだろうか。
「ともかく爺さん。おれこの公園によく来るからさ。
また会えたら聖書の話をしてくれよ。
俺は神道の話を教えるからさ」
「私は呼木といいます。聖書のことが知りたいときはどうぞ、遠慮なく頼ってください」
「んじゃなろいこ!めりい!
帰宅部みたいだけど、バスケ部入ってくれよな!まだ間に合うぜ!」
ヨシアは足早にあの小学生チームの元へ戻っていった。彼らは律儀にヨシアの話が終わるのを待ってくれてたみたいだ。いい子たちだ。
ヨシアが去った時、春風が舞った。
これを青春と呼ぶのだろうか。これを恋愛と呼ぶのだろうか。
「青春だよ青春!楽しまなきゃ損じゃん!」
「青い春ってブルーにならない?桜一面青かったらイヤでしょ?」
「暗い!」
続く。
ヨシュアは海を割ったモーセの後継者で、エジプトで奴隷となっていたイスラエルの民を“約束の土地”まで導く役をモーセから受け継ぎ、120歳で天寿をまっとうしました。
なにかと聖書の登場人物は長生きの人が多いです。最初の人類アダムは930年、ノアの方舟のノアのおじいちゃん、メトシェラは969年と長寿番付もオドロキのおじいちゃんが創世記の方でたくさん出てきます。
呼木の由来となったヨブは、おそらく聖書でトップクラスに人生の絶頂とどん底を味わった人です。
神さまからの試練でサタンに打たれ、子供と家畜と資産を失い、更には重い皮膚病にかかるという不幸の連続。
「神様ふざけんな!」と怨みをぶつけること無く、友人との語り合いでやっと自分の間違いを見つけられたヨブは本当に尊敬するべき人です。
そしてヨシュアより長生きし、ヨブよりも苦難に遭った方が聖書にはいます。その方こそイエス様です。
イエス様は神さまと共に天国にいましたが、僕たちの罪のためにあえて下界へ下り、十字架に架かり死なれました。そして3日後によみがえり、今も僕らを天国から見守り、僕らの心の中にいてくださいます。
作中でもしっかりやっていきたい話ですね。聖書の核心なので。
聖書の登場人物それぞれに、学ばされるところ、読者に刺さるものが必ずあると思います。
是非、聖書に触れてみてください。
今後解説していくと思います。それでは。