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㉟ペンテコステ編:ヒツジとヤギ

嫌いだ。

ワタシは他人が嫌いだ。

道行く、すれ違う他人全てが憎くてしょうがない。


だからワタシは、今日も「妄想ゲーム」で通行人を倒してゆく。

頭の中で妄想するだけなら自由だ。クマを街中に召喚して人を食わせるも、怪獣を召喚して街をぶっ壊すのも、妄想なら許される。


通学のストレスを、ワタシはそれで解消していた。

ブツブツうるさいハゲのサラリーマン、

ペチャクチャしゃべる頭悪そうな女子高生、

おばあさんに席を譲ろうともしない生意気な小学生、

ガムを噛む偉そうな不良、

地団駄を鳴らすボケたおじいさん、


すべてが憎かった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


(めりい)はろいことはれるや牧師、ペドロさんと呼木さん、教会のトラクト配布(チラシ配り)でI駅に来ていた。今日は休日なので人は少ないけど、なるべく多くの人に配るぞ!


「今度の日曜日、教会でコンサートやりまーす」


「よろしくお願いしまーす」


「いっしょに歌いませんかー?」


チラシは、なかなか受け取って貰えない。それはそうだ。誰しも、教会に興味があるわけじゃないから。


「お願いしまーす」

「なぁ、かれこれ1時間やってるけど、誰も受け取ってくれないことなんてある?」

「わたしは1枚受け取ってくれる人がいたよ」

「うへ〜。釣りしてた方がマシだよ」

「まあまあ。私たちは①人間をとる漁師なんですから。気長にやりましょ」

「最悪の休日だよ〜」

ろいこはチラシが全然減らないので愚痴を吐いた。

「これが終わったらお昼奢りますよ。寿司とかどうです?」

「マジ!?やったるか!」

ろいこはあっさり上機嫌になった。チョロい。


※①人間をとる漁師⋯マタイ4:18〜19、マルコ1:16〜18。ペテロとアンデレの兄弟は元々漁師でした。2人が釣りをしていると、イエスさまが声を掛けられ「あなたを人間をとる漁師にしてあげよう」と仰られた。

ペテロはイエスさまの弟子の中でもトップになり、弟のアンデレも初代教会(紀元1世紀の教会)の中心メンバーとして活躍しました。神さまの素晴らしさを伝えるために活動している人は、みんな「人をとる漁師」ということです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


チラシを配っていると、私は突然走ってきた子にぶつかった。

ドンッ

「いたっ」

「チッ!どこみて歩いてんだよ!」

「あっすみません」

ぶつかってきたのはそっちでしょ……と言いたくなったが、ここは堪える。


彼女は舌打ちをしてそそくさと駅のホームへ向かっていった。

「なにアイツ。ヤナカンジー」

「まあ、急いでたんだよ」

「やり返せよめりい。私ならグーだぜ」

「クリスチャンがやり返しちゃダメって、礼拝でキャンプでも言ってたじゃんか」

「うへえ、①ガンジーかよお」

「ガンジーでも、助走つけて殴る」

「ペドロさん、変な日本語覚えないで」


①ガンジー⋯インドの独立運動家。インドを支配していた大英帝国(イギリス)に、暴力を使わない「不暴力、不服従」のやり方で抵抗した。ガンジーはヒンドゥー教徒でしたが、聖書やクルアーン(イスラム教の聖書)など、他宗教にも理解を示していました。

イエスさまの「右の頬をぶたれたら、左の頬も差し出しなさい(マタイ5:38〜39)」という教えと通じる、偉大な人ですね。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「ぶっ〇すぶっ〇す……」


ワタシは胸がムカムカした。さっきのぶつかった女の子のことで、気が立っていた。

これから街のゲーセンに行って、スッキリしようと思っていたので、気持ちが先立ってあの子にぶつかってしまった。

正直悪いとは思ってるけど、謝れなかった。


「なんでワタシが謝らなきゃいけないんだ……クソ」


素直になれない心。本当に思っていることは、心の奥底に沈んでいく────。

心は底なし沼みたいだ。大切なモノも、底へ沈んでいって、戻ってこない。

9月、夏が終わりを告げて秋になる季節。私の心は晴れることはない。苦しい。


「いっそ電車に飛び込んで死んじゃおーかな……」

と思ったけど、シューティングゲームでハイスコアを出せてないし、太鼓の達人だってまだ鬼までクリアできてない。レースゲームだって……

ゲーセンでハイスコアを出せてないというのが、私の生きがいになっている。私は駅の黄色の線をじっと見つめる。


「この線を超えたら、あの世行きかぁ……」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


(めりい)は、さっきの女の子がとても気になった。

一瞬だが、あの子がヤギのストラップを付けているのを見つけた。彼女はヤギ好きなのかもしれない。

「おいめりい?どうした?」

「ぼーーーっ」


「はれるや先生、めりいがヤバいっす」

「え?」

「めりい、おいめりい!」

ワッッ!!!!

「ひゃあっ!」

「ボーッと生きてんじゃねえよ!」

「ごめんごめん」


「で、チラシ配りどうよ?」

「さっぱり。やっぱりみんな貰ってくれないね」

「空からヘリで配れればなあ」

「それじゃ舞っちゃうじゃんか。お金も掛かるし」

「手渡しの方が愛、伝わりますよ」

「そうだねペドロさん」

ペドロさんはチラシ配りに慣れているのか、半分ぐらいまで減っていた。

「ペドロさんのルックスのおかげじゃねえの?」

「ろいこさんたら、お世辞はやめとくれよ」

「オカマか!」


私たちのところへ、ひとりの見慣れない青年がやって来た。

「やあ!もしかして、キミ達もクリスチャンかい?」

「はい、そうですけど……」

「アンタだれ?」


「僕はモーセって言います。本名じゃないすけど」

私はこの人に、なにか言い知れない違和感を感じた。


続く。

最近調子を崩してて、毎日更新がムズかしいです。すいません。


でもやれる限り、執筆したいと思います。

神さま、ひとりでも、教会に人を呼べますように。


あなたもぜひ、クリスマスは教会に来てください。教会のクリスマスは、正月まで続いてます!

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