㉗ABCキャンプ編:恋のお話?(後編)
「聖書は一貫してラブストーリーです」
「Love。英語で大好きという動詞ですね」
「主語はなんでしょう?
Iなのか、Youなのか?」
「私は“God loves you”が適当な回答だと思います。神はあなたを愛しています」
「神さまの愛は※①“アガペー”、神の愛です。
神さまの愛には終わりはなく、無料で神さまが一方的にくださり、朽ちることはありません。
人の愛はどうでしょう?人は友情や愛情がなんだと言っておきながら平気で裏切るものが多いのではないでしょうか?
神さまは違います。完全無欠、全知全能の愛の神さまなんですよ」
マタイの福音書22:37〜40
イエスは彼に言われた。『あなたは心を尽くし、いのちを尽くし、知性を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。これが、重要な第一の戒めです。
『あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい』という第二の戒めも、それと同じように重要です。
この二つの戒めに律法と預言者の全体がかかっているのです
※①アガペー⋯ギリシア語でαγάπη。無償の愛、無限の愛、不朽の愛などいろんな意味がある。英語で言う「Endless」の「〜less」みたいなものでしょうか?
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「私の過去話をします。これは※①証しです」
「私は寺の子として生まれました」
プロジェクターに一休さんの画像が浮かび上がる。
「これは昔流行っていたアニメですね。一休さん知ってますか?知らない?あ、そうか」
「まあ私は一休さんみたいに寺に住み、将来はお坊さんになる為に子供の頃から修行をしていました」
「8歳の頃まではその生活になんら疑問を抱きませんでした。しかし大きくなるにつれ、学校で色んな本を読むようになって、仏の教えに疑問を持つようになりました」
「父に疑問をぶつけてみたら『この不信心者め!修行が足らん!』と怒鳴られました。お坊さんはもっと優しくあるべきだと思うんですけどね」
「寺に住み込み学校に通う生活を続け、私は大学生になりました」
「父は『大学など行かず寺を継げ』と言うのですが『仏教の教えをもっと深めたいから大学に行かせてくれ』と説得させました。しかし、それは方便で大学生活でハジけたいから父に嘘をついたんですね」
みんなは大笑いした。
「待ってろキャンパスライフ!と大学生活には欲望満帆で過ごそうと思いました。なにか好きなサークルに入って、都会っ子みたいに過ごしたい!山の上の寺生活はもういやだ!」
「しかし現実はそんな甘くありませんでした。仏顔大学の勉強は難しく、塾に行こうにもそんな経済余裕はありませんでした」
「気持ちが悶々として、私は喫茶店に行きました。そこで、運命的な出逢いをしたのです」
「おおっ!?」
ろいこは本当にいいリアクションをする。話してる方は嬉しくなるだろうな。
「喫茶店に美しい人がいたんですね」
「顔は!?橋本環奈似!?」
「うーん、あなたのご想像にお任せします笑」
「彼女はりべかと言いました。さきほど(26話)話したリベカと、奇しくも同じ名前でした」
「コーヒーいっぱい。ここは落ち着きますね」
「そうでしょう。また来てくださいね」
「私は落ち込む度によくそこへ通うようになりました。喫茶店に行くと不思議と癒される。珈琲が好きになったのも、その喫茶店のお陰ですね」
「もしかして、仏顔大学の学生さん?」
「そうですそうです」
「私は隣にあるD大学のOGなんです!」
「ああ、※②ミッション系の」
「私はその頃、他宗教に関しては懐疑的でした。寺で育ったのが強いのでしょう。仏の教えにも疑問は持っていたけれど、仏の教えの正しさを90%とするなら、他の宗教は1パーセントとしか思ってませんでした」
「しかし彼女と話す内に、キリスト教に興味が湧いてきました」
「仏教の大学に通ってるのにキリスト教に興味を持つ矛盾。私はここから大きく変わってきました」
※①証し⋯礼拝で時々あるプログラム。教会員が自分の人生の振り返りをし、「私はこうして神さまに出会い、教会に導かれました」という話をします。色んな人の話を聞くのですが、ひとりひとりの人生体験は本当に心に響きますね。海外から来た人、創価学会から来た人、クリスチャンホームの生まれと教会には色んな人が来ます。みんな共通しているのは神さまに救いを見出して、自分の意思で教会に集ってるということです。
※②ミッション系⋯キリスト教系の学校。大学だと同志社大学が有名ですね。ちなみに、同志社大学を創った新島襄は大河ドラマ「八重の桜」にもなっています。
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「賢龍、カッコイイ名前ですね!」
「ハハハ、りべかって名前も素敵ですよ」
「女子との付き合いが希薄だった人生だったので、異性との付き合い、距離感が私はよく分かりませんでした」
「高校の頃私は登山部でしてね。ヘビを捕まえてました」
「ヘビを!?怖くないですか?」
「怖い?いえ、可愛いですよ」
「へえ〜〜」
しかし彼女は私を受け入れてくれました。私は彼女と個人的に会うぐらいまで親密な関係になりました。
ある日のこと、私は彼女の通う教会学校に導かれました。
「これが教会学校!へえ〜ザ・教会堂って感じだ」
「驚くのはまだ早いですよ?」
礼拝堂は静かな場所でした。しかし、賛美の時間になるとみんな大きな声で歌うのです。
「みんな凄いなあ。俺なんて般若心経しか覚えれないよ」
「ふふっ。みんないつも歌ってますからね」
「教会って歌うとこだったんだなあ」
「いえ、この後の説教を聞いてみてください」
「え?説教」
私はこの時牧師先生に怒られるのかと思って身構えましたね。説教と言えば父からのカミナリが私のイメージでしたから。「コラー!木魚をちゃんと心を込めて叩かんか!バンドのように叩くんじゃない!」と。
チャペルに再び笑い声が起こった。
「牧師先生は説教の初めにこう言いました。
『ようこそ初めて来られた方。歓迎します!これもキリストの導きですね!』
え?教会に入るなんて言ってないぞ?と私は混乱しました」
「その時牧師先生が話してくださったのが『イエスさまとニコデモ(ヨハネ3:1〜21)』の話でした」
『ヨハネの福音書3:1〜4
さて、パリサイ人の一人で、ニコデモという名の人がいた。ユダヤ人の議員であった。
この人が、夜、イエスのもとに来て言った。「先生。私たちは、あなたが神のもとから来られた教師であることを知っています。神がともにおられなければ、あなたがなさっているこのようなしるしは、だれも行うことができません」
イエスは答えられた。「まことに、まことに、あなたに言います。人は、新しく生まれなければ、神の国を見ることはできません」
ニコデモはイエスに言った。「人は、老いていながら、どうやって生まれることができますか。もう一度、母の胎に入って生まれることなどできるでしょうか』
パリサイ人は日本で言えば国会議員的な人。例えば小池都知事がイエスさまの元へ教えを乞いに来たようなもの。
パリサイ人はユダヤ教の律法(法律)に詳しく、人々に律法を教える立場にありましたが、権力を傘に偉く振る舞っていたので人々から嫌われていました。ニコデモはその中でもイレギュラーな人で、イエスさまを救い主と信じていました。
「どうしたら神の国に入ることが出来ますか?もう一度生まれ変わらないとダメでしょうか?」
イエスさまはこう言われました。
『ヨハネの福音書3:10〜11
イエスは答えられた。「あなたはイスラエルの教師なのに、そのことが分からないのですか。
まことに、まことに、あなたに言います。わたしたちは知っていることを話し、見たことを証ししているのに、あなたがたはわたしたちの証しを受け入れません』
『ヨハネの福音書 3:16〜21
神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。
神が御子を世に遣わされたのは、世をさばくためではなく、御子によって世が救われるためである。
御子を信じる者はさばかれない。信じない者はすでにさばかれている。神のひとり子の名を信じなかったからである。
そのさばきとは、光が世に来ているのに、自分の行いが悪いために、人々が光よりも闇を愛したことである。
悪を行う者はみな、光を憎み、その行いが明るみに出されることを恐れて、光の方に来ない。
しかし、真理を行う者は、その行いが神にあってなされたことが明らかになるように、光の方に来る』
私は目からウロコが落ちるような、解放された心持ちになりました。そうだ、これが私の求めていたものだ!
キリスト教徒が信じるイエス・キリストは人の罪のために死んだと学校で学んだが、他人のために全てを投げ打って人を救けるなんて、それが人間にできるだろうか!?
いや出来ない。人間の自己犠牲で救える命は僅かだ。しかし、イエス・キリストというお方は全人類を救うという!なんという神だろうか!
坐禅をいくらしても私は悟りを得られなかった。それはそうだ。自分の中に答えなど無かったのだから!
キリスト教の中に答えがあったのだ!
私は日曜日、教会に通うようになりました。心が入れ替えられたような、満ち満ちた気持ちで教会に向かうことができました。
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しかし、教会に通っていることが父にバレ、父に殴られました。
「なんという不信心者だ!大学で何を学んできたのだ!なけなしの金をお前に投資したんだぞ!」
父の怒りはもっともでした。しかし……
「親父も教会に来てみろよ!イエス・キリストはすごい神さまなんだぜ!」
「キリスト教なんか知らん!坐禅を組んで反省しろ!」
私は冷えた廊下で坐禅を組まされました。そして、父は何度も私を警策(きょうさく。坐禅している時に叩くあの棒)で叩いた。父の顔は、怒りと悲しみでグシャグシャになっていた。
「くそ!なんで分かってくれないんだ!」
私はその夜、家出しました。話を聞かない父に、時代遅れな寺に怒りが満ちました。もうこんな寺戻ってやるもんか。私は教会に身を寄せました。
教会で住み込みで働くようになった私。大学は辞めようと思いましたが、牧師先生から「将来役に立つから」と退学ではなく編入を勧められました。ならば道はひとつ。私は新しくD大学へ通うことにしました。
D大学で過ごし、私は晴れて卒業することが出来ました。
「おめでとう賢龍くん。晴れて卒業ですね」
「おめでとうヘビゴロウくん!」
「ハハハどうも。今度は副牧師として経験を積まなきゃいけませんね」
「その前に。言いづらかったのですが……」
「なんでしょう牧師?」
「お父さんと和解しましょう?」
「は?」
私には受け入れ難い提案でした。教会で過ごしている時から牧師先生が何度も「親と和解しませんか?」と言われていましたが、やんわりと躱してきました。
私は歯ぎしりするほど苦しみました。吐き気で頭が痛い。反目した父と和解しろなど、牧師も酷なことを言う。そんなことが出来るわけ……私はとりあえず、神さまにひとり、個室で祈ることにしました。
「神さま。私は親父が嫌いです。しかし、イエスさまは自分を殺した人間ですら赦されました。どうかお導きください。あなたの鞭、あなたの杖が私の慰めです。どうか父との和解へ導いてください(詩篇23:4)」
果たして、牧師先生とりべかさんも同行してなんとか和解することができました。最初は3人で水ぶっかけられたり、長い説教があったりと辛かったですが、なんとか父は私を許してくれました」
「ついでにりべかさんとの結婚も許してくれました」
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ヘビゴロウ先生の話を聞いた時、私は涙が出てきた。
牧師先生の話に感動したんだ。溢れ出る涙にしばらく気づかなかった。
「めりい泣いてんじゃん」と揶揄かってきたろいこも、目に涙を浮かべていた。
「皆さんも、人生で避けたい壁ができるでしょう。そんな時、神さまに祈ってください」
『神さま、助け導いてください!』と。
聖書のラブストーリーは、現実だったんだ。私はそう確信した。
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P&G(Pray&Gospel)の後に、ヘビゴロウ先生はキャンプ場の外にみんなを連れ出した。
「ナイトウォークに行きましょう!」
夏の夜はなんか不気味だ。竹やぶから何か出てきそうで怖い。
「つついたらヘビが出てくるかもよ」
「やめてよ怖い」
「恐れることはありません。魂を殺せない者など恐れるな(マタイ10:28)とイエスさまが言われたではないですか」
「いや、私聖書そこまで読んでないし……」
しばらく歩くと、開けた野原に着いた。
「空を見てください!」
見上げると、満点の星空がそこにあった!
『「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみるがよい」「あなたの子孫はこのようになる」
—創世記15:5、新共同訳※①』
かつてアブラハムは子供が出来ないことに苛立ち、神さまへ相談した。すると神さまは「あなたの子孫は星の数のようになる」と言われた。事実、アブラハムからイスラエル民族は枝分かれして増えていった。
「あれがデネブ、アルタイル、ベガ 君は指さす夏の大三角 覚えて空を見る」
グランドワーカーのヨッシーさんが急に歌い出した。
「わあっ!君の知らない物語だ!」
「詳しいねらんりちゃん。ザッツライト!」
「偽物語全話見ました」
どうやらアニメの話みたいだ。多分。
※①新共同訳聖書⋯聖書の日本語翻訳のひとつ。僕は主に新改訳聖書から引用していますが、今回はウィキペディアから引用してきました。他にも口語訳とかありますが、訳はどれも主旨からズレているということはありません。聖書に間違いなど、ないのですから。
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ナイトウォークの後はみんなでお風呂に入った。時間が決まっているので、なる早で済ませなければいけない。
「とは言っても、時間いっぱいまで入るよねえ?」
「疲れたしね。いっぱい入ろう」
「きゃあっ!ゴキブリ!」
らんりちゃんが悲鳴を上げた。山の麓にあるキャンプ場なので、こういう事は珍しくない。黒光りしたうごめくものが、カサカサと迫ってきた!
「うぎゃあああああああ」
ろいこはパニックになっている。私もろいこにしがみついて逃げようとした。が、
ヒーローちゃんがひょいとゴキブリを手づかみすると、窓から離してしまった。
「森へお帰り」
「キャンプの教えで『生き物を殺さないようにしよう!』って言われてるからね。この世の全ては神さまの被造物なんだから、大切にしなくちゃ!」
ギャル先輩が「ナ〇シカみたいだ……」と、開いた口が塞がらないような顔をしていた。
ヒーローちゃんは、お風呂場のヒーローになった。
続く・・・?
賛美歌を書きながら執筆してますが、ノリノリで書けますね。音楽聴きながら作業すると、まるで効率が違います。ストレス軽減にもなるのでオススメです。
心に染みるので賛美歌聴きながら見てみてください!
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