⑱教会編:天国ってホントにあるの?
すいません。今回長くなりマス汗
テストはスラスラと行けた。
苦手な数学と英語も「あっ!ここ教えてもらったところだ!」といつもより進めた。いつもなら中間で詰まってしまい後半が解けなくなるんだけど。
「めりい!おつ〜」
「うん、おつおつ」
ろいことテスト後にハイタッチをした。
「高校最初のテストだから結局中学までのおさらいみたいな感じだったな〜」
「お祈りしてもらったお陰で今回は手応え感じたよ」
「そりゃ良かった」
あとは赤点でないことを祈るばかりだ。
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「まだあの子達と付き合ってるのか……朱と交われば赤くなるんだぞ?」
「いいだろ、友達の付き合いまで縛るなよ!」
「親に逆らうのか!」
ヨシアはお父さんと口論になった。
「やめてよ2人とも。今夜はすき焼きよ」
「・・・・」
ヨシアのお母さんが仲裁してくれたお陰でその場は事なきを得た。
しかしお父さんは口を聞いてくれなくなったらしい。
「でも友達と付き合って何が悪いんだって話だよな」
「ヨシアにクリスチャンになって欲しくないんじゃない?」
「それは分かるよ。けど子供の交友関係まで親が口出すことじゃねーだろって」
「親父とは休戦状態だ」
「早く和睦できればいいね」
信じる神が違うということでこんなギクシャクが生まれるのはいたたまれない。
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1週間後、テストの結果が出た。
五教科合わせて151点!
私はなんとか赤点の150点をギリギリで回避できた!
「やったあ・・・!」
ろいこも赤点を回避していた。155点で。
赤点を出して浮かれていた私たちは、点数上位者のランキング表を見に行った。
1位 扶桑 ヨシア 249点
2位 賀里 勉太 246点
2位 本澤 敬介 246点
「すご、ヨシアくんトップだ・・・・!」
「くっ、次は負けませんぞ!」「なんで負けたか、明日まで考えときます」とガリ勉っぽいメガネの人と金髪のサッカー青年がメガネを引き締め去っていった。
人だかりの中でヨシアを見つけた。
「ヨシア、勉強もすごいんだね!」
「成績良くねーとNBAスターにはなれねーからな。英語もMomに教えて貰ってバッチシだ!」
こういう時ハーフの人は羨ましい。親から外国語を教えて貰えるなんて。
「あれから、お父さんと仲直りできた?」
「全然。めりいと違って1週間で機嫌直んねーもんなんだな。親父ダンマリだよ」
ヨシアは夏休みにインターハイを控えている。
本当はヨシアもABCキャンプに誘いたかったけど、残念だ。
早く仲直りするといいな。
私とろいこは親にABCキャンプの許可を貰わなきゃな・・・私は大丈夫かもしれないけどろいこは心配だな。
神さま、どうか2人でキャンプに行けますように。
ヨシアも、お父さんと仲直りできますように。
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「お母さん、夏休みにキャンプへ行くんだけど……」
「へえ?ろいこちゃんと?」
「うん、ABCキャンプってところ」
私ははれるや牧師から貰ったABCキャンプの応募用紙を見せた。
「なに?キリスト教のキャンプなの?」
お母さんの顔つきが変わった。
「変なキャンプじゃないでしょうね?」
「そんなことないよ!」
私ははれるや牧師に見せてもらったABCキャンプの動画を見せた。
「へえ、なんだか楽しそうね」
「まあいいわ。あの世のお父さんも許してくれるでしょう。お父さん、めりいには甘々だったから」
「お母さんありがとう!」
お母さんの許可とキャンプの費用を貰うことができた。良かった。
それにしても、無宗教なのに“あの世”の存在は信じてるなんて、奇天烈なものだと思う。キリスト教だと、天国についてはこう言っているらしい。
『マルコの福音書 4:31~32
それはからし種のようなものです。地に蒔かれるときは、地の上のどんな種よりも小さいのですが、
蒔かれると、生長してどんな野菜よりも大きくなり、大きな枝を張って、その陰に空の鳥が巣を作れるほどになります』
はれるや牧師がいつぞや「天国には宝石がいっぱい付いてるんですよ(ヨハネの黙示録21:19~21)」と言っていた。
でも天国は本当にあるんだろうか?私のお父さんは私が4才の頃に病気で亡くなっている。うっすら覚えているのはよく私の頭を撫でて褒めてくれたことぐらいだ。
お父さんに天国で会えるのなら、聖書のことを教えてあげたいなあ。色んな話をしたいなあ。それは何十年も先の話になるだろうけど。
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後日、ろいこもキャンプへ行く許可が両親から取れたらしい!よかった!
「いやあ、大変だったよ?」
「うちは浄土真宗なんだぞ!キリスト教のなんか行かせられるか!」
「お願い!一生の思い出になるから行かせて!」
「ダメだダメだ!」
「お願いお父様お母様!このチャンスを逃したら一生後悔する気がする!」
「進研ゼミみてえな話ね」
「キャンプ終わったらバイト探すから!」
ろいこがしつこく粘るのを見て、ようやくろいこの両親は根負けしたらしい。
「ワガママ言ってバスケの道具買わせたし、これ以上のワガママ通すとなったらお金稼がなきゃっしょ?」
ろいこはやっぱり偉いなあ・・・
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「そうですか!良かった良かった!
ああ主よ、ハレルヤ感謝します」
私とろいこははれるや牧師と呼木さんにキャンプに行ける旨を伝えに行った。
「キャンプは本当に楽しいからね。私も昔講師として参加した事があるけど、みんな楽しそうだったよ」
「へえ〜。今回の講師は呼木さんじゃないの?」
「ははは。私はもう年が年だからね。今回の講師はなかなかくせ者だけど面白い話をする人だよ」
「知ってる人なんですか?」
「旧知の仲さ。共に日本でクリスチャンを増やそうと誓い合った仲でね。まあ彼にあったらよろしく伝えといてね」
呼木さんは上機嫌だ。教会での生活が呼木さんを変えたのだろう。
「あの、わたし疑問ができたんですけど」
「どうしましためりいさん」
「天国って本当にあるんですか?」
「また哲学的な話だな」
「ははは。私たちはまだ死んでないから天国なんて到底信じられないよね」
「そうなんです。私の亡くなったお父さんにまた会えなかったらと思うと、不安で……」
「聖書には『見ないで信じるものになりなさい(ヨハネの福音書20:29)』とイエスさまが言われているね。イエスさまの言葉を信じて、天国が実在することを生きてる内に心から信じることが肝心だ」
「でも見てないもんを信じろって言われても……」
「この愛川教会を作った牧師は生きてるうちに1回天国へ行ってるんですよ。
名前をパウロ義綏といってね、当時を知る長老の又聞きなんですけどね……」
「Vou pegarrrrrr(ポベガー※1)!!!!!」
元気よくやってきたのはペドロさんだった。神出鬼没である。
「おやペドロさん。どうしました?」
「その人の話、ぜひ聞きたいです!!
私は※2ペドロ(ペテロ)で、初代牧師先生が※3パウロなのは縁を感じます!!」
「そうですね。ではお話しましょう」
「教会の長老、浅ェ野夫妻がまだ学生だった頃、ちょうどめりいさんやろいこさんと同じぐらいですね」
私たちが初めて教会に来たとき、初めて声を掛けてくれたおばあちゃんとおじいちゃんだ。
「パウロ先生は米兵と日本人女性のハーフだそうです。ヤクザとして散々悪さを働いていたようで」
「やべえじゃん。そんな人が牧師なんてできるの?」
「ヤクザから牧師になった先生は多くいらっしゃいますよ。イエス・キリストの凄いところは悪人すらも用いられるところですよ」
「で、パウロ先生はある時抗争で銃撃を受け、一時意識不明の状態になります。
彼は夢を見ました。
目が覚めると大聖堂のような不思議な空間にいたパウロ先生。
『何処だここは!?誰かいねえのか!?』
『ここにいる』
パウロ先生の横には髭をたくわえた男が座っていた。
『誰だテメエは!ここはどこだ!』
『なぜそう怒るのか。静まりなさい』
敵のヤクザに捕まって連行されたと思ったパウロ先生はひどく興奮したそうです。ですが、その男の人の一声で不思議と落ち着いてしまいました。
『私はイエスだ』
『イエス!?聞いた事あるぞ!親父がよく言っていた人間の名前だ!その親父も朝鮮戦争に行ってくたばったけどな!』
『パウロ。あなたは生きたいか?それとも、父に会いたいか?』
『あ?生きるに決まってんだろ!脅してんのか!』
『ならば足を洗い、一切の身を清めよ』
パウロ先生は組織が運営している闇医者の診療所で目を覚ましました。
『若頭!ご無事で!』
『・・・解散だ』
『へ?』
『俺は組を抜ける。お前らも抜けろ』
パウロ先生は組を抜けるのに非常に苦労したそうです。ですが夢の中でイエスさまに『足を洗い、一切の身を清めよ』と言われた言葉に従い、なんとか組を抜けました」
「そうしてパウロ先生はこの愛川教会を立ち上げたんです。他にもここら辺りの地域にある教会はすべてパウロ先生が建てたものなんですよ」
映画のような、すさまじい話を聞いた。臨死体験なんてホントにあるんだなあと驚くばかりだ。アメイジング・グレイス。
※1ポベガー⋯ポルトガル語で「俺は極めるぞ!」。クレベルコイケ選手の決め台詞。
※2ペテロ⋯イエスさま12弟子の1人。弟子の中で中心的存在で、いつも他の弟子より先んじようとした。イエスさまが処刑される時にイエスさまとの関係を疑われ、「イエスなど知らない」と3度言い、イエスさまが「あなたは3度私のことを知らないと言うだろう」と予言された通りになった。
イエスさまが天に昇られた後は初代教会のリーダー的存在として伝道活動を世界中で展開し、福音を宣べ伝えた。カトリック教会では初代教皇とされる。
※3パウロ⋯元々はイエスさまの弟子を迫害する立場の人だったが、イエスさまの幻を見てから失明し、イエスさまの弟子でアナニヤという人がキリストより遣わされ、彼によって目からウロコを落としてもらったことでイエスさまを信じるようになる。
ローマの市民権を持っていて高等なユダヤ教教育を受けているなどハイスペックな人だった。
ペテロもパウロも同じく伝道活動を各地でしていたが、ローマ皇帝ネロによって処刑されてしまう。けれども、ペテロとパウロの活動は初代教会の礎となり、現在も世界中でクリスチャンを増やしている。
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「あの、ヨシアの事なんですけど・・・」
私ははれるや牧師と呼木さんにヨシアの家庭問題について相談に乗ってもらった。
「そうか・・・悪いことをしてしまったね」
呼木さんは険しい顔になった。やってしまった。呼木さんは元気になったばかりなのに水を差すような真似をしてしまった。
「あ、でもヨシアは元気ですよ!この前もテストは学年トップでしたし・・・」
呼木さんはまだ顔が険しいままだ。
「めりいさん、ろいこさん。キャンプを楽しんできてくださいね」
はれるや牧師は話題を変えた。
「えっ!?2人もキャンプ行くんですか!?」
「も?」
「僕もキャンプ行くんですよ!グラウンドワーカー(裏方)として参加します!」
ペドロさんも加わり、賑やかなキャンプになりそうだ。
「2人とも、楽しんできてね」
呼木さんはにっこり笑った。何かを隠すように。
続く。
今回出てきたペドロ先生には色々モデルがいます。キャラ設定についてはまた後日出します。
臨死体験についてなんですが、これは世界中で体験した人がたくさんいます。
アメリカのある子供は「病院で体がフワッと浮いて、天井の隅へ体が引き寄せられたんだ。イエスさまに会ったよ。『まだ生きていたいかい?』って聞かれたからうなずいたら、また病院に戻ってこれたんだ」という話を両親に話したそうです。
不思議な話ですが、僕たちクリスチャンはイエス・キリストの故にそれを信じることができます。




