⑰教会編:神さまとの個チャ
あれから1ヶ月経った。
教会に通うようになった私とろいこ。決心がついたら正式に会員になる手続きをしてもいいとはれるや牧師から言われたが、今はまだしない。
ヨシアはインターハイに向けて。1年生でレギュラー入りするなんてよっぽど認められてるんだな。すごい。
ろいこはまたジェラシーを燃やしてた。
空き時間にはヨシアと公園で特訓していた小学生チームとバスケの練習に打ち込んで、テクニックを磨いていった。
でもこの1ヶ月で一番大きな変化があったのは呼木さんだ。
呼木さんははれるや牧師の家、教会の三階で泊まることになった。服も新調して貰ったという。
驚いた私が「その服どうしたんですか!?」と聞いたら
「ああこれ、はれるや先生に頂いたんだ」
服を替えたからか少し憑き物が取れたような顔つきをしていた。髪も整えられていた。
相変わらず過去のことは聞けないけど、いま呼木さんが幸せそうならそれでいいと思った。
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「今日は※1ダビデの話をするよ!ダビデはゴリアテと───」
「今日は※2イザヤの話をしましょう。イザヤは───」
子どもメッセージも説教もマジメにノートに内容をメモしていった。しかし、乳香の香りでリラックスしてしまったのか途中で寝落ちしてしまった。
「もしもし、めりい〜?」
「めりいちゃん、起きて」
「ふが?」
ろいことヨセフさんに起こされて起床。
起きると礼拝はもう終わる頃だった。礼拝最後には頌栄というのを歌って〆るのだけど、頌栄も終わってしまった。
やってしまった。
「ご、ごめんなさい。最近テスト勉強もやってて……」
「まあまあ、学生はしょうがないよ」
「めりい、後でヨセフさん達に勉強見てもらうんでしょ?」
「う、うん」
「どこまで手伝えるか分からないけど見てあげるよ」
※1ダビデ⋯古代イスラエル2代目王。ミケランジェロの像が有名ですね。ペリシテのゴリアテを倒したエピソードがよく知られてますが、ダビデは一分も疑うことなく神さまを信じていたのでよく戦いに勝つことができました。ダビデのような純粋な信仰心を持ちたいものですね。
※2イザヤ⋯エレミヤ・エゼキエルと並ぶ三大預言者のひとり(神さまの言葉を聞いて人々に伝える人)。
バビロン捕囚という、バビロニア帝国がイスラエルの民をまるごと誘拐するという一大事件を事前に神さまから聞いており、「あなたがたが好き勝手にするから神さまはこうして裁かれるんだ!しかし捕囚されて70年後に解放されるだろう!罪を悔い改めなさい!」と人々に罪の悔い改めを、必死に、繰り返し求めました。
新約聖書で一番引用されているのがこのイザヤの記した「イザヤ書」です。
詳しくは「聖書プロジェクト イザヤ書」で検索してください!
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午後の青年デボーションの後、テスト勉強をすることになっためりい。赤点を回避しなければ夏休みは補習でムダになってしまう!
「あっそこ違う。一画多い」
「証明にはコツがあるんだよ」
「lとRを間違えると意味が全然違うものになりますね」
三人寄れば文殊の知恵。とはよく言ったものだ(いるのは私、ろいこ、ヨセフさん、ペドロさん、エリちゃんで5人だけど)。みんなの得意なジャンルを掛け合わせれば問題は解けていく。あとは覚えたことを反復して忘れないようにするだけだ。
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テスト前日、ヨシアに廊下で会った。
ギラギラしている。インターハイへ向けて気持ちが高まっているのが目に見えて分かる。
「よおめりい」
「あっヨシア。わたし教会通ってから結構聖書について詳しくなったよ!」
「そうか。また聖書のこと色々教えろよな」
「うん」
「じゃっ」
去り際にヨシアの目が、少し憂鬱な雰囲気を出していた。なにかあったのか、気のせいだといいけど・・・
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「そう、ヨシアくん。インターハイに向けて頑張ってるんだね」
呼木さんとは、私とろいこが教会に行って話すようになった。教会の2階に休憩スペースがあるのでそこを利用している。
「そうそう、2人とも、夏休みの予定は空いてるかい?」
「毎年春と夏には『中高生ABCキャンプ』っていうのが開催されるんだよ」
「ABCキャンプ?」
「キャンプかあ、いいなあ!」
「愛川バイブルキャンプ場のキャンプで〈ABCキャンプ〉。いろんな教会から中高生が集まって3泊4日キャンプをして聖書の勉強をするんだよ」
「へえ〜」
「一生の思い出になると思うからぜひ行ってみて欲しいな」
後ろからはれるや牧師がやってきた。
「うおっ!ビクッた!」
「や、ごめんごめん。驚かせるつもりは」
「夏休みの予定に加えといて欲しいな」
「あっ、でもご両親の許可も取ってね。お金もいくらか掛かるからご両親に頼んでみてね」
「う〜ん、でもABCキャンプってどういう場所なん?」
「YouTubeに動画が上がってるよ」
はれるや牧師はタブレットを取り出した。ムービーではキャンプ場でキャンプファイヤーをしたり、豪華な食事を頬張ったり、私たちと同じぐらいの中高生たちがワイワイ楽しむ様子が映し出されていた。
「へえ、いいなあ」
私はキャンプにとても興味が惹かれていた。ゆるキャンを見てからああいうキャンプに憧れがあったが、こうして夏を過ごすのもいいかもしれない。
「でもうちの親仏教なんだよなあ。掛け合ってみるかな」
ろいこの親は熱心な仏教徒だと聞いている。宗派は浄土真宗と言っただろうか?ろいこはリベラルな人間なので、今までは何も信じてこなかった。
でも最近はろいこにも変化が起きている。あれから私とお揃いの聖書を買って、聖書に興味が向いてきたろいこ。ろいこは私より頭が良いので、聖書の知識はすぐ追い越されるかも・・・・うう〜負けたくない!
「でもまずは明日のテストだ!赤点取らないようにしないと!」「キャンプ行けないもんな!」
「では2人がキャンプに行けるように神さまに一緒にお祈りしましょう」
「えっと、お祈りってどうやるんだっけ?」
「ろいこ、手を合わせて」
「こう?」
「で、手を組むの。目は閉じて」
「お祈りの作法についてイエス様は『マタイの福音書6章』に書いてありますね。手を組み、心静かに、奥まった場所で、と。神さまは私たちとの個人的な対話を望んでいるんですよ。
もちろん複数人で祈ることも大切ですが、後でしっかり1人で祈ってみてください」
「神さまとの個チャ(個人チャット)かあ」
私たちはそれぞれ
「神さま、どうかABCキャンプに行けますように──」
お祈りの途中、ちょっと目を開いてみるとろいこは神社で祈るような感じで前のめりになっていた。
対して呼木さんとはれるや牧師は像のように静寂としていた。礼拝に何度か通って、祈る機会とかあるけど、今日の祈りはなんだか新鮮な気分だ。
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テスト当日。
呼木さんとはれるや牧師に祈ってもらったし、きっと大丈夫だ!
「アタシも祈ったけどね」とろいこが後ろからヌッと現れる。
「うわあっ!」
私はよろめいて危うくホームから落ちそうになる。
「そんなに驚いた?笑笑」
「いきなり声掛けてくんなし!」
「緊張してんねえ、めりい」
「そりゃそうでしょ」
「神さまがついてるから大丈夫!って気持ちでいけばいいんじゃね?」
そうだ、私には神さまがついている。
「うん、行こうか」
高校受験をした日を思い出す。あの時はもうギリギリだったと思う。数学は壊滅的で、他の教科もあまり上手くできた感じがしなかった。私のメンタルはもうボロボロだった。
けど今は違う。神さまがいるって思うだけで、心は陽が射している。
私とろいこは意気揚々とテストに臨んだ。
続く。
学生時代のことを思い出しながら書いてます。今の学生さん達と色々状況は違いますが、共通するのは誰の心にも聖書の神さまが語りかけてくださっているということです。
あとはそれに気付くかどうかです。




