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⑯教会編:ヨブという人

子供メッセージが終わり、次は説教の時間だ。

ヨセフさんが※1週報を見せてくれるお陰で、次になにがあるのか分かる。


「それでは、今日はヨブの話をしたいと思います」

はれるや先生が教壇に立った。

「と、その前に、新しく教会に来られた方を歓迎したいと思います」

「呼木牧師、雷雲綿めりいさん、安東ろいこさん、どうぞお立ちください」


え?牧師・・・・?


「よして下さい。元牧師ですよ」

呼木さんはやや照れくさそうに帽子を擦る。

「えええええ〜〜〜っ!!??」

(めりい)もろいこも驚いた。

「なんだ、知らなかったのかい?」

はれるや先生は目を丸くしている。教会員の人たちも私たちがあまりに驚くので注目している。

「ごめんね、あまり昔の話はしたくなかったんだ」

呼木さんはペコリと謝る。

「いや、そんな」

「皆さん、新しく来られた3人に拍手を!」


パチパチパチパチパチパチ パチパチパチパチパチ


拍手に押されて言葉が詰まる。


※1週報⋯礼拝や教会1週間のスケジュール、祈りの課題などが書かれた用紙。教会によってデザインが違います。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「では気を取り直して、ヨブの話をしましょう」

「ヨブ記の1章1節を開きましょう」

私は自分の持っているピンクの聖書を取り出した。

「ろいこにも見せたげる」

「おっサンキュ」

「あっ、でもヨブってどこだろ……」

「ここだよ」

ヨセフさんはパッとヨブ記の初めのページを開いた。

「すごい!」

「聖書には順番があるんだよ。後で教えたげる」


『ヨブ記 1:1~3

ウツの地に、その名をヨブという人がいた。この人は誠実で直ぐな心を持ち、神を恐れて悪から遠ざかっていた。

彼に七人の息子と三人の娘が生まれた。

彼は羊七千匹、らくだ三千頭、牛五百くびき、雌ろば五百頭、それに非常に多くのしもべを所有していた。この人は東の人々の中で一番の有力者であった』


『ヨブ記 1:6・9~12

 ある日、神の子らがやって来て、主の前に立った。サタンもやって来て、彼らの中にいた。

サタンは主に答えた。「ヨブは理由もなく神を恐れているのでしょうか。

あなたが、彼の周り、彼の家の周り、そしてすべての財産の周りに、垣を巡らされたのではありませんか。あなたが彼の手のわざを祝福されたので、彼の家畜は地に増え広がっているのです。

しかし、手を伸ばして、彼のすべての財産を打ってみてください。彼はきっと、面と向かってあなたを呪うに違いありません」

主はサタンに言われた。「では、彼の財産をすべておまえの手に任せる。ただし、彼自身には手を伸ばしてはならない」そこで、サタンは主の前から出て行った』


「初めての方のためにヨブの話を要約します。

はじめヨブという、神さまに忠実な人がいました。彼は家畜も土地もたくさん持っていた有力者でした。


あるとき、サタン(悪魔の王)が神さまのところにやってきて言いました。

『彼はあなたに忠実ですが、実際どうでしょう?彼が財産を手放せばあなたを呪うでしょう』

神さまはサタンに『ヨブの財産はお前に任せる。だがヨブ自身には手を出すな』と命じました。

サタンはすぐさまヨブのところへ飛んでいきました。


ヨブの持っていた家畜はすべて敵に奪われ、子供も殺されてしまいました。

しかしヨブの信仰心は揺るぎませんでした。


今度はヨブの骨と皮を打つ権利を神さまから貰ったサタン。ただし神さまは「ヨブ自身の命は奪うな」と命じています。


※1重い皮膚病に罹り、この世で考えられる限りの苦しみのどん底へ落ちるヨブ。

ヨブの奥さんは『神さまを信じていたからそんな事になったのよ。神さまを信じるのを止めなさい。神さまを呪って死んだ方がマシよ!』と言われる。

ヨブは『お前はそんな愚かな事を言うのか。私は神さまから幸せも受けているのだから、不幸も受けねばならないのではないか』

と。ヨブはこのような状況になっても神さまを呪う言葉を口にすることは決してなかった」

話を聞いている呼木さんの顔は重そうだ。

まさか呼木さんはヨブのような、凄惨な目に遭ってきたのではないだろうか。


「ヨブの友人であるテマン人エリファズ、シュア人ビルダド、ナアマ人ツォファルの3人がヨブを尋ねてきた。

3人はヨブの変わり果てた姿を見て7日7晩ヨブと共に悲しんだ」

私は勝手にその3人に私、ろいこ、ヨシアを当てはめた。私たちが呼木さんの友人になったら、どうだろうか・・・?

呼木さんもヨブのように重い病に罹っているのかもしれない。

なにか助けになれたら……。私は心の中でそう思っていた。


※1重い皮膚病⋯ツァラァト(ハンセン病)という説がある。当時の社会では皮膚病に罹るのは=社会的な死に等しかった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「ヨブがどうして苦しみに落ちたのか?友人たちはヨブと」

「ヨブ記では殆ど友人たちと、神さまとの長い議論ですね。長い議論の末、やっとヨブは自分の間違いに気付けました」

間違い?ヨブが何をしたと言うんだろう。私がヨブと同じ目に遭ったら神さまをきっと呪うだろう。

ヨブはとっても我慢強く、強い信仰心を持った人だ。

「あなたは自分を正しいと思っているが、あなたに星が動かせるか?天地が動かせるか?」

神様はヨブをたしなめた。

『ヨブ記 42:2

あなたには、すべてのことができること、

  どのような計画も不可能ではないことを、

  私は知りました』

神さまの前に忠実であったが故に、自分が正しいと思っていたのがヨブの間違いだったのです。しかし、ヨブは不幸の淵で自分の間違いに気付き、悔い改めることができました」


「エゼキエル14章14節では、※1ノアと※2ダニエルと並んで神さまに(ただ)しい人と認められています」

「ヨブのような心を『忍耐』と呼びます。

忍者も忍び、耐えることを自分に課しますね。敵のスパイとして誰にも見つからず秘密を盗んでくるのは困難を極める任務(ミッション)です。

私たちクリスチャンは忍者のように苦しみに耐える力を神さまが下さるのです。私たちは無力な存在です。今日も神さまに祈り、頼っていきましょう!」


※1ノア⋯ノアの方舟で有名。神さまが地上を大洪水で滅ぼすとき、600歳だったノアは神さまに命じられて方舟を作り動物と自分の家族を乗せて洪水を生き延びる。ノアは950歳で亡くなったというから驚き!

ちなみに方舟のサイズはタイタニックの約2/1!今の技術でも作るのにめちゃくちゃ時間が掛かるんですから、当時これを文句ひとつ言わず完成させたノアは信仰の人ですね。実際に方舟を再現した人がいるので、ノアの方舟で画像検索してみてください。

※2ダニエル⋯バビロン王ネブカドネザル〜ペルシア王キュロスまで仕えた人。王さまの見た夢を解き明かし、国の有力者まで上り詰めた。

ダニエルはライオンのほら穴に閉じ込められたけど、み使い(天使)に助けられて無傷だったエピソードが有名ですね。動物園のライオンの檻に入るのを想像してみてください。そんな恐怖体験をしても神さまを信頼したダニエルは立派な人ですね。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


礼拝後、お昼ご飯を頂いた。

ヨセフさんは料理が得意らしく、ビビンバ丼を全員分用意してくれたみたいだ。勿論、ヨセフさんひとりじゃない。食事担当の人がヨセフさんを含めて3人いるらしい。

「んっ!給食のより美味しい!」

「給食って……子供かよ笑」

キムチが良いアクセントになっている。良いご馳走を頂いた。


昼食後、ペドロさん、ヨセフさん、エレクトーンのお姉さんと集まって青年デボーションをした。母子室と書かれた部屋で話し合った。

呼木さんははれるや先生と話している。

「田光英里でーす!エリちゃんって呼んでね!」

「エリちゃん!」「はい!」

「めりいちゃん、ろいこちゃん。今日のお話聞いてどうだった?」

「んー。なんかすごかった!」

「すごかった!」

エリちゃんはリピートした。ろいこの小学生並感想はいつもの事だ。

「私は、ヨブの話が印象的でした。イエス様の話も新鮮でした」

「そう!それは良かった!」

「それじゃあもう1回おさらいしようか。

まずヨブ記を開いて……」

私はヨセフさんに言われ聖書を開いた。

「あっ。聖書箇所を開くコツを教えるんだったね」

「♪創出レビ民申命記〜」

「そう!それそれ!」

「どんぐりころころのリズムだ!」

「そう!どんぐりころころの替え歌で聖書の順番を覚えていくの!」


「♪創・出・レビ・民・申命記〜

ヨシュア・士師・ルツ・サム・列王〜

歴代・エズ・ネヘ・エステル記〜

ヨブ・詩・箴言・伝道・雅歌〜


イザヤ・エレ・哀・エゼ・ダニル〜

ホセア・ヨエ・アモ・オバ・ヨナ・ミ〜

ナホム・ハバクク・ゼパハガイ〜

ゼカリヤ マラキで39〜」

青年3人は口を揃えて歌った。

なんかの呪文かと思ったが、覚え歌らしい。

「歌詞の用紙渡すから覚えてみてね〜

まずは旧約から覚えよう!」

「これを歌えるようになったらヨシアを見返せるかも……」

「めりい、まだ張り合ってんのかよ」

「ヨシア?」

「友人兼ライバルです。バスケの部活に打ち込んでるので今日は連れてこれませんでしたが……」

「ヨシアって名前の人、クリスチャンに多いよ!日本人っぽい名前だし……その子もクリスチャンなの?」

「いえ、神主の息子です。その子のお父さんがキリスト教嫌いで、お母さんはアメリカ人なんですが聖書を読んでなかったみたいで、ヨシアに聖書をあげたんです」

「あー、複雑な家庭なんだね……」

「ヨシアくんも教会に来れたらいいですね」

「うんうん」


最後にみんなでお祈りした。みんなで日々の悩みを持ち出して祈り合うらしい。私はとりあえず「学校の勉強についていけますように」とお祈りしてもらった。

「聖書の神さまって、神社みたいに賽銭払わなくていいんですか?」

「ううん!お金は要らないよ!献金はあるけど、神さまは祈れば必ず最善の方法へ導いてくださるよ!」

「そういえば礼拝中献金って言ってみんなお金出してたな・・・」

「献金っていうのは自分から喜んでするものだ。誰彼に強制されてするものじゃないんだよ。

ルカの福音書20章45節~21章4節の『やもめの献金』を見るといいよ」

「神さまを信じる決心ができたら払うものが献金。

ニュースで宗教団体のお布施なんかが問題になってるけど、キリスト教会は強制じゃない。ましてや多く払ったから偉い!ってことでもないんだよ」

「アタシは修学旅行でご縁があるようにと思って五円玉をたくさん神社に入れてきたなあ・・・」

キリスト教会の献金は「収入の10分の1を収める」というのが決まりらしい。しかし経済的にそれが難しい人も多いので大体100円で済ませる人が多い。もちろん払えるならそれ以上払ってもいい。

献金は教会の運営やユニセフなどへの募金に充てられるらしい。自分のためにお金を使うんじゃなく、「天に宝を積む」というのが聖書の教えらしい。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


今日はたくさん色んなことを教えられた。有意義に過ごせた満足感で胸がいっぱいだ。

「腹もいっぱいじゃない?めりい、ビビンバ丼が美味しいからって3杯も食べちゃって」

「後で走るもん!」

青年デボーション後、ペドロさんとヨセフさんはブラジリアン柔術の練習をしていた。技をかけられヨセフさんは七転八倒していた

エリちゃんからは「また教会においでよ!」と誘われた。来週も来ようかな。

呼木さんははれるや先生とまだ話し込んでいた。「先に帰っていいよ」と言われたのでペドロさんとろいこと一緒に帰った。


続く。

覚え歌は教会によって違うみたいですね。


コメント欄で「自分の教会はこういう覚え歌だよ〜」ってのがあったら教えてください。

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