表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/56

⑪教会編:1ヶ月後……

あれから1ヶ月が経過した。梅雨の季節に入った。


呼木さんが色々聖書の勉強を教えてくれるので、聖書のテストがあるなら赤点以上は取れそうだ。

学校の授業よりも分かりやすい。呼木さんに全教科の先生をやってもらいたいぐらいだ。


ろいこはヨシアを追って女子バスケ部に入った。

元々ろいこは運動神経がある方で社交的なので、すんなりチームに馴染めた。ポジションはSF(スモールフォワード)になることが多いといっていたが、私はバスケに詳しくないのでなんのことやら分からない。


ヨシアはというと、インターハイに向けて練習に集中している。自主練タイムは終わったようで、最近は公園に来なくなった。

それでも、休み時間に(めりい)が呼木さんから教わったことを伝えている。

呼木さんは「ヨシアくんがまたここへ来れますように」と神さまに祈っている。もしかして、呼木の謙虚さは神さまを信じているからかもしれない。


それぞれちょっと変化はあったが、なんとか上手くやっていけてる。

聖書の神さまに感謝したい。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

金曜日、ろいこが部活終わるまで待っていた。

ろいこの練習風景を覗く傍ら、男子の練習も見てみた。

ヨシアがス〇ムダンクのゴリみたいな人に叱られている。

「お前のガッツはそんなモンかァ!!!???」

「ウッス!まだいけますよ!」

常人離れしたゴリ先輩に、必死に食らいつくヨシア。いずれ黒〇のバスケみたいに超能力を使いそうだ。

監督は顎がタプタプしておらず、むしろヨボヨボのおじいちゃんだった。コックリコックリ眠りに入っていた。

ゴリ先輩が監督兼コーチのようなものだろう。


女子バスケの部活が終わった。

「おっす〜めりい。覗いてるのみんなにバレバレだったよ?」

「んな!?」

「覗くなら堂々と覗けばいいじゃん笑笑」

ろいこの隣にいたメンバーが茶々を入れてきた。

「いや、そういうのはちょっと・・・」

堂々と覗くのは、スポーツ漫画でよくいるライバルポジションのキャラみたいで、なんかヤダ。

「ヨシアくんの方はまだやってるね。すごいなぁ、上級生相手にも食らいついて」

バスケは基本長身の人が多い。2年3年の先輩は、巨人かというほどデカい。

ヨシアもそれなりにデカいが、男子の先輩たちは超大型巨人の集まりだ。みんなが肩を組めば体育館を地ならしできそうなぐらいの威圧感だ。


「長くなりそうだし、先に帰ろっか」

ろいこは珍しく先に帰ろうとする。いつもならヨシアの練習が終わるまで待っているのに。

「ゲーセンでも行こうか?」

「えっ?公園じゃないの?」

「ごめん、今日は別のとこ行きたい気分かな」

ろいこの表情がやや暗い。ろいこが曇るなんて余程のことだ。

「・・・いいよ、ゲーセンで」

呼木さんには明日会って謝ろう。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ショッピングモールの角にあるゲーセンに行った。UFOキャッチャー、コインゲーム、

カードゲーム、エアホッケーetc・・・

「体動かす奴がいいな!」

ろいこは先ずパンチングマシーンを選んだ。

「打つべし!打つべし!」

闇雲に連打するゲームではないのだが、ろいこはボコスカ、ミットを殴った。

当然結果はでない。

「っか〜〜!!スッキリしないなあ!」

「ホッケーの方がいいんじゃない?」

「いいねえ!めりいもたまには体を動かさなきゃあ!」


エアホッケーなんてやるのは初めてだ。パックを上手く打てるように、素振りしておく。

「負けたらアイス奢ってね♪」

「私が負けるの前提?舐めないでよね」

私は舐められると燃える性分だ。

「ほたァ!」

ケンシロウのようにパックを打った。が、なんか思ってたより飛ばない。

「アハハハハハハっ!」

ろいこは腹を抱えて笑っていた。その隙をつくようにパックがろいこのゴールに吸い込まれていった。

「あ」

まずはリード。と言いたかったが、ろいこの様子がおかしいので、接待プレイに徹したい。

「グヌヌ、めりいの癖に生意気だぞ〜!」

本気を出てきたろいこ。どだい運動音痴な私にはとても返せるショットではない。点はみるみるうちに1-9と追い詰められてしまった。

このエアホッケーの得点は卓球と同じようで、11点先取した方が1ゲーム勝ちとなるらしい。

「ふふふ、トドメを刺してくれようぞ」

ろいこは余裕の笑みを浮かべている。

「なんの!まだまだ」

逆転のチャンスはまだある。このまま負けたら張り合いが無さすぎて、ろいこが萎えてしまうかもしれない。

ろいこのサーブ。前陣速攻で攻撃を仕掛けてきた。

私はなんとかガードしパックを受け止める。

(さて、どうやって跳ね返そう……?)

「あっ!あっちにヨシアが!」

「えっ!?」

ろいこによそ見をさせすかさず一発ゴール。

「よっしゃあ!」

策がはまり、思わず声を上げる。


「それは反則だよ、めりいさあ……」

寂しげな表情で(うつむ)くろいこ。やってしまった。

「ご、ごめん。アイスは私がおごるから……」

接待プレイのつもりが、大人げなかった。反省。


その後アイスを奢ったが、ろいこは元気を無くしてしまった。その理由を聞きたいところだが、聞きづらい。

いつも私の相談はろいこにしてもらっていたが、逆にろいこの相談に乗ったことはない。

こんなとき、なんて声を掛けたらいいか分からない。

不意にろいこが口を開く。

「私ね、バスケ部入ってしばらくは上手くいってたから『バスケは私の天職かもしれない!』って浮かれてたの。

でも違くて、女子のみんなは私より強いし、男子の方はもう別の世界みたいで……」

「嫉妬しちゃうよねえ……こんなこと、今まで無かった。上手くいかないっていうのが、こんな悔しいとは思わなかった……!!」

ろいこはバスケにのめり込むうちに、勝負の世界にはまっていった。勝ち負けが全てじゃないが、人についていけない劣等感は、私も落ちこぼれだからわかる気がする。


でも


「そんなことで悩んでたの!?」

「えっ。そんなことってめりい……」

「アンタに何が分かんだよ!」

「分かんないよ!ろいこの心の中なんて、私には分からないよ!でも、呼木さんに相談しに行こうよ……」

「え、なんで呼木さんが出てくるの。あの人、バスケの専門家じゃないじゃん」

「バスケは詳しくないかもだけど、『人生』の生き方については詳しいはずだよ!呼木さんに助言を貰いに行こう?」

呼木さんと聖書の勉強をしていくうちに、分かったことがある。


呼木さんは丁寧だ。

聖書のはじまりのはじまり、創世記から丁寧に解説してくれた。私たちが持ってきたスマホの「聖書物語」という絵物語の動画を見せて、分からないところを呼木さんに逐一聞いていた。

最初はよく分からなかった聖書も、分かってくると楽しい。

最初の人類アダムとエバ(イブ)は人間くさい。神さまから「食べるな」と言われた“善悪の知識の木の実”を、約束を破り食べてしまう。

その理由も「エバが(そそのか)したんだ!」「私は蛇に騙されたのよ!」と夫婦喧嘩のように互いをそしる。


聖書に出てくる人間たちは、数千年前の人達なのに親近感を感じる。出エジプトでモーセに対して文句を言い続けるイスラエルの民など、今の私たちみたいだ。


だからこそ、聖書に出てくる人たちからはみんな何かしら失敗している。

みんな「しくじり先生」なんだってことが、呼木さんとの勉強で分かってきた。この1ヶ月の勉強で、聖書と私の距離が、グッと縮まった気がする。


ろいこの悩みも、物知りな呼木さんなら解決してくれるハズだ。だって私たちの先生なんだから!

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

公園に着いた頃にはもう日も暮れていた。

黄昏時(たそがれどき)になろうという時間帯だ。

「帰っちゃったんじゃ……夜はどこにいるのか知らないけど」

「うーん……」

辺りを見回すと、原っぱの方に誰かいる。


長身の外国人だ。肌は浅黒く、やせ型だ。

サッカーのリフティングをしている。思えばW杯(ワールドカップ)で世間は盛り上がっていたなあ。

「呼木さんは……?」

やはり帰ってしまったのだろう。私はしょんぼりとした。ろいこは私より落ち込んでいる。


すると、あの外国人が振り向いてきた。

「Ohーーーーーーーーーーー!!!!」

こっちへ走ってきた。怖い!

どうするめりい!どうするろいこ!


続く。

今回より新章突入です。


教会編から面白いキャラを出せるのでワクワクしてます。ワクワクが止まらねえ!


本作が、皆さんの聖書を読むキッカケになれば幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ