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王との決戦

「なんだと……?お前下民の分際で究極魔法を扱えるとでもいうのか!!ははは!なんということだ!お前、面白いぞ!!」


「笑ってられるのも今のうちだ……!」


 もう残ってる魔力を全部このメテオに込めた。

 天空から物々しい威圧的な雰囲気と共に8つの隕石が飛来する。

 この一帯を消しとばしてしまってもいい。

 僕が再生する。

 仲間たちに被弾する心配はない。あらかじめ防御壁を全て張っておいた。

 それにメテオのターゲットは全弾あの王だ。


「いいぞ……いいぞ。メテオよ我が身に!!」


 避けるつもりなんてまるで頭にないらしい。

 だが、今はそれがありがたい。

 復活した魔王第二形態の硬い装甲さえ貫いた一撃だ。

 その魔王と互角にまで渡り合った王になら確実に届くはず。


 条件も互いに同じ。その気になれば時間を止めていくらでも回避のし様がある攻撃を敢えて受け切ったのだ。

 そこまで弱り切ってから再封印すればもう出てくることはないはず。


「うおおおお!」


 迫り来る無数の隕石を、最古の王は防具なしにその身一つで受け止めていた。

 しかし究極とまで謳われる魔法を、さしもの王とてそう簡単には弾き飛ばせないようで、続く二陣三陣の隕石爆発には対応し切れずに巻き込まれていった。


「す、すごい爆発です……!」


「ロシュアの本気が窺い知れるな……一体どれほどの魔力を込めればあんな威力に……」


 周囲には凄まじい大爆発が巻き起こっていたが、仲間たちは全員バリアの中で傷一つ付かずに無事でいてくれた。

 直撃ではないとはいえ、あれほどの攻撃だ。

 その余波は計り知れないものとなると想像していたので、どうなるか不安だったがなんとか耐え切れているようだった。


 だからって別に威力を加減したつもりはない。

 全力入魂の最大8発だ。

 王といえどあれを全て直撃して無事でいられるはずがない。


「どうだ……!」


 周囲がもうすっかり森で無くなり完全なる更地と化した煙の中、揺らめくシルエットが太陽の光を浴びてそこに立っていた。


 アルリムは少し黒焦げになりながらもしっかりと存命だった。

 おいおい。嘘だろ。

 倒し切れなかったにしろ、三発で魔王の半身を貫いた魔法だぞ。

 その倍以上のメテオを全弾受けてまともに立っていられるなんて。


「ふははは!なんという威力だ。素晴らしいぞ!!余が『防御』などしたのはいつ以来だろうか!やはりお前は他の有象無象どもとは違うわけだな下民――いや、ロシュアよ!余に名前を呼ばれることを許された選ばれし者よ。お前は今、他ならぬ王であるこの余に認められたのだ!」


 少しくらい疲れているかと思いきや、全くそんなことはなさそうだ。

 せっかくクラウスさんが与えてくれたダメージや削り取った体力も、時間経過ですっかり回復してしまっている様子だった。


 やられた。もう残ってる魔力もほとんどない。

 これで僕に打てる手は何も残っちゃいない。


「さぁ……もう一度究極魔法を見せてみろ……!もっと余と最高の時間を過ごそうではないか……!」


 期待してもらっているところ申し訳ないけど、もうこれ以上のことはしてあげられない。

 お手上げだ。


「おい……どうした。まさかさっきので力を使い果たしたわけではあるまいな?」


 僕が弱々しく頷くと、王は焦りと怒りに満ちたような顔つきに変わっていった。


「ありえん。そんなことがあって良いはずが!!これ以上ない最高の戦いの幕引きが――魔力切れなどであって良いわけがなかろう!!貴様!!この我を愚弄する気か!さぁ立て!立って余に先程の魔法を見せてみろ!貴様の力はこんなものではないはずだ!!さぁ!」


 しかし何度王様に激昂されても、囃し立てられても僕は魔法も攻撃もロクに行える気力が残っていなかった。


 それを見た王は愕然と肩を落としてどんどん失望していった。


「なんだ……貴様も所詮ただの人間だったのだな。かつて余が守ってやった愚かで、脆弱な、それでいて生の執着だけは異常にある愛しき人間と同じ……」


 王が涙を流すと、その涙が剣に変化していき彼はそれを握りしめた。


 横たわる僕に対して王が剣を突き立てようとした。


「もうお前と会うことも二度となかろう――お前は惜しいが、それだけの存在でしかなかったということだ。己の未熟さを後悔し絶望しながら死ね」


「待てえええ!!」


 防御壁から抜け出したターシャさん、サラ、リーネさんの3人が武器を持って王の一撃を防ごうと乗り出した。


「み、みんな」


「ダメです!ここで死なれるわけには……」


「そうだぞ……リーダー!ここでキミが倒されてしまえば、誰が他に力を貸してくれるというのだ」


「邪魔だ。抱き心地の良さそうなつがいどもよ」


「つがいなんかじゃありません!!私たちはロシュア様の仲間、パーティー・虹の翼のメンバーなんですから!!」


「パーティー……だと?くだらん。そんなもの所詮貴様ら脆弱な人間の馴れ合いに過ぎん。はるか昔から貴様らはずっとそうだった。弱いから群れて集団で狩りをし、仲間とやらを集め繁殖してまた次の世代に同じことを繰り返す。一人ではどれだけ足掻こうとも勝てないし面倒だからと他者に寄生して搾取するだけの存在になるだけだ」


「ちがう!私たちは心と心、魂で繋がった真の仲間なんです!」


「そうだ。つるんだり群れるのは、自分が弱いからでも単に利益を得るためだけではない。他ならぬロシュアの頼みだから聞き入れているのだ」


《妾の覚悟は決まっておる。何がどうあっても最後までご主人様のために戦うぞ》


「ありがとうみんな……!」


 動けなくなった僕を囲う様にして女性陣たちが、目の前の暴君に立ち向かっていった。

 くそっ。魔力のせいとはいえこのまま守られるだけなんて恥ずかしいぞ……!

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