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ギルドマスターVS人類最古の王

「クラウスさん……!どこにいたんですか本当に!」


「いやー。心配になったんでこっそりちっちゃくなって着いてきちゃいました〜そしたらやっぱり案の定だったねー」


 可笑しそうに笑う彼女の右足は、先程の一撃を弾いたことで完全に無くなってしまっていた。

 いや、むしろ足だけで済んだのが幸いというか。


 それにしてもあんなとんでもない攻撃を弾き飛ばすなんて。

 もうなんでもありだな。この人も大概暴君っちゃ暴君だ。


「やっぱりってことは……知ってたんですねあいつのこと」


「うん。キミが魔王の封印を解いた〜みたいなハナシをギルド伝いに聞いた時からねん。魔王と同時期に封印された〝蓋〟役の人も必ずどこかに蘇っただろうってね。予想通り王様は各地でそのあられもないご尊体を披露しながら好き放題やってくれたみたいだね」


「ギルド……ギルドだと?ということは貴様も余に立ち向かってきたあの女と同じということか」


「ーの王様って言えば親近感湧くっしょ?」


「ふっ……。はははははは!面白い!面白いぞ女!お前のような人類は初めてだ!!王の前に立つことを許そうぞ!」


「光栄でごぜーます。んじゃ。光栄ついでに拘束、よろしいか?」


 すると彼女は魔法禁止の空間にも関わらず、どこからともなく例の蔓触手を呼び出して王の肉体をぐるぐる巻きにしていった。


「す、すごい……どうやって魔法を出してるんだ……?」


「にゃははは。既に発動している魔法は無効化できないのよん!」


「できるぞ」


 縛り付けられた彼は触手たちを一斉にかき消していった。


「……知ったかには気をつけよう!」


「言ってる場合ですか!?」


 王の拳がクラウスさんに飛んでいったが、彼女はこれを首を逸らしてかわし、いつの間にか再生させた足を使ってカウンターを王の脇腹に叩き込んだ。

 それでも王は吹き飛ぶことすらなく逆にその足を掴んで引き剥がした。


「その程度で王に触れようなど恥を知れ」


「ちょっと〜。女の子の足を千切るときはもっとこうおねだりをしてだね。ってか足生やすの地味に大変なんだからやめてよ」


「返しに使う言葉が異次元過ぎる……!」


 鮮血にまみれた王は頬を拭って彼女の顔面に拳を叩きつけた。

 首が吹き飛ぶと同時にギルドマスターは王の拳に無数の魔法陣を発動させ、更にいつの間にか張り巡らせていた地面の魔法陣から一斉に白い鎖を召喚してアルリムを取り込んでいった。

 その夥しい数の鎖は王の肉体に絡みついて離れなかった。

 今度は王にも容易に砕けなかったようで、しばらく王の動きを制限させた。


「ふはははーっどーだギルマスちゃんの特製鎖、題して『今宵あなたを縛りますどこまでも♡』ちゃんの威力はーっ!!身動きとれまーい!!」


「いや、首無しでどうやって喋ってるんですか」


 さながらデュラハンの様に頭の無い状態で彼女は機敏に動き回って決めポーズを取っていた。

 瞬時に頭を元通り生やすと、彼女はウインクをかました。


「さっ。ほんじゃキミも封印させてもらうね」


 緊縛の王に向かって彼女は白い壺を掲げていた。


「な、なんですかそれ」


「これは魔王封印の際に使ったやつの5000倍威力強めに開発した封印器ナリよ奇天烈少年。これさえあれば溝に詰まったゴミから世界を滅ぼしかけた大魔王まであらゆる物を吸い込むことができるというまさにスグレモノなり」


 あれほど強固な封印を更に5000倍に強めるなんて、控えめに言ってこの人頭おかしい。


 壺の蓋を開けた瞬間、封印が王に向かって降り注ぎ全身を吸い込んでいく。


「ぐ、おおおお――」


「こ、こんなにもあっさり……」


「おいフラグ立てるなよ少年。次のページに飛ぶ前に抜けられたらキミの責任だからね」


 いや何言ってるのかわかりませんけど!

 でもなんかすごいことが起こっているのだけはわかった。


 やがて封印は王の肉体を飲み込んで壺の中に吸収されていった。

 そこから音速の速さで蓋を取り付け、だめ押しに『封』と書かれた紙を貼り付けた。


「はいっ!これにて封印終わりっ!お疲れ!」


「な、なんかえらい呆気なく終わりましたね」


 さっきまでの激戦とか苦戦が嘘みたいだ。


「まぁ終わりよければ全て良し太郎よ。ついでにこれで魔法も使える様になったはずだから安心してねん」


「あっ、そうだ!それなら早くみんなを回復させないと!」


「ああその事なら心配ないよ。さっき咄嗟に天使の秘薬をかけ流しておいたから。多分すぐ起き上がってくると思うよ」


「ん……どうしたロシュア。あの裸の男はどうしたのだ?」


《く……不覚を取ったわ……だが次こそは――って……んにゃ?》


「あ、あれ?あいつが居ないよ?」


 ……。

 ものの見事に全員傷がなくなって元気いっぱいになっていた。

 ここまで凄いと言葉も出ないや。

 どんだけさっきの一瞬で色々やってんだこの人。


「というかこんなにできるんならもうクラウスさん一人で調査すればよかったじゃないですか〜」


「あっひゃひゃっひゃ。バカいっちゃいけねぇよ。あたしが外に出て働くなんて500年に1度あるかないか、あれば良い方なんだぞ?ガキが……舐めてると潰すぞ」


「なんで突然キレだすんですか。情緒不安定が過ぎますよ」


 そしてもっと働いてください。

 流石にその頻度は誰が覚えてるっていうんですか。


「じゃあ次の500年後生きてたらまた仕事する場面でお会いしましょう。オヤスミ〜」



「ああ。永遠の眠りにつくがいい」


 突如彼女の身が消し飛んだかと思うと、そこには封印されたはずの暴君が立ち尽くしていた。


「クラウスさん!!」


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