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お祝いカレーを食べよう

ここからちょっとの間

バトル無しのほのぼの展開です。

血に飢えた読者の皆さんには

誠に申し訳ありません

「よーし!今晩は私が腕によりをかけてクエストクリアのお祝いご飯を作りますね!!」


「あ、あは……あははは……」


 なんかもう既にエプロン&三角巾装備で準備万端といったターシャさんだったけど、夜食係を任せるわけには……。

 なんて言うこともこの笑顔を前にはとてもできそうにないので、僕は監修係として彼女のそばについていよう。

 亜人女性陣に任せてはいけない。

 まあでも王都なら材料も豊富に取り揃えてあるし、ゲテモノが作られる可能性は少ない………と信じたい。


 ややオレンジ色に空が染まる頃、僕たちは大きな食料品店に入っていった。

 看板にはリンゴとビールが描かれていた。


「いっぱいありますねーどれが良いでしょうか」


「そうだね……みんな何を作りたい?」


「やっぱりお祝いですからカレーですよ!」


「いやいや。ここはエルフの里特性スーパースパゲティをだな」


《龍一頭のおかしらつきソテーで良いじゃろうめでたいし》


「人体の盛り合わせケーキなんてどうかな」


 みんなそれぞれイチオシメニューがあるようだった。

 魔王様のおぞましいメニューは無視するとしても、全員の意見を取り入れていたら結構時間がかかりそうだ。


「よしそれなら今からバトルファイトして決着をつけようか」


「ずるいですよ。そんなの私圧倒的に不利じゃないですか」


《そうじゃぞ。人間に勝ち目が無さすぎるではないか》


「それもそうか。ではどうするロシュア」


「えっ僕が決めるのかぁ〜……」


 どうしよう。じゃあ最初はターシャさんでいって、あとは順番にローテーションしようか。


「はっ!……これは正妻特権というやつですね!?むふふ!どーですか!これが二人で紡いできた愛の形ですよ!」


「いや、キミと私たちそんなに仲間になってから日が経ってるわけでもないだろう……」


 仲間になった順に決めていただけで深い意味はなかった。

 それとカレー食べたかったからかな。


 クエストクリアとはいってもそれほど豪華なものにしなくてもいい。

 高級な食材でなくとも良いものはいっぱいある。

 まず野菜選びからだ。これで9割がた決まると言ってもいい。


 たとえばこの『魔トマト』だが、取れた地域によって水分量や果肉の味わいが全然違う。

 湿気の多い場所で育てると水気で膨らみ、乾燥地区で育つものは辛味が多い。

 どれも同じように見えて一個一個産地が違う。

 彼女が手に取ったのは『ロードラン産』、『ハルメ産』それから『アードリア産』だ。

 それぞれ砂漠の多い乾燥地帯、湿気の多い湿地帯、そして普通の環境と綺麗に分かれていた。


「これで良いですかね?」


「うん。バランス良いと思う」


「というかロシュア、君にはこの違いがわかるのか?」


「まぁね。色々買い出し担当してたからさ」


「すごいな……いや私は香りによって微妙な変化を理解できる程度だが、人間の君にぱっと見程度で詳細な情報がわかるなんてな……素直に尊敬する。ロシュアを嫁にもらう家は大層幸せだろうな」


「なんで僕女性化してるの!?」


「料理のできる男性って素敵です〜」


 トマトを詰めた後も、そのままニンジンやジャガイモなどカレーに必要な素材を集めていった。

 ここまでたくさん買ったけど全部でまだまだ1000ジールだ。

 馬車などいろんな物がいかに高いかよくわかる。

 これだけあったら3日くらい食い繋いでいけるはずだ。

 まぁ食費だけならこれで済むが、王都に住むとなると土地代とか家賃がものすごいことになる。

 安くて良質な素材を集めるには物流の循環が目まぐるしい都会に赴くしかない。


「さぁいよいよカレーの粉だ」


 粉と唐辛子選びによって味が決まるので、慎重に判断したい。

 辛さ順に色々唐辛子が吊るされているが一番最高の辛さを誇る『キングボルケイノ』で味覚を失うレベルと注意書きが記載されてあるほどだ。売るなそんな危険なもの。

 と思ったが、亜人や獣人には耐えうる辛さなのかもしれない。

 人間単位で見ると危険だが、ほかの種族にとってはご馳走なんて話は腐るほどある。


「ねえロシュア様。このちょー辛そうなの入れてみます?」


「うーん。死にますよ?多分……」


「いいんじゃないか?男は度胸!なんでもやってみるものさ」


「……これみんなが食べるんだからね?」


「む、まあここは無難に中辛程度にしておくのが吉だろうな」


 彼女は残念そうな顔で真ん中のスタンダードな辛さの唐辛子とカレー粉を取ってきた。

 よし、これで準備万端だ。


 最終食費総額は2500ジールとなった。

 しばらくご飯はカレーになりそうなくらい買ったぞ。


「じゃあレッツカレータイムといきましょうか!」


「うん。今回は僕が監修するからね。馬車に戻ったら役割分担しようか」


「はーい」


「……それで思ったんだが」


「どうしたのリーネさん」


「あの馬車……今晩どこに停めておくのだ?」


 これまで一時停車させてただけだったから気付かなかったが、どうしよう。

 普通に馬車置き場貸してもらおうかと思ってたが、よくよく考えたら改造馬車だからめちゃくちゃでかい。

 馬庫に絶対入らない。突き抜けてしまう。


「家も兼ねてたからなぁ……そうだ。ちょっとクラウスさんに許可証かなんかもらってくるよ」


「行ってらっしゃーい」


 あの人なら多分承諾してくれるはずだ。

 もうすっかり夕暮れになっちゃった。ギルドまだ開いてるといいけど……。

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