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追放sideの裏側では

「ど、どうしたんですかロシュア様。顔が真っ青ですよ?」


「ま、まずいっ……隠れないと!」


 さっとターシャさんを盾代わりにして後ろに下がった。


「ど、どうしたんですか急にそんな……」


「い……いるんだあそこに……僕を追い出したパーティーが……!」


「もしかして……あそこのやや浅黒い肌の金髪の青年とか、眼鏡かけた僧侶さんみたいな女性とか、オレンジのポニーテールをした女の子とかの一団ですか?」


 ターシャがちらっと振り返ってくるので僕は激しく頷いた。


「ほほぅ……あれがロシュア様にひどいことをした……」


「た、ターシャさん?な、なにその拳」


 ポキィ!と小気味良い音を鳴らすので不安が胸中に押し寄せてきた。


「え何って今からあいつらをボコボコにボコるんですよ。ロシュア様に悲しい思いをさせた連中です。見逃すわけにはいきませんよ」


「こ、こらえてターシャさん!ぼ、僕たちはまだランクFのパーティーなんだし……!ランクAのカムイたちにはどうあがいても勝てないよ……!」


「じゃあ魔王より強いってことですか?!」


「そ、それ聞かれるとちょっと順位混乱しちゃってあれだけど……」


 いや。それでもあいつらならやりかねない。

 そもそも黄昏の獣王団はパーティーとしても本当にバランスが良い。

 攻撃は物理と魔法の2枚で回復支援が1人。

 これだけで並み居る強豪揃いの難関ダンジョンを攻略してきたのだ。

 撃破・掃討・殲滅に関しては間違いなくプロフェッショナルだ。

 僕が見た限りだとカムイが切れなかった相手なんていない。

 本当補助魔法なんかなくてもやってけるくらい強いのだ。


 ソアラだってとんでもない魔法をポンポン使えるし、ルーナもただの僧侶ならお荷物扱いになっていただろうけど、実はそれなりに戦える職業詐欺みたいな強さを誇るという、言うならば本職よりは劣るけど単独でもある程度戦える僧侶戦士なのだ。


 とにかく僕以外はどこをとっても超一流。

 ギルドで出した計測値のデータだってもう大分前のものだし、あの頃よりみんな強くなっている可能性は十分にある。


《そうかのう……妾の見る限りあいつらにそこまでの覇気は感じぬぞ……まあ弱くもないが取り立ててご主人様がガクブルになるほど強くもないというところじゃな》


「ああ。多分私が今から背後忍殺しても気付かないだろうから試してこようか?」


「試しちゃだめ!それ試しで全員死んじゃってるから!ギルド内外問わずパーティー同士での模擬戦等以外の戦闘行為はダメ、絶対!!」


「……なんかの啓発の標語みたいですね」


 仕方ない、とみんな納得してくれたのでその後僕の四方を囲むようにして固まってくれた。

 ありがたい。これで見つかる心配はない。


 しかし遠くからはカムイのやつがちらちらとこちらを見てくるのでいつバレるか心配で心配で、僕の心臓は過去大級にうるさく高鳴っていた。


「ほー。あれが噂のロシュアくんの元カレね」


「びっくりしたぁ。ぬらりと現れないでくださいよクラウスさん。あと言い方」


「ほんじゃまちょっくらリーダーに挨拶してくらぁ。ついでに注意を引きつけとくよ」


「あ、ありがとうございます」


 僕は嬉しいやらあの人が何かやらかさないか不安やらでいっぱいいっぱいになっていた。

 僕を売ったりはしないだろうが……冗談とかいって何か変なことしないだろうか……それだけが不安で仕方ない。


 しかしターシャさんの脇の隙間から覗いて見ると、なにやらあの気難しいカムイとそれなりに円滑なコミュニケーションを撮っているようで、なんかちゃっかり握手までしていた。

 初代ギルドマスターはコミュ力もお化けだ。

 普通初対面の相手にあそこまで仲良くできるか?

 少なくとも僕ならできない。


「おまたせっ」


 そうしてカムイたちが赤い帽子の女性陣に連れて行かれるとほぼ同時くらいに、クラウスさんが戻ってきた。

 多分ぼんやりとだが覚えてる記憶から彼女たちは『深紅の薔薇』の皆さんだ。カムイたちと何の用があるのかは知らないが、カウンターを通していた事から多分クエスト関連の用件だろう。

 もうあいつらがいないとわかってとりあえずほっとなって外に出てみる。


「いや、あいつらマジで全然大したことなかったよ?うんこ。うんこの方がなんぼかまし」


「あんなに仲良さそうにしてたのに居なくなった途端すごいですねその変わりよう!?」


 なんか陰口の現場を目の当たりにしたみたいで心が苦しくなってくるな。

 あの陽のオーラに満ち溢れていた人物が裏ではこんなこと考えていただなんて思いたくもない。


「絶対100%うんこだって。男以外の女もうんこ。うんこのが生産性がある」


「ちょ、ちょっとお下品ですわクラウスさん。まぁでも私もあの方々は大した事ないと思いますわ」


「ああ。ロシュアは何を恐れる必要があるというのだ」


《まー、過去のトラウマはあるじゃろうが今のご主人様なら乗り越えられるじゃろ》


「そうですよ!マスターは私の恩人なんですよ!!もっとどーんっと構えていてくださいよ!」


「うーん……それで良いのかなあ」


 ともあれ、嵐が過ぎ去ったことで時間もいい感じになってきたので僕たちはギルドを出て今晩のご飯の材料を買いに街へ繰り出すことにした。

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