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追放side カムイの視点 女たらし編

「とりあえずパーティーは私たち『深紅の薔薇』でクエスト進行するけど良いわよね?それで」


「仕方ねえ」


 今俺たち『黄昏の獣王団』は3人しかいねえ。

 せっかく仲間にしたミシロがその古龍の洞窟で食われちまうもんだからまた集め直しになってしまった。

 女どもにこき使われるのは癪だが、今はこれでいい。

 あいつらと合同で7人パーティーを組むことでどうにかこの危機を脱する。

 そしてあいつらを全員完膚なきまでにわからせる。


「ごめーん待った?」


「おそいよーマリー。待ちくたびれちゃった〜。で、そいつらが何?例の王様に楯突いてボロボロになった元Aパーティーってのは」


 早速虚実に踊らされてるバカ女の仲間たちが頭悪そうな顔で笑っていた。

 ここまで愚か者だと怒り通り越して最早笑えてくるな。


「はいはい好きなように好きなように……どうせお前らが泣きを見ることになんのは明らかなんだしな」


「は?マジ意味わかんない。何言ってんのこいつら?」


「それがねクラリス〜こいつら古龍の洞窟には不正があって、そのせいで自分たちは失敗したとか言ってんの。そんで私らが絶対第二層から先は超えられないんだって〜」


「うわぁ妄想もそこまでいくとヤバいよね〜」


「ねー。こわーい」


 これだからうち以外のバカ女どもは嫌いだ。

 仮にもAランクパーティーのくせに品位が欠片も無い。

 品位も常識も無さすぎる。

 ちょっと面が可愛くて魔法が人より上手く使えるからって調子に乗りすぎだ。


 リーダーのアンルシアはまだ話のわかる女だが、その他3名は本当に見てて痛々しいくらい頭わるわる女ばかりだ。

 自信家のマリー、ソアラよりギャル感が強いメスガキクラリスに爆乳ロリ顔のテリーヌ。

 全員女性面子で全員魔法使いのちょっと珍しいAランクパーティーだ。

 唯一例外的にリーダーのアンルシアだけが剣術をかじってるので、魔法剣士的な戦い方ができるものの、基本的には高い魔力による高位魔法ぶっぱなし戦術が基本となるパーティーだ。


 バランスとしては最悪だが、複数の相手や魔法が弱い敵には滅法強いとんがった部隊である。

 しっかしこいつらちょっと前までは可愛げのある連中だったのに、今やこの手のひら返し様だ。

 誤情報に踊らされる程度のバカだとわかればそれほど怒りも湧いてこない。


 だが、今回は同業者であろうと容赦は一切しない。

 お前らを徹底的にわからせるためにまずそのでかい口と態度をへし折るために、敢えて俺たちは協力しない。

 こいつらが痛い目をたっぷり見た後、「こんなはずじゃなかった……」となるまで俺たちは何もしない。


 無知もここまでくると清々しいものだが、忘れてはならない要素その1。魔法攻撃は古龍の洞窟に巣食うほぼ全ての生物に効果はありまーん。残念でした。

 戦えるアンルシアだけを除けば、こいつら勝手に強敵ひしめく二層あたりで沈んでくれるだろう。その時は近い。


 奴らが一通り手続きを済ませている間、ソアラとルーナは暇を潰すためにあちこち見て回っていた。


「ねえねえあれ何?なんかハイエルフとかドワーフとかいっぱい珍しいものがありますよ」


「あら本当ですね……ですが、なんか見たことある人がいたような……?」


「かーっ。大方田舎のぼりの〝かっこつけ〟だろう。ほっとけほっとけ」


 すると突然俺の隣に痴女同然のレオタード格好をした女がちょこんと立っていた。


「うわあああっ!!何だ貴様!!」


「ちゃーおっ。あたしはクラウス。ここ王都でギルドマスターをやらせてもらってまーす以後お見知りおきを!!」


「へーっ……あんたがギルドマスターなのか」


 中々色っぽい格好してるじゃねぇの。

 女がギルドマスターやってるなんてどうかしてるとか思ってたが、こうして対面してみると結構良い感じに強者のオーラ出てるじゃないの。


「ねえねえ。多分だけどきみカムイくんだよね?黄昏の獣王団の」


「おうおうよく知ってるな!まさか王都のギルドマスター様にまで名前が知れ渡っているとぁ光栄だぜ!」


「じゃあ一つ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」


「ンなんなりとぉ!」


 なんだ?もしかしてC降格取り消しと結婚の申し込みか?

 悪いな。婚約相手に関しては大分前から候補が決まってるのよ。


「きみたち『禁断の池』に立ち寄ったことはある?」


「『禁断の地』だぁ?知らねえなそんなとこ」


「なんか奥にへんなツボが置いてあったところなんだけど……本当に知らない?触ったりだとか、壊したりしてないよね?」


 ツボと聞いてぎくっとなるのがその記憶――俺たちが調子に乗って割っちまったことだ。

 だがあれは全部ロシュアがやったってことで丸く収まったはずだ。

 まあなんか言われたら全部あいつのせいにしてしらばっくれとくか。


「さぁ?何のことだか分かりませんね。そんな地名聞いたこともないです。あ、俺どーでもいいダンジョンとか忘れやすいタチなんで」


「ふーんそうなんだ」


 心の内まで見透かされてそうな鋭い獣みたいな眼光でギルドマスターは俺をジト目で見てきやがったが何がわかるというんだ。

 何と言われようと俺は最後までしらばっくれるぞ。

 しかしそいつはそれ以上何かを追求してくることはなく、険しい表情から一転してにこっと笑顔になって握手を求めてきた。


「じゃあ握手しよ!!偉大な次期ランクSパーティーの首領様のお手手なんて触る機会もうないと思うからさ〜」


「ふふ。あんたわかってるじゃねぇか」


 なんだよこういうまともな奴もいるんじゃんかギルドさんよ。

 つかもっとこういう理解あるやつを増やせよ。


「あっ素手でお願いできるー?あたしそういうミーハーだから」


「構わんよ」


 可愛いところあるじゃんか。出会ったばかりで早くも好印象だぜ。

 いいぜありがたく頂戴しやがれ。未来の王の指跡をな。


 ひとしきり握手を終えると俺はそいつに更なるアプローチを仕掛けにいった。


「じゃあもしよかったらこの後クエストクリアしてきたら俺と忘れられない一夜を――てあれ?」


 いつの間にかギルドマスター様は俺の目の前から消えてやがった。

 ったく。さては照れ臭くなって思わず逃げたな。

 最初はなんだこいつとか思ってたが、かなり良い女だな。

 強くて、可愛くて、スタイル抜群、若そう。

 そして自分の身の丈を弁えている女。完璧じゃん。

 また見つけ次第今度は無理やりにでも俺の女にしてやるかぐへへ。


「おい早くしろ。もう終わったぞ出発だ」


 チッ。

 だがその前に今はこの目の前の女どもの相手すんのが先だ。

 全く、やれやれだぜ。

 未来の王は今からモテモテで辛いねえっと!

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