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追放Side 〜黄昏の獣王団①〜

 ロシュアたちが冒険に出かけているその頃、酒場ではいつものように黄昏の獣王団のメンバーが酒を酌み交わしていた。


「きゃははは! チョースッキリなんですけどっ」


「いやーいやー全くだ全く。愚図が一人いないってだけでこんなにも快適になるもんだなぁがははは!」


 彼らは仲間であったロシュアという人物を追い出したことで有頂天になっていた。

 もう何の心配もすることがない。

 気楽で快適な旅路が約束されたのだ――そう思っていた。


「ですが……カムイ様。無能一人追い出したことでチームメンバーが3人だけとなってしまい、これではパーティーを組むことができません」


「忌々しい『パーティーにおける7条』ってやつか……」


 眉間に皺を寄せて彼は舌打ちし、両足をテーブルの上に置いた。

 パーティーにおける7条とは、冒険者ギルドが公式に設立した守るべきルール7つのことである。

 今回彼らが触れそうになったのが、その第1条「パーティーは最低でも4人にすること」である。

 2人や3人では、パーティーとしては認められないということだ。

 ちなみに既に4人で登録を済ませたパーティーであっても、その後何からの理由で人数が変動し減った場合にもこの法律は適用される。

 無視して進めば、この場合登録とは偽って進行したと見做され重い罰が与えられる。例外は認められない。


 ちなみに3人で組む場合は、組織表記ごと一から全て登録し直しになり、4人パーティーだったものはメンバーを補充しない決断をした場合、そのパーティーは今後ギルドから略歴から名簿まで何から何までまで抹消される。

 一度抹消されたパーティーは、原則として二度と同じメンバー・名前で組むことができなくなる。

 そうなる前に、4人パーティーだったものは必然指定された日付までにメンバー補充を完了させ、速やかにギルドに申請する必要がある。


「どうしよっかな〜……次のメンバーなんてまるで考えてもみなかったぜ」


「ねーねーカムイ様ぁ」


「おうどうしたソア」


「次女の子はやだよ?」


「ばーか。次こそ女だろ。もうあいつみたいな陰気くさい荷物持ちなんてこりごりだ」


「そうですね……今や私たちは天下のA級パーティーですもの。となりますと、メンバーも厳正なる審査を通して選ばれた者だけが所属するべきであるかと」


「あーその辺のめんどくさいチョーセーはお前に任すわルーナ」


 カムイは鬱陶しそうに手を振って片手にあるジョッキを豪快に飲み干した。


「ぷっへぇ!お前らものめのめ!今は補充メンバーなんてんなちっせえこと忘れちまえ!!たーんとのめ!!」


「ふっ……それもそうですね」


「あと30日もあるんだもんねーっきゃははは!」


 こうして彼らは店にある酒をあるだけ飲み尽くしていった。

 その為にこれまでクエストで稼いできたお金は大量に散財することになったが、リーダーのカムイはこれを許容しむしろ存分に使うように指示した。


「じゃんじゃん使えよ!金なんて大層に抱えて持ったままいてもなーんにも意味ねぇからな!俺たちはAランクパーティーだぞ!?クエストをクリアすればこんなはした金ちょちょいのちょいよ。むしろあれだべ?俺らが金いっぱい使えばケーザイ?も循環してウハウハなんだろ?」


「きゃーカムイ様ったらか・し・こ・い〜何の話かはさっぱりわかんないけどーきゃはっ!」


「安心しろ!俺も分からん!!はははは!ひっく!」


 全員酒に酔いつぶれ、楽しそうに歌ったり踊ったり、酒場の人間を巻き込んでどんちゃん騒ぎに乗じていた。


 メンバー追加有効期限まであと29日。

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