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追放side カムイの視点 S級クエスト攻略編

 俺たちはまさに今超難易度を誇るS級のダンジョン『古龍の洞窟』を絶賛探索中だった。

 ランクS相当というのはギルドの連中が勝手に打ち出した推定難易度だったが、俺たちにとってはこんなのなんでもない。


 ホント何でもないクエストのはずだった。

 だがしかし……。


「ちょっと!なんなのよこのメタルゴブリン硬すぎ!!」


「おい!誰かリカバリーできるやついねぇのかよ!」


「回復が間に合いません……!一旦引きましょう!」


「バカ言うなルーナ!!俺たちは天下のAランクだぞ!!こんなところで尻尾巻いて撤退なんかできるか!」


「ねぇここどこなの?何回もおなじとこ通ってる気がするけど」


「おい暗いぞ!誰か【閃光魔法(フラッシュ)】使え!!」


「無理ですよそれできるバカもういないんですから」


「は?こんだけいりゃ誰か一人くらい使えるだろ?おい新入り!お前なんか光魔法ばーっとやってぱーっと明かりつけろ!」


「ひいぃ、そ、そんなの無理ですよ!魔法の重ねがけなんて現実的にあり得ません!!」


「うるへー畜生!あのクソザコ魔法オタク男ができたんだからA級のお前ならできるだろ??」


 などと戦闘・移動共に最悪の滑り出しだった。

 これでもコンパスを眺めりゃまだまだ第一層の始めらへん。

 もう最悪だよな。


「もう何やってんのよ新入り!!あんたが足引っ張ってるから先に進めないじゃない!」


「えっわ、私のせいなんですか!?」


「他に誰がいんのよ!!」


「えっと……全員ですけど……」


 ミシロがそんなこと言うもんだから全員もう火のようになってキレはじめたわな。


「はぁ!?自分ができないこと棚に上げて人に指図する気!?ちょーっと地元じゃ魔法が使えてAランクだったからって調子に乗らないでくれる?!」


「じゃ、じゃあ聞くんですけどソアラさんは何したんですか?ルーナさんもカムイさんも……」


「アタシにはアタシの仕事があんの。攻撃魔法とか」


「じゃ、じゃあ攻撃魔法以外は何もできないんですか?」


「うっさいわね。そういうアンタだってあの荷物持ちの半分も活躍できてないじゃない。ホントよくAに上がれたわね」


「まぁまぁお二人ともその辺にしましょう。いいですかミシロ。私たちはただのA級ではありません。超一流のA級なのです。あなたは多分、これまで自分が普通のA級しか経験したことがないから私たちのやり方についていけてないのです」


「そ、そんな……」


「そうそう。ま、俺から言わせて貰えばミシロの意見も一理ある」


「カムイ様!?」


「俺含めてお前ら全然本調子でてねーぞ。普段ならあんな雑魚どもに遅れをとることなんてねーだろ。浮き足立ってんじゃねーのか?」


「それは……」


「はじめてのS級クエストで緊張すんのはわかる。が!それといつもどーりやんのは話が別だ。いいな俺たちは最強だ。それを忘れんな。いつも通りやっときゃいいんだよ」


「そ、そうですね……」


「アタシが間違ってた……流石カムイ様……」


 ふふ。全くすぐ俺がこうして軌道修正してやらねーとダメダメな救いようのねぇバカどもだぜ。

 それにしてもおかしな話だぜ。

 いつもなら剣でこうばーっとやりゃあ一撃なのによ。


 憎らしいあいつに補助魔法使わせてあとはみんなでバーンってやんのがパティーンだったが……あ、そうか。


「おいミシロ!お前補助魔法使えよ!」


「ほ、ほ補助?え?」


「なんかあんだろ【攻撃力増加】ーとか【筋力強化】ーとか」


「そ、それって結構センスがいる魔法ですよ?第一基礎必修には存在しない魔法ですし……今からだと本か何か読んで覚え直さないと……」


「んだよそんなに難しい魔法なのか?」


 俺はソアラとルーナに聞いてみる。


「さぁ……」


「アタシもそんな地味な魔法使おうと思ったことないからわかんない」


「しゃーね。こうなったら補助魔法なんざもういらねぇ。俺が先頭に立つ。っていつもか」


「うん。いつも通りだね」


「ええ。いつも通りですわ」


「よーし俺がボッコボコのバッキバキにして道をひらくぜ!」




   ◇ ◇ ◇




「くそぉおおおお!なんだってんだよこいつらぁあああ!!」


 古龍の洞窟にはメタル化という全身謎の金属化を果たしてる化け物どもがうじゃうじゃといやがる。

 奴ら呪文は効かねーし中々硬すぎて倒れねーしで、通常モンスターにおっそろしい特性が追加された化け物連中だった。


 一対一ならまだなんとかなったんだが、元のモンスターの特徴まで引き継いでるからか6匹とか8匹とか馬鹿みたいな数で物量戦法でゴリ押してきやがる。


「【炎龍魔法(ファイアドラグーン)】!!……嘘でしょ?メタルじゃないやつにまで効かないなんて!」


「ドラゴン系は魔法攻撃には高い耐性があるのよ!」


「じゃあ魔法使いなんにもできないじゃん!!バカなの?このダンジョン設計した奴頭おかしいの?!」


「えーいこの際だ!もういいミシロ。お前ちょっと行って囮になれ!」


「い、いやですよそんな!死ぬに決まってるじゃないですか!」


「バカ!お前よりだいぶ弱いゴミ男でもできたんだ!もっと優秀なお前ならできる!自分を信じろ!!ユーキャンドゥーイット!!」


「は、はい!やってみます!」


 しかし彼女の懸命な努力も虚しく、突如として出現したブラックドラゴンの一撃で薙ぎ倒され、更には下半身から順に食われていってしまった。


「い、いやだああ助けてくださいカムイさぁあ」


 ガブリッ。

 まだ入って間もない新加入のミシロはブラックドラゴンに食われて死んだ。


「ミシロぉおおお!!てめぇよくもミシロを!【龍斬り一閃(ドラゴン・ブレイク)】!!」


 しかし俺の放ったドラゴン特攻の剣を、奴の黒くて硬い皮膚は全て傷一つなく受け止め逆に尻尾の一撃で跳ね返してきた。


「ぐっ……はっ!」


 い、痛ぇ……!

 食らったことないような強烈なダメージが腹部をチクチク襲う。

 口からは俺の高潔な血が溢れてきやがる。

 なんなんだくそっ!!一体なにがどうなってんだよ!!

 俺たちは超一流だぞ!

 こんなところでピンチになんて……ピンチになんてなるはずがねぇじゃねぇか!


「カムイ様!もう引き返しましょう!!このままだと確実に殺されてしまいます!」


「ええい黙れ!俺たちまだ魔神にさえ会ってないんだぞ!?このままノコノコと尻尾巻いて逃げられるかってんだ!」


「そ、そうよ!まだやれるわ!ここで帰ったらなんにもやってないうちからクエスト失敗よ!!それだけはいや!!」


 というわけで俺たちは戦線からは離脱したが、どんどん先に向かって無我夢中で進んでいくことにした。

 そうして決死の思いでどうにか第二層にまでたどり着いた。

 全14層。あと12層もあるとかま、マジかよ……。

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