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VS魔王②

 第二形態に突入した魔王の熱線が周囲の平原を火の海に変えてしまった。

 炎の檻に閉じ込められたように僕たちを炎で囲っていた。

 まあ逃げるつもりなんてさらさら無いけどさ。


「グハハ!我と貴様にとって最高の舞台を用意してやったぞ!さぁもっと我を楽しませてみせろ!」


「お望み通りとはいかなくても――ご期待には沿わせてもらいますよ!」


 さっきよりも力を込めて魔王の腹部をぶん殴ってみたが、今度は全く微動だにしなかった。

 かけらも動いていない。ものすごく硬いものをぶち殴ったような……。

 触れてみてわかる、途方もない何か巨大な山でも押しているような感じだ。

 これでは何度殴っても効果はないだろう。


「クソ……一体どんな防御魔法を使えばこんなに……」


「おいおい貴様。何か勘違いをしているようだな」


「?」


「今の我は防御魔法など何一つ使ってはおらんぞ。正真正銘これが我の肉体そのものである」


「何……だと?」


 これが本気を出した魔王の完全な防御力だというのか。

 冗談じゃない。だったらお次はこれだ。


 錬成で剣を作り出し、複数の属性魔法を融合させる。


「ほぅ……今度は何を見せてくれるのかな?」


「みてろ……【森羅万象斬】!!」


 大気を震わせる巨大な一撃が魔王の肉体に直撃した。


「ぐおおおおあああッ……!!」


 衝撃波が平原についた炎の檻を掻き消し、さらに曇っていた空を真っ二つに割って太陽の光が顔を出した。


 どうだ。これならさしもの肉体でもダメージを……


「なんちゃって」


 魔王が胸部を膨らませ思い切り息を吐きつけると、僕の剣と共に森羅万象斬を弾いた。


「ぐわっ!!」


 だめだ。まるで効いていない。

 い、いや。それどころか斬りつけた部分には傷痕一つ付いていない……!


「まあまあの一撃だったな。これが伝説の剣であれば我に一太刀くらいは浴びせられたものを」


「な、なんて硬さなんだ……!くそっこうなったら……」


「おっと先に言っておくぞ。いいな?絶望するなよ?我の肉体にはあらゆる属性魔法の耐性がある。貴様がどんな魔法を使ってこようが、まともな傷になることはまず無い。いいな?」


「く……そんな……」


「どうした?それを理解した上で攻撃してくるんじゃないのか?それともここで芸も終わりか?」


 僕の使える魔法なんて基礎しかない。

 あらゆる魔法に耐性を持つということは、それを貫けるだけの強大な魔法を使うしかない。

 そんな魔法――覚えているわけが……


「あった……」


 一個だけあったじゃないか。

 なんならついさっき見せてもらったばかりだぞ。


「む……?なんだ?ようやく諦めて降伏の姿勢を見せたか?だがもう遅い!!我を怒らせたこと、存在ごとこの世界から消えても償い切れなかろう!!」


「そんなんじゃないよ魔王様。ただもしかしたらって希望に縋るのは人間の悪い癖でね」


 周囲に巨大な魔法陣を呼び出し、目を瞑って記憶の彼方から正確なイメージを持ってくる。


 大丈夫。『目で見て』、『肌で感じ』、『詠唱を記憶』したのだ。

 そのまんまって訳にはいかないけど成功する見込みは高いだろう。


「なんだ……貴様一体何をしようとしているのだ!?」


「【究極魔法】――【隕石(メテオ)】」


 魔王がついさっき放ったメテオを、魔王にぶつけてみることにした。

 そしてそれはどうやら成功したようで、天空からは巨大な隕石群が三つほど飛来してきた。


「な、なんだと!?人間にメテオが使いこなせるはずが……いや、貴様ならもうなにをやっても驚くまい!!いいだろう!我の装甲をもってこの一撃を受け止めるとしよう!!」


 魔王様が受けてくれることをいいことに、僕はメテオの軌道を一直線に集めた。万が一地面に激突して大陸が消し飛んでしまったら、それは魔王がやったのと結末的には何ら変わらないバッドエンドだ。


 狙うは魔王のあの硬い肉体のみ。

 あらゆる魔法を通さないとは言っても、究極魔法ならば流石に防ぎようがないはず。

 天より降り注がれた三つの巨大隕石を受け止め、魔王は唸り声をあげていた。


「うおおおおおおおお!!こんなものおおおお!!」


 しかしそれらは魔王の体に直撃したのち大爆発を起こし、ひとつ、ふたつと次々に隕石が魔王にぶつかると同時に爆発していき、風と大気は荒れ狂いながら空間を湾曲させ、周囲の物質を巻き込んで膨張して砕け散っていった。


 とてつもない光と音の爆風をやり過ごした後、爆心地は跡形もなく大きな穴が空いており、土煙がそこら中に溢れかえっていた。


「やった……か?」


 これがフラグでないことを今は祈るばかりだった。

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