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ギルドにて 〜お帰りなさい〜

「ふぁあ……何もすることねぇなぁー……暇つぶしにギルドお手製のスライムでも街に放つか――ておわあああっ!!お、お帰りなさいロシュアさん……」


「ただいまガーベラさん」


 シャレでとんでもないことをやろうとしていた彼女の前に僕たち全員が集結した。


「おや?また新しい女つれてるじゃないの色男。しかもハイエルフ様とぁ異種間ハーレムか。どんだけ手ぇ早ぇんだこの節操なしが」


「随分と酷い言われようだけど違うよ!?この人はリーネさん。禁断の地調査に向かった時に偶然出会って……そこから僕らに同行してくれることになったんだ」


「人間のギルドに訪れるのも久しぶりだなぁ。よろしく頼む」


「へぇへぇ。するってぇと貴女がウワサのエルフの支部からの……」


「あぁ。だが私よりもロシュアの方が大分――いや、想像以上の存在だったよ。私なんかとても及びはしなかったよ」


 リーネさんはかなり言葉を選びつつ、声を震わせていた。

 しかし彼女の森羅万象斬が無ければどうなっていたかわからない。

 そんなに自分を卑下するほどのことではない。


「あ、そうそう。ダリアが色々発見があったって息巻いてたよ。会いにいったら?」


「そうします」


 ガーベラさんから合鍵をもらい、ギルド2階の裏にあるというダリアさんの研究室に入っていった。


「お邪魔しま〜す……」


「人の気配っ!?ああっ貴方ね!!ずっと待ってたわよ!ベヒーモスありがとうね!……で何か進展はあった?」


「ええ。最深部にはこれが……」


 僕は封印の壺の破片を全て取り出してダリアさんに見せた。


「これは……何かの陶器かしら?かなり旧式みたいだけど……」


「はい。それは封印の魔法が込められた壺だったんですけど……どうやらそこから一連の事件の原因となった『魔王』が封印されていたそうなんです」


「なんですって!?魔王ってまさか――ラ・デジャーク・ド・ヴォルじゃないでしょうね?」


「ラ……何ですって?」


 僕が一先ず一から十まで説明を終えると、彼女は色々納得したように頷いて諸悪の根源――魔王について説明してくれた。

 炎の精霊様が生まれるよりももっともっと、気の遠くなるほどの昔に魔王は生まれました。

 魔王は生まれながらに強大な闇の力を持っており、世界全土を闇に包み込もうとしました。

 対する光魔法を持っていた神様とその仲間たちが、魔王の侵略行為を止めるべく聖戦を繰り広げました。

 やがて神と魔王は痛み分けの形を取り、神は自らの子孫として神徒(後の世の精霊や妖精)を残して自身は空高くいつまでも人々を見守るべく「太陽」と呼ばれる天体へと姿を変えました。

 破れた魔王も人間代表によって封印の儀を執り行われ、二度と目覚めることのないよう、代表は戒めを残し壺の奥底に魔王を幽閉しました。

 しかしそれだと1000年後に魔王がもう一度世界を暗闇に包む危険性がありました。

 そこで人間代表の英雄は、自らを壺の『蓋』となることで魔王を自身と共に永遠に閉じ込めようとしました。

 そこから封印は一度も破られることはなく、人類は平和に暮らしていました。


 長い年月が過ぎ、人間はこの恐ろしい究極の闇を洞窟に隠すことにしました。

 見つかれば誰かに悪用される可能性があるため最下層の深部に。

 現に神と渡り合った魔王には、それに魅せられた様々な人物によって邪教団なるものが設立されるほどのカリスマ性を見せ未だに根強い信仰を誇り、魔王が封印されたという壺を探し求めてあちこち彷徨っていた。


 教徒たちの懸命な捜索にも関わらず、魔王の壺は発見できなかった。

 しかしまたまた月日が経ってようやく僕たちの時代になってきた時壺が発見され、その強固な封印も僕とパーティーのせいで台無しになり、ついには神話の怪物が平和な現代に蘇ってしまったという大ポカをやらかしてしまったのだ。


「でそのラ・デジャーク……通称ジャークってのは古い文献や資料を読み込んでるとチラホラ出てくる名前よ。古代スカール語で『破滅』とか『厄災』って意味が何度か確認されてるわ。その闇をもたらすという性質上、ただ歩くだけで地は割れ、火山は噴火し、海は大荒れするというようにとにかく存在自体がやばいやつよ」


 そうして歩いているだけで、魔族の王特有の濃ゆすぎる瘴気をそこら中に撒き散らし、あちこちで魔物を生み出しているのか。

 まさに闇をもたらす者に嘘偽りないすごい能力と強さだ。


 話聞いた後であれなんだが、こんな恐ろしい怪物がいるところにいかねばならんですか?自分行きたくないのですが

 などと通すつもりはない。

 そりゃ僕ら以外が相手するなんて不可能だけどさ。

 いくらなんでもちょっと……。


「心配しないで。貴方が送ってくれたベヒーモスのデータとか色々見てたら、奴が次にどこへ現れるのか正確な予測ができたわ」


「よかったです」


「……ということは今が最終決戦に相応しいパーティーになるってことね。ちょうど4人だし!」


「あ、そうか」


 人数は揃ってるし、これでパーティー登録すれば正式にこのメンバー全員で活動ができるようになるのか。

 うーんネーミングどうしよう。


 いやそもそもそこじゃなくて、

 相手がまずどう言ってくるかを聞いてこなくちゃ。

 快諾してくれるのか、それとも……

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