ダンジョン大改造!劇的Before and After
「うーん……やっぱり私にはロシュアさんが封印を解いちゃったとは思えないんですよね」
「……まぁその辺のあれこれはギルドが調査してくれることだろう。とにかく我々はその壺を持っていくとしようじゃないか」
「そうだな……あ、それじゃここ入れるように設備しておかないとね」
「まぁ禁断の地だからな……ん?今なんて?」
「だからさ。ここギルドの一般職員でも入れるように綺麗に整備しておこうかなってさ」
幸いなことに今は魔物もいない。
多分封印を解かれた魔王によってこの洞窟にいた魔物は皆一掃されてしまったのだろう。
番人であるストーンゴーレムも撃破したことだし、早速心機一転リフォームに取り掛かるとしよう。
「みんな一応離れててね。流れ弾に当たると危ないから」
まずはこの洞窟全体に漂う陰気なオーラを吹き飛ばそう。
【風空魔法】を発動し、紫の瘴気を洞窟の外まで押し出す。
魔瘴が洞窟外の青空まで消えていったのを確認したら、お次は地面だ。
でこぼこと凹凸が激しく、引っかかって転んだ旅人が怪我をしてしまう危険性がある。
【大地魔法】を使って地面の土や岩を粘土みたいに柔らかくしてこねあげる。
む。入り口がやや狭いな。
ちょっと広げ気味に壁から作り替える。
内装を整えたら今度は洞窟中の壁や床を【鋼鉄化魔法】で固定させよう。
そういや薄暗い問題解消してなかったな。
木の枝をかき集め、【錬成】で【材木】を生み出す。
立派な木を手頃な大きさに切り揃えたら【炎魔法】で炎を付けるとあら不思議。素敵な松明の出来上がりですよ。
これを【複製】でとりあえず120本くらいコピーする。
とりあえず左右60本ずつ道なりに置いていけばそれっぽくなるか。
うん。なんだかどっかの城っぽくなったし、これで明るくなったろう。
それでも火が消える時とかに備えていくつか窓でも作っておこう。
再び窓をつける箇所の壁を泥にして溶かす。
円形にするか。
十字のあれは材木で埋めるとして……。
ガラスって錬成できるかな。
ちょっと近所の窓借りるか。【転移魔法】。
おおっ。良い感じのところにお家発見。
すいませんが、ちょっと窓お借りしますよ。
「あ!おいこらガキ!!何ヒト様の家の窓取っ払おうってんだ!!」
まずいっ。中に人がいたとは。
「すみません!ちょっとガラスが必要なんです!【再生】!」
僕が取った窓が元通りになった。
木こりのおじさんは唖然として言葉を探していたが、それを待つことなく再び【転移魔法】で洞窟に帰ってくる。
よし。ガラス調達。
あとはこれを複製で増やしまくっておこう。
そうしてできたガラスと材木、そして壁に向けて【錬成】を発動して窓を取り付ける。
でこの窓も複製しておこう。複製で増やしたクローン窓をあちこちに貼りつけて、ようやく窓の取り付けが完了だ。
ふーっ。魔力使うとある意味走り回るよりしんどいな。
まーあとはカーペットでも敷けば箔がつくだろう。
こういう時便利なのが【等価交換】だ。
今ある現金のうち金貨一枚(10000ジール)を絨毯屋さんのカーペットと交換する。
価値が足りていれば交換可能となる。そうでなければ帳尻合わせが行われる。
パッと手元から金貨が消失し、カーペットが出現した。
よし成功したようだ。
【伸縮魔法】でこいつを引き伸ばして、祭壇から入り口まで広げることにしよう。
さぁどうだ!!だいぶこのダンジョンの印象も変わったことだろう!
おっと。魔物が立ち寄らないように【退魔封印】の魔法を入り口と出口にかけておくとしよう。
これで中に入ってから襲われる心配もなくなる。
いざという時のために緊急脱出用のギルドへ転送される魔法が編み込まれた魔法陣でも用意しておこう。
設定移動可能メンバー・兎の亜人と人間オンリー。
こうしておくことで間違って襲ってきた魔物ごと飛び込んでくることもない。完璧だ。
しかし何か物足りないな……うーん。
「花でも飾るか?」
そうしてその辺に咲いていた花を複製して入り口と足元に飾っていった。
なんかもう完全に禁断の地からイメージ離れして、どこかのお城か娯楽施設みたいになったな。まぁいいや。
「じゃあ行こうかみんな」
「あ、え、あウン……」
所要時間大体10分くらいかかってしまっただろうか。
待ちくたびれていたみんなは変わり果てた洞窟を見て口をパクパクさせているばかりだった。
「【転移魔法】」
目指すはダリアさんのいるギルド。
今回の件でまた大きく研究が進行するだろう。
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