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第98話 幻の街と死闘17

「サキちゃん、どうしようか」

「無限に続く道って事ですよね。その中に閉じ込められたって……かなりピンチだったり!?」

「いや、さっきからそう言ってるよね!?」


 俺とサキは俺が傷をつけた壁の近くで座って作戦会議をした。

 この空間内に居るアンデット等は全員倒したから少しは休んでも大丈夫だろう。

 しかしこのままではいくら頑張っても抜け出すことは出来ない。


 迂闊だった。まさかこうも簡単に敵の罠に嵌るとは思わなかった。


「ヒロトさん、どうしましょう」


 不安そうにサキちゃんは俺を見てくる。

 そうだよな。こう言う時はいつも俺が引っ張って来た。


 カナタ、ユユ。あの二人と共に戦ってきた経験値があればここをなんとか突破出来るはずだ。

 これは魔力なんだ。魔力、つまり魔法なんだ。


 そして全ての技を打ち消す魔法、上書き。やってみる価値はある。


 俺は立ち上がって魔力を目に集めた。

 これは無属性の基本の構え、これをやらなかったら偶然発動することはあるかもしれないが大体の確率で失敗する。


 だけど使用方法がわかっている今は違う。俺は出来る、自分に言い聞かせる。


「やる! 『上書き』」


 その瞬間だった。

 ゴゴゴと大気が揺れ始めた。その次に空間がボロボロと崩れ始めた。

 同時に霧が晴れてくる。


 よし、成功だ。そのまま俺達は意識を手放した。


 ☆☆☆☆☆


「う、うぅ……」


 俺は気が付くと廊下のど真ん中で眠っていた。

 その隣にはサキちゃんが眠っており、それを見て俺は揺すり起こした。

 揺すり起こすと「うゆ?」と可愛い声を出しながら目を覚ました。


「お兄……ちゃん?」


 ドキッ。ぽわぁっとした瞳で見つめながらか弱い声でお兄ちゃんと呼ばれたことで少し心臓が飛び跳ねた。

 本物の妹が居るってのにお兄ちゃんと呼ばれて喜ぶなんて気持ち悪いかもしれないが俺はこれで頑張れそうな気がしてくるのでどうしようも無いなと心の中で苦笑いをする。


「おはよう。サキちゃん」

「…………っ!? ち、違うんです! 私にはお兄ちゃんが居るのでそれと重ねてしまったと言いますか!?」


 慌てた様子で弁解をするサキちゃんが可愛くて思わず顔が綻んでしまう。

 いつまでもこうして居たいが、いつまでもこうしている訳にもいかないだろう。


「やっと抜け出せたんだ。ここで足止めを食らった分、急ごう」

「……はい」


 俺達は再び歩き出した。

 今はもう霧も無く、歩くと直ぐに端までたどり着ける事が出来た。

 そこにはとても大きな扉があり、如何にも重要そうな扉。この扉の先は危険な香りがする。


 が、俺たち二人は既に覚悟を決めていたのでサキちゃんとアイコンタクトをしてから二人でせーのの合図とともに扉を押し開けた。

 するとその瞬間、俺達の視界に飛び込んで来たのは、


「ぎゃ!?」


 ネズミみたいな男だった。

 ネズミみたいな男はスーツを着て何か機械を操作しているようだった。何をしているのかは知らないが、ここでそんな事をしている奴は敵くらいなものだろう。

 俺は睨みつける。

 するとネズミ男は「ギョッ」と言って固まる。なんだコイツ。


「あんたは何者だ」


 俺はなるべく相手を威圧するためにドスの効いた声で問うた。するとネズミ男はマイクを取り出して機械を操作した。

 するとこの部屋の奥にあるステージがライブ会場のように光り始める。


「ぎゃーははは。俺っちはこの研究所で働くしがないネズミ男、ガラン! この視線にある装置は全部俺っちが管理してるぜベイベー」


 ネズミ男はマイクを持ちながら踊るとテンション高めに自己紹介をし始めた。

 これ、面倒な奴だ。

 しかし今の自己紹介の中の装置の管理。つまりこいつが居なくなれば変なトラップは解除出来るんじゃないか? そう考えた。

 ならやる事は一つだ。


「それじゃあ、そこを退いてもらおうか」


 カラタさんから教えて貰った威圧を早速使用する。

 台詞を言ってから睨みつける。どうやらアンデットじゃなさそうだから効くだろう。そう思ってやったのだが、結果は――


「ギョッ!」


 少し声を出すだけに終わってしまった。

 ネズミ男はおちゃらけた風によろけ、再び踊りを再開する。どう見ても奴は俺らの事をナメ、おちょくっている。正直気分のいいものでは無い。

 しかしここで激情して無理攻めをするのは得策では無い。少し様子を見るんだ。


「しーかし? 君達があの『無限の空間(ジ・インフィニティ)』を抜け出してくるとは思わなかったぜ! あれは俺の闇属性魔法なんだぜ」


 なるほどこいつの仕業だったわけか、中々いい策だ。多分俺達の力では上書きが無かったら一生あの中から抜け出せなかった可能性まであった。

 だが、今俺達はここに居る。


「どうせ最初から気づいていたんだろ? なら今更だよな。暴れるのも、勝手だよな」

「ヒロトさん?」


 俺は目に魔力を集め、無属性魔法の構えに入る。

 手をネズミ男に翳し、魔法名を叫ぶ。


「来い『フックアンドショット』!」


 その瞬間踊っている間にネズミ男がこちらへ引き寄せられた。

 それによって目を見開いてネズミ男は驚き、バックステップで俺から距離を取ろうとするが、尻尾が置いていかれたのを見逃さなかった。


 俺はすぐさま尻尾を掴む。すると空中で尻尾を掴まれたネズミ男は掴まれている為、バランスを崩して倒れてしまった。


「ぐ、はぁなぁせぇっ!」


 ネズミ男は蹴りを放って俺に抵抗するが、俺は最低限の動きだけでその悪あがきを躱しハンマー投げの要領で回す。

 ネズミ男は直ぐに目を回し、抵抗が無くなった。

 ちょっと痛いと思うけど、


「頑張ってこいよ」

「ひっ」


 ネズミ男は俺の顔を見て恐怖の表情を浮かべた。

 俺はそんな恐怖を感じているネズミ男をハンマー投げの要領で投げ飛ばす。

 その投げ飛ばしていた先に有った物とは、


 ガシャーン! さっきまでネズミ男が操作していた装置にクリーンヒット。装置を破壊して止まった。

 破壊された装置は原型も留まらないくらいにグシャグシャになり、一目見ただけでもう使い物にならないってことがすぐに分かる。


 恐らくあれがトラップの肝の装置。あれが壊れればトラップはもう発動しなくなる。


「さぁて、よくも俺達を閉じこめてくれたな。よし、気が向いた。今からお前を斬る」

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