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第82話 幻の街と死闘1

 俺達は飯を食い、店から出てくる。

 今日はもう街に夕日が差し込み、一日の終わりを告げているため、カラタさんへの報告を断念。

 パイプは飯を食った後満足そうに帰って行った。

 そんなこんなで俺らは家に帰って来た。

 帰って来て俺は例の強制スキル発現薬の資料をテーブルに大きく広げ、睨めっこしていた。


「これってヒロさんの元いた所の文字でしたよね」

「ん? ああ」


 隣にユユが居て、いつもならカナタは飯の支度をしているが、ほぼ晩飯的な時間帯に飯を食いに行ったのであれを晩飯とし、俺のもう片方の隣に居る。

 そして二人とも俺の前にある資料を覗き込んでいるため、とても距離が近く、女の子の匂いがダイレクトに伝わってきてクラクラする。

 こんなことで気を取り乱していたらダメだ。今は集中しないと!

 分かっているが一度気になった事がそう簡単に気にならなくなるわけなくて……。

 そうだ。素数を数えよう! 3.14159265……ってこれは円周率だ!


「ヒロ、すみませんが私達では読めないので読み上げて頂いてもよろしいですか?」

「あ、ああ。良いぞ」


 カナタの声で漸く現実に戻ってきた俺は日本語で書かれた文章を読み上げ始める。


「強制スキル発現薬。人間の体は全力を出せないようリミッターがかかっている。なぜなら常にそんな力が出ていると体が壊れてしまう可能性があるからだ。だが、そのリミッターをかけられた一部の力を取り出すことが出来ることがある。それがスキルだ。スキルは安全に残った力の一部を取り出すための技術であり、その力の一部を何かしらの力として発動するものである。しかしそれを強制的に発動させることが出来る薬がある。それを強制スキル発現薬と言う。強制スキル発現薬は人間の体内の細胞を活性化させ、体に負荷をかけることでリミッターが外れやすくするという物だ。しかしリミッターが外れやすくなるって言うことは、ちょっと力加減を間違えてしまえば即座にリミッターは解除されてしまい、全力を出してしまった体は(たちま)ち崩壊を始める。

 そんな薬はXX年〇月×日、使用を全面禁止された。理由は危険すぎるが故だ。しかし一つの街だけが開発を辞めていないと言う噂がこの街にも届いてきた。

 その街の名は――ルーダン」


「ルーダン!?」


 カナタは目をくわっと開けて、驚きを表す。

 対するユユはあまりピンと来ていないようで首を傾げている。

 だがカナタは知っていることには間違いないだろう。


「ルーダンの事を知っているのか?」

「はい。ルーダンとはアルケニア王国内にあるはずなんですが、地図では記されることはなく、誰も見た事がある人はいないとされている幻の街です。しかし不思議な事に名前だけがあるんです」


 名前だけがあり、地図に記されず、誰も見た事がない幻の街か。それは摩訶不思議な話だな。

 誰も見た事がないと言うならばその街の名前があるはずがない。あるってことは昔に誰かが見た事があるってことだ。

 つまり実際にそのルーダンと言う街はこのアルケニア王国内に実在するんだ。

 そうなると何か見れない理由があるのか?


「カナタ、認識阻害魔法って可能性はあるか?」

「そんなの出来るのはヒロくらいでしょうね」

「俺くらい? どういう事だ」

「だってブーストをあんなに持続できるのはあなたくらいです。あの魔力を持ってしたら多分街一つを全て囲えるでしょうね。普通は一部でも囲うのは一苦労なんですよ」


 以前俺の魔力は特別製だとカラタさんに言われた。

 確かに一発放つのでも一苦労なはずの聖光の波動も最近では二発はギリギリ撃てるようになった。

 属性の説明書によると元々闇と光の属性の者は魔力多めなのだという。だからそれに合わせてその二つの属性は使う魔力が多いから他の属性では使えないんだとか。

 しかしそんな光の中でも俺の魔力は(ひい)でているらしい。何せ二発も撃てるのがおかしいらしいからな。


「となると魔法では無いか……。そうなると地図には載らない理由。……もしかすると」


 そこで一つの可能性が浮かんだ。

 地図には載らない可能性のある一つのことが。


「何か分かったんですか?」

「ああ、これを見てくれ」


 そう言って以前に図書館から借りてきた地図帳を広げる。

 その地図帳はカラーで書かれており、地形なんかも色々と細かく書かれている。

 普通はこれを何の変哲もない地図帳だと考えるがこれが肝だと俺は考えた。


「この地図は地形とか細かく書かれている」

「ですね」

「だからダメなんだ」

「え?」


 カナタの驚く声。

 まさかそこに目をつけるとは思っても居なかったのだろう。だがこれが地図帳に載らないけど存在する街の真実だ。


「この地図帳は表面だけが記されている。どこにも地面の下(・・・・)の事なんて書いてないだろ?」

「え!? あ! そういう事ですか!」


 ここで俺の言いたいことが分かったのだろう。

 カナタは少し説明すれば直ぐに理解してくれるから教えるのも苦じゃなくて良いな。

 まぁここから導き出すに、


「幻の街、ルーダンは『地底街(ちていがい)』だという事だ!」


 地底街。その名の通り地下に存在する街だ。

 だが疑わしいものもある。まず第一にそんな地下に街を作ることは可能なのかどうかだ。

 しかし俺は全然そんなことは気にしていない。この世界なら出来てもおかしくないと思えてしまうからだ。

 そしてそんな街があるのだとしても地図には載らなくても誰かが見つけるのではないか? 等という問題がある。

 だが、そんなことはこの一つの言葉で全てケリが着く。


「ルーダンと言う地下街は完全に埋まっている」


 という事だ。

 完全に埋まっているなら自然に気付くことなんて不可能だ。


「ま、待ってください!」


 そこまで言ったところでカナタから待ったが入った。


「もしその事が当たりだとして、ハルト選手はその地下街に居る(・・・・・)って事ですよ!? どうやって地上に上がってきたんですか」


 そう。一瞬俺もその事に悩んだ。

 どんな手段で上がって来やがったか。だが、そんな話はこの世界の事を考えれば直ぐに応えは出る。


「お前ら今まで何の特訓をしてきたんだよ」


 呆れた風に言うとカナタは小さい声で答える。


「魔法ですが……は!?」


 カナタも気づいたようだ。


「カナタが俺と出会ってすぐの頃に見せてくれたワープだ」


 ワープは以前カナタが俺を城壁の上に連れていくために使った魔法だ。

 上下方向にテレポートできる。

 つまり地底から地上へだって行ける可能性はある。


「ワープ……確かにワープならば上下方向の移動ができますね。ワープを使えば街と地上が直結していなくとも行き来が出来ますね」


 ワープ。その魔法があるお陰で地下という可能性も出てきたルーダン。

 俺達はまだ知らなかった。まさかあんなことになるなんて……。

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