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第64話 思考

『これで一回戦を終了します。十五分の休憩の後、第二回戦を開始したいと思います』

 ハルトの試合の後、何試合かして第一回戦は幕を閉じた。

 俺にとって印象に残っているのはカラタさんとハルトだ。


 カラタさんもハルトも一回戦を圧倒して勝利、俺はと言うと不意をついて勝利。

 瞬殺したと言ってもカッコ良さが段違いだ。

「ゴー、たまたま見つけた魔法だがめちゃくちゃ強いな。相手の不意を突くには十分すぎる力だ」

 先程の反省をしながら俺は歩いていく。

 どこへ? カナタとユユのもとへだ。休憩時間だしカナタとユユのもとへ行っても支障はないからな。


 そして俺は二人のもとへ着いた。

「お疲れ様です」

「カッコよかった〜」

 カナタは俺を見つけるなり労ってくれ、ユユは恍惚とした表情でずっと「カッコよかった〜」と連呼している。

 かっこいいと言うならばカラタさんとハルトに言ってやれ、あっちの方がかっこよかったから。

「それにしても随分アウェーでしたね」

「ああ、あそこまでバカにされるとは思ってなかった」

 まぁその後、対戦相手が油断して自滅してくれたから有難かった。相手が真剣だったら勝てたかどうかは怪しいもんだ。

 そして俺はカナタから水入ペットボトルを受け取り、一気に飲む。


 ……熱い。

 元いた街は結構住みやすい気温だったが、ここら辺一体は熱いのだ。

 暑すぎて戦っている間も汗が止まらない。その為、喉が渇いていて参加者はみんな水をがぶ飲みしている。

「俺、水がこんなに美味いと感じたのは初めてかもしれない」

 小中高と部活、習い事を一切やってこなかった為、運動後に水を飲み、美味しいって思うことがなかったのだ。

 しかし本番はここからである。

 上に大きく表示されたボード、そこを見てみると俺の隣がカラタさん。つまり、二回戦の相手はカラタさんなのだ。

 カラタさんの戦いは何度も見ているから知っている。あの人はとんでもなく強い。

 そして油断するような人でもない。

 基本相手の隙をついて行動している俺にとってはかなり厳しい相手ってのは間違いないだろう。

「カラタさんの属性は風ですから遠くからの攻撃には注意してください」

「ああ、」

 俺は結構魔法のレパートリーはあるからそこら辺は何とか対処できるだろう。

 問題なのはどうやって気絶やら突き落としやらするかって所だ。

 恐らく近づいたらバッドエンドだろう。瞬殺される未来しか見えない。

 つまり、俺も遠くから攻撃を……。

 だが、遠距離技は聖光の波動しか持っていない。どうすればいいんだ?

「とりあえずカラタさんを出し抜けるよう頑張ってくるよ」

「はい、頑張ってきてください」

 少し休憩できたのでここで控え室に戻る。

 背後から応援の言葉が聞こえてきて少し泣きそうになってしまった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「次はヒロト君だね。あのカラタさんはとても強いから気をつけて」

 ハルトはすれ違いざまにそんなことを言ってきた。

 ハルトはハルトでその次の試合だから今のうちから入念な準備体操を行っている。

 俺的にはこいつが一番の危険人物だ。

 あの大男が一瞬でピクリとも動けなくなり、そしてやられた。普通じゃない、こいつはやばい力を持っている。


『さーて! 休憩終了! 第二回戦も盛り上がって行こー!』

 控え室の外から盛り上がってる声が聞こえてくる。

 カラタさんの戦いは何度も見たことある、それだけあって俺は緊張してしまう。

 生唾をゴクリと音を立てて飲み込んだ。

 冷や汗が止まらない。

「だけど体は疼いて仕方がないな」

 これがヒーローブラッド。強敵だと考えれば考えるほどワクワクしてしまっている自分がいる。

「……やるか!」

『それでは第二回戦、第一試合目は第一回戦目で相手を圧倒した選手同士の戦いです! サキガヤ・ハルト選手対カイズ・クラタガ選手です!』

 その紹介を聞き、会場全体がわっと盛り上がった。

 そして俺とカラタさんは武舞台へ登り、向かい合う。

「まさかあなたと戦う日が来るとは思いませんでしたよカラタさん」

「はは、まぁそんな敵意を向けないでくれよ。俺は君と一度戦ってみたかったんだ。だけど君は気まぐれ勇者だ。こういうことでも無い限り断っただろ?」

 確かにそうだ。

 俺は決闘を決して受けない。強引に何度かやらされた事はあるが、基本的に受けない。

 だからカラタさんはこう言った強引な手段に出たのだろう。

「はぁ、分かりましたよ。ですがやるからには勝ちに行きますよ」

 俺は背中の剣に手を触れる。

 こいつで今からカラタさんと戦う。実感すると体が震えてきた。

 明らかな格上の人。勝ち目は無いとは分かっているけど、攻めて好勝負を演出したい。

『さてさて盛り上がっていきましょう! それでは二回戦、第一試合目、始め!』

 その合図とともに俺はカラタさんの動きを観察しながら駆け出す。

 カラタさんは先程と同じようにバックステップをして少し俺から距離を取る。

 しかし今の俺はブーストで駆けている。逃げられるはずがない。

「……そうか。君はそこまでの力を……」

 何を言っているのかは聞こえなかったが、その直後カラタさんは俺に手を翳した。

「君にいい物を見せてあげるよ……。風の民の力を!」

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